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悪役令嬢が婚約破棄される世界の乙女ゲーム主人公に成り代わったのだが

こんな与太話にまじになってどうするの

※作者の私怨がたっぷり込められています※




 悪役令嬢が婚約破棄される世界における「乙女ゲームの主人公」といえば煌びやかに着飾りキツイ香水と愛嬌を振り撒きながら男に擦り寄るクソビッチと表現される事が多い。架空の悪事をでっち上げ、メインヒロインである悪役令嬢を無実の罪で追放しようとする悪徳女。誰からも嫌われるような非人間要素をモリモリ搭載したクソガキである。

 ふとそんなような嫌われ女を昔どこかで見かけたなと思いなんとなしに記憶の海を回遊し、目を覆いたくなる恥ずかしの痛ましい日々や学生時代の苦い思い出にひとさじの幸せなひとときなどもついでと言わんばかりに閲覧しつつところでなぜ思い出というのは辛く苦しいものばかり浮かびやすいのだろうなと思考が逸れかけ寄り道しながら結果15、6年前の女オタクの趣向がヒットした。

 学園パロディでありがち、濃くけばけばしい化粧が良くお似合いのキツイ香水と愛嬌を振り撒く「先輩」である。当時の中高生オタクが毛色が違うからと勝手に目の敵にしていたイケイケ陽キャ、言ってしまえばギャルがモデルだ。

 平凡で素朴な女主人公がイケメン男と少し会話したからとなにかと敵視し影でちょっかいをけしかけてくる仮想敵の外見にギャルを起用し、わざわざ嫌味な女に仕立て上げ、わざわざ女主人公(モデルはいまいちパッとしないオタク自身である)をけなす(己を磨く努力もせず妄言を喚くばかりなので当然である)当て馬にする。女主人公がイケメン男と幸せになるシンデレラストーリーには欠かせないそれは嫌な女であればあるほど映え、それによる女主人公へのいじめがエスカレートすればするほど萌え上がり(誤字でない)、そしてイケメン男に悪事がバレた時の絶望顔からはそれはもう心地よいエクスタシーを得られたのであろう。

 そのいにしえの文化とも言える仮想敵先輩をわざわざこの時代に再構築し、叩き甲斐のある悪徳女主人公を生成して断罪してスカッとアンドざまあしているのを見るとなかなかに痛々しい。やり口が変わらないわりに過去同じようなものを見ていた事実を黒歴史だと嘲笑うのであればとんでもない性悪である。そういえば今悪役令嬢ものを書いて(読んで)いる年齢層は2010年前後は何にハマっていただろう。庭球海賊戦国復活狩人落乱電凹Agエーピーエイチあたりで嫌われや天女にhshsしていただろうか。なに? 「夢小説と一緒にするな?」残念ながら同じ穴の狢だぞやってること変わらんだろうがよJK。閑話休題。

 古今東西人間というのは陽キャであれ陰キャであれハードないじめが大好物だ。そうでなければ「ざまあ」というわざわざ低能を用意しわざわざそれを見下す排他的ジャンルがこうも流行るはずはない。特に物書きオタクは集団や社会に馴染めない、馴染めなかった劣等感から「ムカつくから脳内でいたぶったったw」という被害妄想のアウトプットが大の得意だ。架空の自作自演乙です。脳内で痛いことしてないで散歩アプリでもしながら外を歩いてごらんなさい。現代人の営みや風景をインプットしつつ視野と思考を広げればもう少し大人になれますよ。それをやっているのにこんなのを読んでるワイって……()は見苦しいので帰ってクレメンス。尚特大ブーメランである。


 というのは前置きだ。長文乱文失礼致しました。

 で、なんで悪役令嬢が婚約破棄される世界における乙女ゲームの主人公の話を上げたかって。

 あたしが悪役令嬢が婚約破棄される世界の乙女ゲームの主人公になっちまったからだ。


 昨今ありがちな題材である。「悪役」令嬢とはなんだったのかと言わんばかりの正しい行いをするメインヒロインに架空の悪事を吹っ掛け意中の男に婚約破棄させる性悪な乙女ゲーム転生主人公。悪役令嬢は追放を受け入れ別のイケメンと恋をし、代わりに乙女ゲーム転生主人公が破滅する、みたいな陳腐なテンプレ。

 この世界も例外ではない。ここは典型的な「婚約破棄された悪役令嬢が他国の王子とよろしくする系」の悪役令嬢ものの世界だ。タイトルはなんだったか、長ったらしくて思い出せん。

