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ドラゴンレース

私達は玉座の間から少し離れたところに集まった。

「ステラ!ありがとう!君は命の恩人だよ!」

「当たり前じゃない!はぁ、本当に良かった。」

「シャンクもありがとう。それに、イーサンも。」

「私からもね。」

「勘違いするなよ。俺はお前のこと大っ嫌いだからな。ステラのためにやったんだ。」

「ところでイーサン、朝いなかったけど何しに行ってたの?シャンクも、なんで?」

「シャドウのところに行ってたんだ。それで、王子に代わりに言ってもらった。」

すると、フリッグがイーサンに抱きついた。

「わぁぁぁ!!イーサンありがとう!!君は命の恩人だよ!」

「てめぇ離れろよ!暑苦しいんだよ!」

事の発端はイーサンであることを言わないでおいた。

「俺はグランクに言われたから来ただけだ。俺は元赤龍部隊だからな。グランクとはよく話しをする。お前さんのその傷を見た時、あの時の赤子であるとすぐ気づいた。そしてお前さんはアイツらとは違うこともな。」

フリッグは今度はシャンクに抱きつこうとしたが、片手を額に当てられ制されてしまった。


審判から数ヶ月が経ち、今はもう誰もフリッグを疑うものはいなくなった。

「凄い飾りだ。」

「でしょ。あなた達はこのお祭り初めてよね?」

「オイラは過去に1回だけ。ほとんど覚えてないけど。」

「へ〜いいなぁ。」

今街中はお祭り騒ぎ。街中花火や紙吹雪が上がり、ビョシュラという唯一人間に懐く最小のワイバーンが忙しなく飛び回っていた。というのも今日はドラゴンレース。白龍部隊と黒龍部隊が民の前で競い合うのだ。今までは訓練や助けた数等でポイントを貯めていたが、本命はこっち。このお祭りで全てが決めると言っても過言じゃない。

今私はイーサンとレースの準備中だ。そこにフリッグとサンドラが見に来ている。

「これ、黒龍部隊が負けたらどうなるの?司令官変更?」

「いいえ、司令官を決めるのはその1週間後の決戦で決まるわ。このレースは白龍と黒龍部隊どっちが偉いかを決める自己満みたいなものね。」

「ま、どうせ今回も黒龍部隊が勝つだろうけどな。」

「だといいんだけど。あいにく左目がまだ治ってなくて。」

「去年か一昨年くらいに薬盛られてたのに勝ったんだ、平気だろ。」

「あれは酷かったわね。」

「ねぇ、自己満なら白龍部隊が勝っても大丈夫じゃない?」

「いや、勝ち負けが交互に来るならいいんだけど、ずっと私達が勝ちっぱなしのせいで今負けると今までの恨み全部ぶつけられるのよ……よし、できた。じゃあ私達は始まるまで会場待機してるから、あなた達は自由に散策するといいわ。この時にしか売ってない物とかあるから楽しめるわよ。」

「うん。分かった。ステラ、イーサン、頑張ってね。」

そう言うと、2人は商店街の方へ向かった。

「どうしたの?」

「いーや?あの2人、一般部隊にしては変わってるなーと。精鋭部隊にそんな気軽に話しかけられるもんじゃねぇだろ。」

「まぁ私達はあの2人とずっと関わってきてるからね。」


「人が沢山!こんな数見たことないよ!」

「わざわざ外から来る人もいるからね。」

「そこのお二人さん!応援旗、いかがですかい?」

声のする方を見ると、小中大と様々な大きさの旗を売っている店員さんがいた。台の上には黒い旗と白い旗が半々に別れて売られていた。黒い旗にはグレイヴを象った模様が。白い旗にはエクレアを象った模様が描かれていた。

