一話
新作作りました!
エッセイを書いていて閃いた作品でございますので、どうぞよしなにお願いいたします!
「はぁ~」
深いため息を吐いた。
恐らく、今まで生きていて最大のため息だろう。
(会社、やめちゃった)
今日、苦しみに堪えかねて、会社を退職してしまった。
解放感より虚脱感を大いに感じる。
辛い会社を辞めれたのはいいが、これから先どうしようか考えると余計にしんどくなる。
気のせいか体が重たく感じる。体を動かす気になれない。
「「はぁ~」」
気のせいか?今溜息が重ならなかったか?
「おにいちゃんすごくしんどうそうだね」
振り向くと、そこには愛らしい顔をした少女の姿があった。
「えっと、君は?」
「わたし、笑美!よろしくおにいちゃん!」
「えいちゃんだね、よろしく」
「おにいちゃん、だいじょうぶ?すごくしんどそうだけど」
「うん、大丈夫だよ。ありがとう」
「ほんとに?なにかつらいことあったんじゃないの?」
随分と鋭いな、この子は。
しかし、愚直にそれを話してもこの子を疲れさせるだけだ。
ぐぅ~と可愛らしい音が鳴った。
「おなかすいた…」
「よかったら、食べる?」
カバンからラムネを取り出した。
集中力を高めるアイテムとして愛用している。
「これ私が好きなラムネだ!ありがとう!」
袋を開けてぱくぱくと食べ始める。
美味しそうによく食べる。微笑ましい。
「甘いのはほんとに飽きない!」
ぽりぽりとかみ砕く音を鳴らしながら、幸せそうにしている。
「ありがとう、おにいちゃん」
「どういたしまして」
「おにいちゃん、なにかなやんでたの?さっきすっごくつらそうにしていたけど」
「ううん、大丈夫」
「ほんとはちがうでしょ。さっきのかおみたらわかる」
(勘のいい子だな)
「すごいな、よくわかるんだね」
「ラムネのおれいにおにいちゃんたすけるよ」
「聞いても、なんもいいことないよ」
「わたしはいい」
「そっか、ありがとう。実は会社を辞めちゃってね」
「なにかいやなこととかあったの?」
「その通りさ、会社にいづらくなって、今日辞めちゃった」
「そっかーたいへんだったね」
「ほんとに自分でもそう思うよ」
自らに対して呆れて笑ってしまう。
「じゃあ、おにいちゃんのママのかいしゃにくる?」
ありがとうございました!
よろしくお願いいたします!