 あらすじはこう。第一王子が平民聖女と結婚する為、婚約者である公爵令嬢(悪役令嬢)を学園の卒業パーティで婚約破棄。国外追放の令嬢は他国の王子に見初められて即結婚。その後聖女の使い魔が覚醒、聖竜ではなく魔竜だったそれは王都を壊滅させた。聖女の結末? 幸せな悪役令嬢様はそれを知る必要は無いと言わんばかりに記述は無い。おわり。

 これは聖女であるアホヒロインとそれになびくアホ王子にざまあする悪役令嬢という悲劇のヒロイン様の出来レース世界。あたしはそのアホヒロインになった。ということはあたしはこれからアホヒロイン街道まっしぐら、書き手の巧妙ないじめ描写によって悪質な女として滅びるのだろう。

 ──冗談じゃない。いい歳こいた喪女共のオカズの為に死んでたまるか。


 そんなわけでめちゃくちゃ腹立ったのでこのご都合世界をぶっ壊すことにした。

 イエーイ、オタクちゃん見てるー? 今からこの世界台無しにしちゃいまーす。





 乙女ゲーム【ラブエクストラ】、通称【ラブエク】。

 それは「聖女」に選ばれたあなた╱主人公が通う学園で、素敵な王子たちと恋をする物語。「聖女」として、彼らを導こう──

 という触れ込みの女性向け恋愛ゲーム。

 この世界の舞台である。


「私、ラブエクの悪役令嬢に転生してるー!?」


 ということに気が付いたのは5歳の頃、転んで頭を強く打ち付けてから。

 前世はしがないOLで、ラブエクを相当やり込んでいたオタクだったことを思い出した。


 マリー・オドントグロッサム。それが今世の私。

 そして、平民聖女である主人公をいじめた挙句自滅する、悪役令嬢だ。


 いやでも、ゲームでのマリーはそんなに悪いことはしていなかったはずだ。平民聖女に貴族社会では当たり前の常識を指摘、叱責をしていただけだ。

 それをなぜか聖女は嫌がらせとして認識し、マリーは卒業パーティで断罪される。そして、婚約者である第一王子に婚約破棄されるのだ。

 そしてマリーは国外追放されるのだが、その道中謎の死を遂げる。謎の死ってなにかしら、エンディングでは具体的な説明無いのよね。

 もちろん、悪いことをしていないのに死ぬのは嫌。幸いまだ5歳、これから死亡ルートを回避する為に努力するのよ!


 そんな訳だから、10年掛けて聖女の攻略対象である第一王子、騎士の子息、宰相の子息の悩みを解決し、マリーに変なフラグが立たないように、魔法を頑張ったり武術を頑張ったり、なんとか死なない為に努力した。

 そして月日は流れ、15歳になった私は魔法学園に通うことになった。

 これから聖女を取り巻く乙女ゲームのストーリーが展開されるのだろう。しかし私は死にたくない。できるだけ出しゃばらないように、大人しく静かに学園生活を過ごすのよ!


 ──そう意気込んでいた。

 入学式の日、聖女の姿を見るまでは。





 乙女ゲーム【ラブエクストラ】、通称【ラブエク】。

 という架空のゲームを舞台にした【追放された悪役令嬢は亡命先の国の王子と幸せになります〜私がその国では伝説の聖女で!?〜】という恋愛小説。

 が、この世界である。一体いくつ舞台を踏む気なのか。一体何回「という」と言わせる気なのか。

 あたしはその追放悪役令嬢なんちゃらに出てくる乙女ゲーム悪徳聖女主人公に成り代わった。結末は前述の通りだ。小説通りなら、あたしは聖女のような悪役令嬢様に架空の悪事を吹っ掛け失脚させ、その後王子と婚約するものの贅沢三昧が上手くいかず、魔竜覚醒により国家転覆を疑われ、よくわからん最後を迎える。性格の悪い聖女を正論で追い詰めるのはこういう系統の小説あるあるだな。

 ところで、乙女ゲームの主人公というはどうしてこうも嫌われるのだろうな。携帯獣や刀付喪神の人格の無いアバターに少女漫画の主人公的人格を付与し男キャラクターとイチャつかせるのはなんとも思わないわりに最初からその属性を持っている乙女ゲームの主人公は許せないタイプの人口が多過ぎる。もしかしたらオタクは理想と夢と希望を振り撒く頭お花畑女さんに実に現実的で建設的な自論を「我々世間様の正論ですけど笑わからないんすか笑」と振りかざし論破するのが気持ちいいのかもしれない。常識的な一般理論に同調できないから妄想の中で反論してこないサンドバッグに俺理論をぶつける。夢や希望を抱くのは甘いダサい現実見ろと嘲笑して同調して安心するのは果たして正しいのだろうか。清純派主人公嫌いな自称アウトローオタクという荒んだ世の中に生まれたコミュ障モンスターはだいぶ嘆かわしいな。尚特大ブーメランである。閑話休題。