「いや、遠慮しておく…」

「黒龍部隊の!1つ下さい!」

「まいど!」

「フリッグ!?」

旗店を離れ、更に回る。店中には旗と同じデザインのグッズがたくさん売られていた。

そして数時間が経った。

「フリッグ……。」

「ん?どうかしたの?」

「いや、どうしたも何もその格好はなんだい?」

気づけば僕は黒龍部隊のグッズを身にまとっていた。

「だ、だってステラを応援したくて。」

「……応援する時にステラって名前で呼ぶのはダメだよ。一般の方も観るからね。」

「あ、そっか。ステラの偽名ってどんなの?」

「シリウスだよ。」

「よく知ってるね?」

「あはは、この前すれ違った時に気になったから聞いてみたんだ。にしても今君が1番目立ってるよ。」

鏡で自分の姿を見てみると、途端に恥ずかしくなってきた。

「わ、わぁ。」

「せっかく買ったんだから今日と来週くらいは着てもいいんじゃない?」

「う、うん。」

それからしばらく経ち、僕達は城下町中に設置されてあるドラゴンの止まり木という高台の上までやってきた。サンドラの隠しスポットだそう。

「オイラたちはライダーだから、ここに来ても許されるんだよね。」

「すごいよサンドラ!よく見える!ありがとう!」

レースの様子は街の真ん中で巨大な画面に水晶を通して映し出される。他の場所でも小さい画面で観ることが出来る。

「さぁさぁ皆さん!今年も始まってまいりました!ドラゴンレースの開幕です!」

「司会と実況は変わらずジェイとわたくしカリウスがお送り致します!」

2人は金龍、銀龍部隊長だ。双子なのだそう。

「今回出場する部隊は王者に居座り続ける黒龍部隊に!その座を引きずり下ろそうと悪戦苦闘する白龍部隊だ!カリウス!今回どちらが勝てると思いますかね?」

「いや〜やはり今回も黒龍部隊では無いですかね?シリウス殿の存在があまりにも強すぎますからね〜。」

「確かに!ついこの前まで無敗だったトール殿を負かしてしまいましたからね。しかし!今回こそは白龍部隊に期待しています!両部隊怪我もなく頑張ってくださいね!」

トールはルイスの偽名だ。

「司令官決戦では怪我前提ですけどね〜。」

「それでは皆さん!ダヴィンレイズ王国名物!我らドラゴン騎士団、ドラゴンレースの開幕です!!」

2人がそう言ったと同時に、観戦者達から大歓声が上がり、一斉に花火が上がった。そして水晶画の場面が代わり、大きな箱庭が映し出された。そこには部隊の色の鎧を身にまとった白龍と黒龍部隊のライダー達が集まっていた。

「あれ、ステ……シリウスじゃない!?」

「本当だ。」

兜で顔も見えないが、体付きと他のライダーの身長差ですぐ分かった。極めつけは鎧のゴツさだ。部隊長の鎧は兜に角やトサカがあったり、肩パッドの突起が長かったりと他のライダーと少々違う。

「まず最初はライダーの皆様ならお馴染み!ドラゴンの背に立ったまま手首に括りつけたリボンを奪う、空中リボン取りです!もちろん他のドラゴンの背に飛び乗って奪うのもありです!ただし!地面に落下すると失格となります!」

「立ったままとは、私は苦手ですね〜。相棒のドラゴンと息があってないと出来ない芸当です!」

立ったままか……見習い生の時にお試し的な感じでやって全然出来なかったからそれ以来やってないな。

「皆さん空へと飛び立ちました。ドラゴンの上で続々と立ち上がっています。シリウス殿とトール殿は余裕そうですね。対して他の仲間はフラフラと少々頼りない様子。」

「シリウス殿!!いつものやってくださいよ!」

ステラは呆れるような素振りを見せると、グレイヴの上でバク宙をやって見せた。民から歓声が上がる。

「ファンサービスも欠かさないシリウス殿、素敵ですね〜!」

「いや、君が頼んだんでしょうよ。」

「バレましたか。お!どうやら皆さん位置についたようです。」

「それでは!空中リボン取り……スタート!」

その声と同時にシャギーのドラゴン、ラーグスがブレスを空に放った。

「シリウス殿容赦ない!他のドラゴンの背に飛び乗っては次々とリボンを奪っていく!黒龍部隊の勝利に大きく貢献しています!」

「おぉ!さすが白龍部隊!協力プレイで着実にリボンを奪っていく!」

「ここで黒龍部隊と白龍部隊について皆様におさらいしておきましょう!両者の部隊は最強の部隊。しかしどちらも非常にプライドが高い1面も持っております。」

「黒龍部隊は孤高の存在。一匹狼で単独による競技は常に無双してしまうほど。」

「対して白龍部隊は連携を得意とします。仲間との信頼が厚く、他の部隊と比べても群を抜いて息があっているのだとか。」


「行けぇぇぇ!!ステラーーー!!」

「フリッグ偽名!偽名!」

「おっと。」

しばらく経った。

「そこまで!」

今度はカリゴスのドラゴン、トートルが空にブレスを放った。

「結果は……僅差で黒龍部隊の勝利です!おめでとうございます!」

観客や黒龍部隊から歓声が上がる。

「ですがまだ競技は始まったばかり。この後の競技で白龍が差をつけるかもしれません。」

それからどんどん競技が続いていった。チーム戦では白龍の圧勝、個人戦では黒龍の圧勝。見方を変えればほとんど互角だ。でもやっぱりステラが本当に強い。まずグレイヴが早すぎるのだ。それにステラの身体の柔らかさや身のこなしが合わさるともう無敵だ。

ジェイ

本名・シャギー 金龍部隊長


カリウス

本名・カリゴス 銀龍部隊長


ビョシュラ

最小のワイバーン。

ニワトリに托卵しているところを人間に発見され、飼育したところ、唯一懐いたワイバーン。

大人の膝程の高さしかなく、炎を吐かず魚食のため危険度は低い。

手紙や荷物を運ぶ等雑用をこなす。主に忠実でペットとしてかなり人気が高い。

尻尾の先はガラガラ蛇のように音が鳴る。元々は仲間に危険を知らせるために使われていたが、現在は感情を表すのに使われている。

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