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第七話:決戦への前触れ! オカマ剣士、因縁の大商人を呼び出す

 夜明けを迎えるタルーネ商業街は、まだしんと静まり返っている。けれど、その空気はいつになく引き締まっていた。なにしろ、この街の「腐敗の元凶」たる大商人ガルバードが、いよいよ表舞台に立たされる時が来たからだ。


 昨晩、裏社会での取引を摘発し、ガルバード配下の手下たちを追い散らしたオカマ剣士ジュンは、すでに次の一手を考えていた。単に悪事を暴くだけではない。この街を苦しめる源泉を断ち切るためには、黒幕を引きずり出さなければならない。


「ジュンさま、これを……」

 朝、ルイナが差し出したのは、一通の手紙。達筆な筆跡で、こう書かれている。

「『ジュンとやら、貴様が私の仕業を嗅ぎ回っているそうだな。いいだろう、正々堂々と会ってみようじゃないか。今夜、街の広場で待つ。逃げずに来い』……ガルバードからだわ。」


 ルイナは不安げにジュンを見上げ、レイはそわそわと落ち着かない様子。しかしジュンはむしろ満足げに笑みを浮かべる。

「あら、堂々と呼び出しをかけてくるなんて、自信満々ね。上等だわ。丁寧に応えてあげる。」


「ジュンちゃん、気をつけてよ? あいつ、ズルい手を使うに決まってるわ。」

 レイは涙目になりながら心配するが、ジュンは優雅に髪をかき上げる。


「大丈夫よ、あたしはあたし。男でも女でもない最強の存在、それがわたし♡ どんな罠でも、人情と正義の剣で斬り開いてみせるわ。」

 ここではまだ決め台詞は早い。夜まで温存しておこう。


 その日の夕刻、街の住民たちは噂を聞きつけて妙な緊張感に包まれていた。広場には最低限の明かりがともり、周囲には武装したガルバードの手下がずらりと並ぶ。誰もが「ジュンは本当に来るのか?」と息を呑む中、

「やぁ、集合ご苦労さん。」

 軽やかな足取りで現れるのは、もちろんジュンだ。黒いマントを揺らしながら、まるで舞踏会にでも来たかのような優雅さ。ルイナとレイは少し離れた陰から、固唾をのんで見守っている。


 ガルバードは玉座のような椅子にふんぞり返り、高笑いを放つ。

「お前がジュンか。ずいぶんと風変わりな格好だな。オカマ剣士などと呼ばれてるそうだが、そんな奴が私に逆らうとは面白い。」

 手下たちも呵々と笑い、ジュンを品定めするような視線を浴びせる。


「あなたがこの街を我が物顔で操ろうとしてる張本人ね。魔獣を放ったり、毒で人々を弱らせようとしたり、やることが汚いわ。」

 ジュンは淡々と言い放つ。周囲の住民たちも隠れながら聞いている。「やはりガルバードが元凶だったのか…!」と小声で囁き合う。


「ほう、証拠でもあるのか?」

 ガルバードは余裕綽々だが、ジュンはクスリと笑う。

「あなたの手下が昨夜、裏取引で毒を扱ってたわ。もう誰も知らないなんて言えないでしょう。わたし、この街の皆に教えてあげたの。『ガルバードが何をたくらんでいたか』ってね。」


 すると、周囲の物陰から次々に顔を覗かせる商人や住民たち。皆、怒りと不安の入り混じった表情だ。これまでガルバードに逆らえなかった彼らが、今度はジュンの背後にいるかのように押し寄せてくる。


「おのれ、愚民どもが…。金を払えば黙ると思っていたが、どいつもこいつも脆弱な奴らめ!」

 さすがにガルバードも動揺を隠せない。手下たちに合図すると、一斉にジュンへ襲いかかろうと武器を抜く。


 さぁ、ここだ。オカマ剣士ジュンのステージが整った。

 ジュンはすっと剣を抜き、華麗なるステップで手下たちの攻撃をいなし、かわし、くるりと回っては武器を弾き飛ばす。その動作はまるで舞台の剣舞。手下は次々に叩きのめされ、気づけばガルバードの周りには、武器を奪われた連中が転がるばかり。


「バ、バカな…! お前、何者だ…?」

 追い詰められたガルバードが声を上ずらせる。その時、ジュンは満面の笑みで剣先を突きつけ、ここで決め台詞を解き放つ。


「…オカマなめんじゃねぇぞ、ゴラ!」

 ビシィッ! とした響きに、観衆の中から拍手が湧き起こる。恐怖に支配されていた商人たち、住民たちが声を上げ始め、ついにガルバードは震えながら後ずさる。


「くっ…こんな奴に…」

「あなたの悪事はもう終わりよ。オカマは人情に厚いの。街の皆が安心して暮らせるようにするためなら、あたしはどこまでも戦うわ。」

 ジュンは鋭い眼差しで言い切る。それは黄金よりも、暴力よりも、この街に必要なものがあると教えてくれる瞳だ。


 こうして、ガルバードは完全に追いつめられ、街を牛耳る計画は瓦解する。人々はジュンの強さと優しさを目撃し、恐怖に怯える日々から解放されつつあった。


 ルイナが涙目で微笑み、レイは声を上げて拍手しながら、

「ジュンちゃん、あんた最高! ほんっと惚れ直しちゃうわ♡」

 その言葉にジュンは肩をすくめてウインクする。


 ――次回はいよいよ、この一件に決着がつくだろう。オカマ剣士ジュンは、笑いと人情、清廉なる剣術でもって、腐敗した大商人を打倒する。理不尽に立ち向かう彼(彼女?)の旅はまだまだ続く。


 第七話、ここまで。次回、ガルバードに下される裁きと、街の新たな未来が始まる!

 皆さま、乞うご期待。



読んでいただきありがとうございます。

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