 で、乙女ゲーム悪徳聖女主人公としてただ悪者にされるのは癪なんで、どうせならデカい悪者として世界をブッ壊してしまおうという算段だ。イエーイなんてイキがったが、方法はこれから考える。まあ聖女には魔竜がついている、最悪原作通りに王都くらいは潰せるはずだ。ご都合世界を自分の意思でどうにか破壊できるなんざ最高だな。


 そうして迎えた入学式の日。あたしと対面した悪役令嬢は……

 聖女主人公の攻略対象である男たちを侍らせていた。


 ……おや? おかしい。追放悪役令嬢なんちゃらという小説は、入学式の時点で悪役令嬢と攻略対象は仲良しこよししていないはずだ。家同士の交流で面識はあるにしても、彼女と彼らの仲はあそこまで発展しない。乙女ゲーム主人公が攻略する隙が無くなるからだ。

 まさかあの状態、悪役令嬢にはもう記憶があって、破滅回避する為に事前に攻略対象を落としたのか? 原作通りであれば、卒業パーティの前日になって自身の前世がOLであった記憶を呼び起こすはずだ。そして逆転できずに国外追放……だったはずだ。はずだ。


 あれ、この世界もしかして、架空の乙女ゲーム【ラブエクストラ】を題材にした【追放された悪役令嬢は亡命先の国の王子と幸せになります〜私がその国では伝説の聖女で!?〜】という小説の派生作品になるのか? 聞いてないぞ。





「な、な、な、なんですの……!?」


 聖女はモヒカンだった。

 語弊がある。世紀末的モヒカンではなく、オシャレモヒカンとでも言うべきか。

 とにかく、モヒカンだった。

 聖女主人公のトレードマークであるピンクのロングヘアがピンクのモヒカンになっていた。

 蜂蜜色の大きなくりくりの目に、ピンクモヒカン。

 ピンクモヒカン、天使、ルルティエ、ぴぴるぴるぴるうっ頭が。

 ラブエクの聖女はこんなパンクなことをするような子じゃない。

 じゃあ、これはなに?

 ちらりと婚約者のルイ、騎士の子息チャルニ、次期宰相チャーチルを盗み見る。ぽかんとしていた。それはそう。


「どこのどなたか存じ上げねえですが、なにをガン垂れてやがりますか?」


 そして口が悪い。貴族が通う学園に特例で通うことになった平民だとしても、口調がまるでなっていない。山賊のようだ。

 っと、ここは悪役令嬢として聖女に声を掛けるべきよね。マリーは聖女の素行を注意するだけ。咎められるようなことはしないわ。「お前、誰に向かって!」と食ってかかりそうなチャルニを宥め、


「コホン。誰に口を利いているのかしら? 私をマリー・オドントグロッサムと知っての狼藉ですの?」


 聖女は悪びれる様子も無く、


「あんたのような上位貴族様のご尊顔をいち平民風情が知っているとでも?」


 むっ、それは確かに。自己紹介したわけでも顔写真が出回ってるわけでも無いし、初対面の対応としては私に非があるかしら。でも、不遜で不敬な態度はよくないわ。


「この学園に通うのならば、覚えておくべきですわ。私はオドントグロッサム家長女、マリー・オドントグロッサム。よろしくお願いしますわね、…………」


 名を名乗れと言うのを忘れていたわ。固まる私見て聖女は、


「で? いつ記憶が戻った?」


 言い放った。


 …………。


「記憶?」


「どういうことだ?」


「マリーが記憶喪失なんて聞いたことが……」


 ルイ、チャルニ、チャーチルがざわつく。ここで前世の話をするのはまずい!


