セリーヌ様への最後のざまぁ~過去の悪事が公になり、完全に孤立
私たちの事業が順調に進み、公爵家の権威が揺るぎないものとなるにつれ、セリーヌ様の存在は、公爵邸の中で、ますます薄れていった。
彼女は、自室に引きこもったまま、社交界にも出られず、以前のような贅沢な生活も送れなくなっていた。彼女の生活費は、公爵様が定めた最低限の額に抑えられていたからだ。
ある日、ヴィンテージ織物事業の経理報告書をチェックしていた私の目に、一つの古い領地報告書が留まった。
それは、公爵様が幼い頃、公爵領で起きた、小さな村の火災に関する報告書だった。
(火災?そういえば、以前の帳簿で、この火災に関連する、不自然な保険金を受け取りの記録があったわ)
私は、その報告書と、過去のセリーヌ様が関与していた不明瞭な支出を照らし合わせた。
すると、恐ろしい事実が浮かび上がった。
セリーヌ様は、公爵様がまだ幼く、領地経営に口出しできない頃、火災で困窮した村を助ける名目で、多額の寄付金を募っていた。しかし、その寄付金は、村の再建に使われることなく、彼女の美術品購入費に流用されていたのだ。
これは、公爵家の不正経理の中でも、最も悪質な『詐欺』行為だった。
私は、この重大な証拠を、すぐに公爵様に見せた。
「公爵様。これをご覧ください。セリーヌ様は、過去、火災で困窮した村の再建資金を横領していました」
公爵様は、激しい怒りに震えた。
「母上……!私の、領民に対する慈悲の心まで、利用していたというのか!」
彼は、セリーヌ様に対する愛情や情けを、完全に断ち切ったようだった。
「ロキシー。もう、母上を庇うことはできない。この事実は、公にすべきだ。私の公爵としての、領民への責任として」
彼は、初めて、自分の母親に対して、公的な場で裁きを下す決意をした。彼は、真の公爵へと成長したのだ。
公爵様は、王宮の弁護士を招集し、セリーヌ様のこの過去の不正と、公爵家財政の不正経理を、正式に告発した。
この告発は、社交界に大きな衝撃を与えた。
「ヴィンテージ公爵の母親が、村の再建資金を横領していたなんて!」
「公爵様は、すべてを清算し、公爵家の威信を守ろうとしているのだ」
世論は、公爵様の勇気ある行動を称賛し、セリーヌ様への非難の声が高まった。
そして、セリーヌ様は、公爵邸から追放されることになった。
公爵様は、彼女を自室に呼び出し、冷たい声で言い放った。
「母上。あなたには、公爵家から出て行ってもらう。あなたの存在は、公爵家の威信をこれ以上ないほど傷つけた。あなたの生活は、最低限の年金で賄う。それ以上は、一切認めない」
セリーヌ様は、もはや抵抗する気力もなく、ただ茫然と立ち尽くしていた。
「バンテス……あなたは、あの男爵家の娘に、完全に操られているのよ!」
彼女は、最後に、そう私を罵ったが、公爵様は、私の手を強く握り、彼女に背を向けた。
「私は、ロキシーを愛している。彼女は、私に、公爵としての道を示してくれた。あなたこそ、私の愛と、公爵家の繁栄を奪おうとした罪人だ」
セリーヌ様は、公爵邸を去った。彼女は、王都の誰もが知る、過去の悪事を背負った『孤立した老貴婦人』となり、完全に社交界からも、公爵家からも排除された。




