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第八話:街の夜明けと聖騎士団からの誘い

 朝日がタルーネ商業街に差し込む頃、ガルバードの不正支配は完全に崩れ去った。昨夜の広場で、オカマ剣士ジュンがその悪行を白日の下に晒し、手下どもを片っ端から叩き伏せた一件は、一夜にして街中に知れ渡っている。人々は口々に語る――「あのオカマ剣士は凄かった!」「まるで舞台で踊るみたいに敵を倒していた」「金でなく、人情と正義を貫くなんて素敵!」と。


 ルイナの商家には、朝から感謝と祝福の訪問者が後を絶たない。野菜売りの老婆は涙ぐみ、若い行商人たちが笑顔で手を振り、宿の主人は「何かお返しを!」と大盤振る舞いを申し出てくる。

「ジュンさま、本当にありがとうございました。これで街は安心して商売できます…!」

 ルイナがうるうると目を潤ませると、レイが「そうよ、ジュンちゃん、あんた最高よ♡」と両手を挙げてはしゃぐ。


 ジュンは照れくさそうに微笑み、髪をかき上げて言う。

「たいしたことないわよ。オカマは人情に厚いの、ってね。困ってる人をほっとけないだけ。ま、これであたしも寝起きが気持ちいいってもんだわ。」


 その時、通りの方から騎馬隊が近づく足音が響いた。見ると、白銀の甲冑をまとった騎士たちが整然と並んでいる。彼らは隣国の大都市から派遣されるという「聖騎士団」の精鋭たちだ。整列した中から、凛々しい顔つきの指揮官風の男が馬上から声をかける。


「……貴公が、あの噂のオカマ剣士、ジュン殿か?」

 低く響く声に、ジュンはかしげた首を戻し、苦笑しながらその騎士団長らしき男を見上げる。

「ええ、そうよ。あんたたちはお偉いさんかしら?」


 騎士団長は軽く微笑し、

「この街の不正と混乱は我々も注視していた。しかし人手が足りず、介入が遅れた。それを貴公が鮮やかに解決したと聞き、表敬に来た次第だ。」

 周囲の人々が「おお、聖騎士団がわざわざ…!」と感嘆の声を上げる中、ジュンは鼻でフンと笑う。


「ま、好きでやったことよ。偉く思われるのは性に合わないわね。あたしはただ、理不尽が嫌いなだけ。」

 ジュンの素直すぎる返答に、騎士団長は面食らったように一瞬目を見開くが、すぐに柔和な顔に戻り、微かに笑う。


「実直な方だ。……ジュン殿、その剣の腕と清廉な心、我が聖騎士団で試してみる気はないか? 都市にはまだ多くの不正や怪物がはびこる。貴公のような人材を求めているのだ。」


 おお、ついに来たスカウトである。街の人々が「凄い!」「聖騎士団直々の誘いなんて…」とどよめく中、ジュンは顎に手を当てて考える素振りを見せる。隣でレイが「受けちゃいなよ! ジュンちゃんの名をもっと広めるチャンスじゃない!」と舞い上がり、ルイナも「応援します!」と目を輝かせる。


「うーん、迷うわねぇ。ここに腰を落ち着けるのも悪くないけど、せっかくだし異世界をもっと見てみたい気もする。」

 そう言ってジュンは周りを見回す。平和になり、人々が微笑み合うこの街で、自分の役目は一旦果たされたのかもしれない。ずっとここにいる必要はない。ただ、旅立つ前に一言、決めておきたい台詞がある。


 ジュンはウインクして、周囲の人々に向けて軽く剣を掲げる。

「男でも女でもない最強の存在、それがわたし♡ あたしは旅を続けるわ。この街はもう安心だから、次は他の場所で理不尽と戦ってあげる。」


 聖騎士団長は満足げに頷く。

「ならば、騎士団の試験を受けるがよい。貴公なら、きっと素晴らしい結果を出すだろう。」


 ルイナは感動で声を震わせ、レイは鼻をすすりながら「ジュンちゃん、応援してるわよ、ここから!」と手を振る。ジュンは片手を腰に当て、

「オカマなめんじゃねぇぞ、ゴラ!」

と、ここ一番の決め台詞を少し冗談めかして発する。

「騎士団も魔物も不正も、ぜーんぶ一掃してあげる♪」


 こうして、タルーネ商業街に平和を取り戻したジュンは、新たな舞台へ向けて歩み出すこととなる。人々の笑顔と拍手が、その後ろ姿を見送った。清廉なるオカマ剣士の旅は、まだまだ始まったばかりだ。


 第八話、ここまで。

 次回、聖騎士団試験でジュンはどんな活躍を見せるのか?そして、さらなる波乱が待ち受ける異世界で、ジュンの名声はどこまで広がるのか――乞うご期待!



読んでいただきありがとうございます。

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