「ロ、ロザリーさん、少しお時間よろしくて?」


「いや、いい。だいたいわかった」


 そう言うとモヒカン聖女・ロザリーは去っていった。去り際、「ボロが出ているぞ、悪役令嬢様」と言い放ったので彼女が転生者なのは確定だけど……


「目的が、目的がわからない……!」


 試しにルイたちを引き合わせてみたけど、彼女はどうも攻略対象たちには興味が無いらしい。それどころかルイたちも大して興味無さそうなのは……モヒカンだし女として見れないのかも……

 でも、聖女があれならマリーは死亡ルートを辿らなくて済むかも? でも、一応動向は見ておかないとね……





 これはただの僻みだが。あたしは転生ものでありがち・ちょっと事務仕事ができてブラック企業に勤めていて頑張ってて偉い! というステータスをキラキラジョブ扱いしているOL都会人様が嫌いだ。

 こちとら地方の工場勤め、それもパート上級職の準社員ながら正社員張りの研修と仕事量を強いられるわりに給与は手取り十数万程度、男性正社員の半分くらいしか貰えない。ボーナスが出て残業も無く定時で帰れるのはありがたいかもだが、そういう正社員にもなれない地方女は就職もまともにできない底辺みたいな扱いをされる。そもそも地方の仕事なんていい大学の出でもなきゃ工場とついでに介護の割り合いがほとんどなんだよ。いくら県庁所在地といえ地方だ、キラキラジョブなんて望めねえわ。夢見過ぎだろ。舐めんなよ工場勤務。誰たちのおかげで惣菜のオードブルが食えたり機械製品が使えてると思ってんだコラ。まあでもストーリー映えしたいならOLの方が見栄えいいわなワハハ。この話おわり。


 あの様子を見るに、どうやら悪役令嬢様は幼少期に記憶を取り戻したらしい。記憶を取り戻したというか転生者による登場人物の乗っ取りというか。どっちでもいいが、その時からラブエクにおける死亡フラグをへし折ってきたのだろう。そしてたぶん男たちの矢印に気付いていない。悪役令嬢は鈍感が常だ。

 しかしこれは好都合。聖女の攻略対象共が悪役令嬢によって籠絡済みということは、あたしに向かって「ふっ、おもしれー女」などと言いながら擦り寄ってくるような邪魔者は居なくなるってことだ。ゆっくり世界を壊せるってもんだ。……あー、悪役令嬢が逆ハー形成してるもんだから学園に留学してるっていう亡命先の王子とやらの動向が読めないくらいか。だが余程のことが無い限り妨害は無いはずだ。


 昨今の壮年オタクによる「乙女ゲーム主人公は頭ゆるゆる【自主規制】だからディスってもいい」という謎ムーブが気持ち悪くてどこかで鬱憤晴らしをしたかったところだ。悪役令嬢婚約破棄ものにおける乙女ゲーム転生主人公による悪逆やざまあをよしとするような風潮の世界を潰せるのはちょうどいい。

 というか腐女子が「夢女子とは違うから! 夢女子と一緒にしないで!」と言いながら人格が少女漫画の女主NLを嬉々として持ち上げていた頃を思い出してクソ腹が立ってくる。あれが昨今の「夢女子は特殊性癖なのにオープンで創作してるのはおかしい! 隠れてやらないと駄目でしょ! BLは崇高なものだから堂々とやってもいいの!」という迫害と差別を生み出した一端になったんだよな。聞いてるか刀付喪神が流行りだした頃の女オタク共。今更「なんで夢女子さん隠れてるの? 教室の隅でオタ活するからみんなから叩かれるんじゃん、堂々とやろうよ!」なんて言われても無自覚いじめっ子オタク共に付けられた傷はなかなか戻らないぞ。オタク、世間一般的にオタ活が認められてそれなりに容認されるようになってきたらオタク内でカースト作って底辺叩いて自分の地位に安心したがるからな。閑話休題。


 自分語りして自論を正当化するオタクというのはあたしにも適用される。これは同族嫌悪だ。

 だから更地にする。あたしの行いにより界隈に影響力が微塵も無くても、あたしがこの世界で死んで元の世界に戻れなくても、自分の思う破壊が出来るのであれば本望だ。とんだ無敵の人である。

 まあ、そんな人間を聖女としてこの世界に遣わせたことを後悔させてやろう。肝心の破滅方法が思い付かないんでおたより絶賛募集中だ。メルフォのURLはココのバナーから。(右人差し指で上を差しながら)

募集してないです(ないです)気が向いたら続く


ところで異世界ものの参考になろうのランキング上位の短編読み漁ってたんだけど架空の人物を貶す語彙がとてもお上手な天狗さんがたくさんいらっしゃったので性格が悪いものを書くことでしか衆目を得られないというのは人として可哀想だなあと思うなどした ドロドロ不倫ドラマとか広告のモラハラ夫を見返す漫画とか好きなのかな

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