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3:なんてことない休日




なんてことない日常を送る私は、休日だってなんてことないものだ。


朝はアラームをかけずに目が覚めたら行動する。

休みだからと言って特別なことはせず、普段通りに朝食を食べパジャマを部屋着へと着替え、軽く部屋の掃除をする。


趣味がないので、仕事がないと特にやることがない。

エンタメにも政治にも興味はないので、新聞もテレビも特に見ない。

一言で言うと、、、


ーーー暇である。




「暇」というのは良くない。考えなくてもいいことを考え始めてしまうからだ。

消化しきれない感情について取り留めもなく考えていると気が滅入るので、図書館に行くことにした。


先ほども言ったように本を読むことが趣味だからではない。

家を出て気分を変えるためと、作品に没頭している間は余分なことを考えなくて済むからだ。


だからこそ普段はストーリー性のある小説を読むことが多い。

恋愛でもフィクションでもSFでもファンタジーでも、ジャンルはなんでもいい。

没頭できるかどうかが、余計なことを考えないことが、重要なのだから。






ーーーーーーーーー



車で15分。

小さな図書館であるため人はまばらで、本を決めたらすぐに座って読み進めることができそうだ。


人はいるけど、誰も干渉してくることはなく静か。

図書館のそういう雰囲気は割と好きだ。


図書館には時々訪れるため、小説のコーナーがどこにあるかは分かっている。

小説コーナーに向かう途中、ふと図鑑のコーナーが目について立ち止まった。


図鑑コーナーのおすすめ本の中にアニマル図鑑があったのだ。

動物は好きだ。こちらが尽くせば尽くしただけしっかり愛情を返してくれる。裏切ることがないし、会話ができないという点も逆にいい(会話が煩わしいタイミングって誰しもあるものだよね)。裏表がなく分かりやすいし、見た目も可愛い。

飼う選択肢は今のところ考えていないが、写真を見るだけでも癒される。十分没頭できる。


「たまには図鑑もいいか」


小さく口の中だけで呟いて、おすすめコーナーのアニマル図鑑を手に取った。

席を探そうと踵を返そうとしたときに、ふとまた目についた図鑑があった。


 ーーーーー『悪魔図鑑』と表紙に書かれたそれは、悪魔のイラストなどが描いてあるわけでもなくただ真っ黒な表紙をしていた。


だからこそ、少し興味が沸いた。

アニマル図鑑と表紙が真っ黒な悪魔図鑑を手に取って、席につく。



・・・さて、どちらから読もうか。


図鑑は読み込むと意外と時間がかかるのである。

もしかしたら2つは読めないかもしれない。


少し悩んでアニマル図鑑から読み進めることにした。

少し興味を引いただけの本と読みたいと思った本、どちらかしか読めなくなるかもしれないなら読みたい本を読もうと思ったからだ。


犬、猫、たぬき、ぞう、イタチ、コウモリまで

その図鑑はたくさんの動物を図鑑にまとめてあって、説明も事細かで面白かった。

差し込まれた写真や挿絵もとてもかわいかったので、思った通り没頭して読み進めることができた。


アニマル図鑑を読み終わった時にはすっかり日も暮れていた。


「うわ、時間かけすぎた。」


昼ごはんも抜いちゃったからお腹がへったかも・・。帰ろう。

・・やっぱり1つしか読むことはできなかったか。

それでもアニマル図鑑が面白かったので満足していた。


帰る前に本を戻さなくては、と立ち上がった時、うまく掴めていなかったらしい悪魔図鑑がドサッと音を立てて床に落ちた。

図鑑は重たいので床に落とした拍子に本がどこか痛んだかもしれない。

慌てて状態を見てみる。・・・大丈夫そうだ。よかった。


本を閉じる瞬間落とした時に開いていたページの項目が瞬間的に目に入った。

「夢魔」。

すぐに本を閉じ、アニマル図鑑を持って今度は落とさないように気を付けながら本を戻しに行った。





ーーーーーーーー



「よほど時間かけて読んでたんだなぁ」


誰に言うでもなくぼそっと独り言をつぶやく。

現在時刻は16:30。

図書館についたのが11:00だったから、5時間半も1つの図鑑だけを読みふけっていたのだ。

確かに厚みがある図鑑だったが、さすがに時間をかけすぎた。


家に帰ってからご飯を作るのも面倒だ。

でもどこかお店に入って夕食をとるのもあまり気分ではなかった。

結果、コンビニに寄って適当にご飯を調達し帰路についた。





ーーーーーーーー



家に帰っても特になにか特別なことはない。


買ったご飯を食べて、片付けをし、お風呂に入り、歯を磨いて、就寝の準備をする。

明日は仕事なので夜更かしはせずそこそこの時間に寝る。



これがなんの変哲もない、私のなんてことない退屈な休日だった。









お読みいただきありがとうございます。

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