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第9話 父と子 趣味と仕事

「父さんさぁ、ちょっと相談いい?」


「相談とか久し振りじゃないか?最近は調子良さそうだったのにどうした?」


「調子が良すぎるんだよ。この間の新型大砲の発注があったんだけど数がね。ウチは鍛冶屋で武器工廠じゃないんだよって。忙しくって新製品の開発が滞っちゃってさ。かといって軍の依頼は断れないしさ」


「あぁ。なるほどなぁ。この間のあれがアピール効き過ぎちまった訳か。でも多分それ、受注時の交渉が問題かもしれないな」



子供からの相談って嬉しいよね。歳を取ってくると相談事も減ってきて成長が嬉しい反面ちょっと寂しかったりしてな。親ってのも面倒だよな。


ノルは特に社長だからな。あまり従業員に弱みを見せることも出来ないので珍しく相談に来たって訳だ。



「仕事受ける時にあれだろ?納期普通に頑張ること想定して受けちまっただろ?職人だから自分のMAXで考えちゃうのは分かるけどそういう時はある程度余裕持った方がいいんじゃない?」


「それは分かるんだけどさ、やっぱり俺も皆も職人なんだよね。あんまり余裕持たせるとそれはそれで不満になっちゃうんだよ。社長、それじゃ舐められますぜ?みたいなさ。」


「うん、だからさ、ノルのとこも仕事順調だしそれなりに職人の数もいるんだからさ、部門分けちゃえばいいんじゃない?


 開発室とか家電部門とか武器部門とかさ。専属だとまだきつそうだからソコは流動的にしつつさ」



ようは武器部門の全力はこれくらいです、と言えるようにしとけば職人のプライドも守れるし納期に余裕持たせられるし開発も出来る。


問題は人気んお部署が偏る場合かな?でもこの世界の基準なら日本の会社みたいに変なしがらみなく出来ると思うんだよな。


日本でも昔やはその辺の融通利きやすかったみたいだし。そこは企業が小さいとこが多かったのもあるかもしれないけど。


「ああ、それいいかもしれないね。色んな仕事もして欲しいからローテーションするのもいいかもしれないな。うん、考えてみるよ。稼げるのはいいけど正直大量生産の武器作るの好きじゃないんだよね。規格で作るのが好きな奴もいるし好みもあるんだろうけど。俺は武器作るなら浪漫あるやつがいいな、伸びる剣とか。あれはこないだあまり役に立たなかったから次は大砲と剣を組み合わせてみようと思ってるんだよね」



