第24話 その名はアス
オレジがすかさず身を乗り出して言う…
オレジ「ちょっと待って…その人の性別は?きになるんだよ」
女子たちの一瞬の沈黙だった…
ハクは淡々と言った…
ハク「男だよ女じゃない…俺と同い年のな……26歳の男性だ…」
シズクは思わず瞬きをした…
シズク「ハクさんと同い年で…大地の専門家…」
モエは腕を組んで少し警戒した目になった…
モエ「それって…つまり変人で…分野の専門特化で…案の定のぴっちりスーツフェチ……?」
ハク「全部当てはまるな…」
ハクは否定しなかった…
オレジは勢いよく噴き出してしゃべった…
オレジ「やっぱ類友じゃん!!」
ハクは資料の一ページを指で叩く…
ハク「こいつの理論が完成すれば…草原を"農地として機能する大地"に変えられるって訳だ…」
モエは紙面をじっと見つめ…静かに言った
モエ「…ねぇ呼べるの?」
ハクは頷き…
ハク「ああ…条件は揃ってる…城の結界…加護の使用者…理論者…そしてこのぴっちりスーツフェチの俺がいる」
研究室の灯りが、わずかに強くなった…
未知の大地に未知の専門家。
ぴっちりキャッスルの仲間に五人目が加わる可能性が…
ハクは資料から視線を上げ懐かしさを含んだ声で言った…
ハク「…その理論者の名前は…アスだ」
その名を口にした瞬間……研究室の空気が少しだけ引き締まった…
ハク「ルヴィン砂漠を北側に越えた先に森がある…その森の名はウルファス森を抜けてさらにオペリフェール遺跡を進むと"奈落峠"って呼ばれる場所に出るんだ」
モエは思わず息をのむ…
モエ「奈落……峠?」
オレジは腕を組んで…記憶を探るように首を傾げた
オレジ「あー……名前だけ聞いたことあるかも。確か…行ってから戻ってこない人が多い場所なんだよね?」
ハクは頷いた。
ハク「そうだ…その奈落峠の頂上にアスの小屋が一つある」
シズクは目を丸くして言う…
シズク「そんな場所に……アスさんは一人で?」
ハク「ああアイツはな…」
ハクは静かに続ける…
ハク「アイツの気が変わっていなければ…アスはそこにいるはずだ。大地と向き合うには…あれ以上の場所は無いって言ってな以前向かっただな…」
モエは少しだけ不安そうに言った…
モエ「…随分変わった人なのね」
ハク「変わってるさ…俺と同じくらいにはな…」
オレジがくすっと笑った…
オレジ「なにそれ~全然安心材料じゃないんだけど~」
シズクは意を決したように拳を握った…
シズク「でも……その人がいないと…草原のその先には行けないんですよね」
ハクは机に手を置き…はっきりと言った
ハク「そうだな…この計画を完成させるなら必ずアスを口説いてこの城に引き戻す必要がある…」
研究室の灯りがゆっくりと脈打った…
砂漠と森と遺跡と奈落峠。
そして…奈落峠の頂上の小屋に住む大地の専門家…
ぴっちりキャッスルの次なる目的地が…
まさに今決まったのだ…