まじか、銃剣……よりは剣メインの飛んでも武器になりそうな予感。それにしても鍛冶仕事大好きだったノルだけどやっぱりどこの世界でも仕事の悩みは尽きないもんだね。


「あぁ、売れる物作るのと作りたいもの作るのは違うからな。好きなことに打ち込んでプロレベルになったとしても仕事として続けられるかはまた別の問題だから。

ノルが工房持つ時ちょっと心配だったけどちゃんと職人さんたちのことも考えてるし今回みたいに不満があっても辞めたいとかはならないからな。

そこは安心してるよ。父さんのいた世界だと初日で辞めちゃうやつとかおおかったからなぁ、まぁ俺の業界だけかもしれないけど」


「趣味と仕事は違うだっけ?でも俺はいまだに鍛冶仕事は好きだけどね。今回みたいに考えちゃうこともあるけどやめたいとは思わないしね。


 好きなもの作っても一応売れたりもするし、最悪は母さんが面白がって買ってくれるしね。そう考えると俺は幸せなのかもね」


「まぁ好きなことだけして死後tになれば最高なんだけどな。そう言う訳に行かないのはどこでも一緒だ。ノルは才能あるだけにあんまり困ったことがないのが心配かな。


 悩んだらすぐに相談しに来いよ?俺でお母さんでもいいからさ。まだ若いうちから独立してやる苦労は俺より母さんの方が分かるかもしれないから」



正直、俺は起業したことなんてないし今は主夫だしな。偉そうに何も言えないんだけ相談してくれるなら自分なりに答えるしかないからなぁ。


この先、工房主としての悩みなんかも出てくるかもしれないし、そんな時のために相談できる人を確保しておこう。人付き合いは主夫の嗜みよな。


ま、こんな感じで息子と仕事の話出来るようになるとは昔は思ってなかったからな、今の俺は幸せなんだと思う。



――――――――――――――


「おとん、また髪の毛頂戴。また思いついたことがある」


「あの研究、まだ続けてんのか?他の研究だってあるだろうに、大学もその辺は自由なのか?」


おれは髪の毛を渡しながら聞いてみる


「大学でもこの研究は認められてる。他の研究も思いついた時にしてるけどメインはこれ。それですぐに結果を求められるものでもないし失敗も成果なのが研究。おとんは研究のことはあんまり知らない?」


普通の生活してると学者の研究なんてよく分からんからな。大学でも問題なくやっているようではあるしこんなもんなのか?


よく考えたらノルの話してた時と違って学者とか魔術師ってレーナに限らず趣味と仕事が一致してるようなやつばっかなのかな?


レーナは特に特殊な気がするけどな。以前に大学に用事があって行った時があるけど他の学者さんたちも大概だったんだよな。


いやいや良く考えれば俺も家事好きなんだよな。それが今の仕事と言ってもいい訳だし。セレスも魔物退治好きだったな。


あれ?ウチみんな趣味と仕事が一致してる?いやノルは鍛冶だけじゃなくて部下の育成とか工房の経営的なこともやってるか。


特に経営はついこないだも相談するくらい普通に仕事してるわけだしな。あいつは別かもしれない。


でも俺は割と趣味に生きてる気もするんだよな。主婦の仕事は休みなし何て言うけど料理も掃除も好きなんだよな俺。


いやセレスも相当に趣味だよな?ピクニックいってもガッツリ魔物と戦ってるよな。レーナは言わずもがな。


そう考えるとウチの家族みんな幸せなのかもしれない。そして今後の一家の大黒柱になる予定のノルは一番立派という。


「なんか考え込んでる?今日は試してもらう薬もないから大丈夫。それに次は少し味も考える」


「あぁすまん。ちょっとな。俺たち家族って趣味が仕事になってて幸せだなって、な」


「うん、私は研究が好き。だから趣味が仕事になってるのかもしれない。でもおとんは家事が趣味?あれは楽しくないよ」


「いや、俺は家事好きだぞ?料理が趣味のやつは多いが俺は掃除も好きだしなぁ。ご近所付き合いも楽しくやってるぞ?」


「爺さんの話聞けるのはおとんだけだと思う。掃除も私は出来ないから。助かってる。……子育ても趣味だった?」


子育てかぁ。趣味とはちょっと違うよな。確かに苦労も多かったけど幸せではあったんだよなぁ。楽しいとは違うけど、なんていうのかな?


「子育ては趣味とはちょっと違うな。でも、嫌ではなかったぞ。レ^那覇最初あんまりしゃべってくれなかったから実は嫌われていないか心配だったけど。


 こうして懐かしむのは楽しいかもしれないな。ただもう一回やりたいとは思わないかなぁ。家事的なものならまだしもベビーシッターは趣味とは思えないな」


「そっか、子育ては楽しくは無かった……もう一回hあないの?薬は完成しておとんの子供が出来たらきっと凄い子が生まれると思ったんだけど」


「子供は、前も話したけど考えてないんだ。ま、俺が転移したんだから今後同じような奴がいるかもしれないしな。そいつは子供欲しいと思うかもしれないしレーナの研究に意味はあると思ってるけどな。それに他の意味もあるんだろ?あ、俺は詳しいことは分かんないから細かいことはいいぞ」


「うーん、残念。それに貴族になるかもしれないから子供mがいた方がいいとも思うんだけど」


えっ!?貴族?なんだそれ?


「大学で話があった。こないだのスタンピードの件でおかんも叙爵されるかもしれないって。言ってなかったっけ?」


言ってないっすよレーナさん!セレスは知ってんのか?この時間だとセレスも帰ってきてるかもしれない。ギルドにも確認したい。


取り敢えず……ギルドに行って確認か?「レーナ、出かけてくる。その叙爵の件をギルドに確認してこないと」


面倒なことは嫌なんだけどなぁ。取り敢えずギルドに行くか。

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