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疑惑

「おーい!皆!」

「フリッグに……サンドラ!?無事だったのか!」

センクルが叫ぶ。

「フリッグのアメリアが魔法能力が発現して助けてくれたんだ!」

「魔法能力で助かるってことは、治癒魔法なのか?」

「うん。そうみたい。」

「すげぇ!今まで治癒魔法の発現者なんていなかったのに!レガーレできるようになったら医療隊の負担はかなり減るぞ!」

「それよりも、遺体を運ぼう。」

見ると、ジブルの遺体は布で巻かれていた。デザイルの遺体はドラゴン達の力を借りて共に運ぶ。

「よし、準備出来た!運ぼう!」

そして僕達は城に帰還した。

ジブルとデザイルをサンドラのロースが焼いた。部隊長の務めだ。ドラゴンの鱗は火は効かない。そのため、鱗を数枚剥がし、燃えるようにする。騎士団の遺体をドラゴンの火で焼くのは、来世でもライダーとなり、また共に行動が出来るように。と願いが込められている。そして燃やした遺体は共に墓地に埋める。使っていた鎧も一緒に埋め、騎龍武器は埋めた場所に突き刺す。この葬儀を終えて皆で弔う。一般部隊全員が参加していた。そして王子も来ていた。王子、僕、サンドラと順番に話をし、僕達はジーラットとデザイルの墓に向かって膝を付いて弔った。ドラゴン達も体を低くする。

葬儀が終わると、皆コモンルームに戻った。

「はぁ、悲しくなるよ。」

「うん。僕は同じ部隊じゃないのに虚しい。」

「でも、いつまで経っても悲しんでいられない。ジブルはそんなの望んでないだろうし、明るくいこう!」

「はは、君らしいや。」

「もうこれ以上死者を出すもんか。オイラが頑張るしかない!」

そして夜になり、僕はいつものバルコニーへ向かった。ステラに会えると思ったからだ。あと単純に僕もそこが気に入ったのもある。

「あ、ステラ。」

「あらフリッグ。……仲間が殺されて辛かったでしょうね。」

「うん。同じ部隊じゃないから深く感じれなかったけど、葬儀中は自分のことみたいに辛かった。」

「しばらくは心を休めた方がいいわ。サンドラや他の茶龍部隊もね。」

「ねぇ、村人達に支給していたお金ってあれは国から?」

「ん?自腹よ?」

「えっ?」

「私自分のためにお金使うことってほとんど無いの。食事は銀貨数枚で足りるし、生活必需品は国からの支給で部屋に全部揃ってるし。」

「そ、そうなんだ。」

「だからお金は貧困層や今日みたいな復興費用として民に支給してるわ。」

凄いなぁステラは。僕ならそこまで考えられない。

すると、僕の騎龍晶から、あの小さな竜が出てきた。

「あ、君。」

「その子、邪龍……よね。なんだかあなたに懐いてるみたいだけど。」

「うん。邪龍にしてはワイバーンっぽいけどね。」

小さな竜はキョロキョロと見回していた。

「ふふ、可愛い。名前は無いの?」

「そうだな……君はメランだ。」

「良いじゃない。不思議ね、邪龍なのに危険に感じない。あなたが扱うからかしら。でも、これはあなたは奴らの血族ってこと。これって相当やばいのよ?」

「なんか、実感が湧かない。バレたらやばいんだよね。」

「もちろんよ。迫害や追放を受けるだけでは済まされないかもしれない。あなたがどんなに良い人でも、皆には伝わらない。黒魔術を扱えるというだけでも危険だから。」

ステラは左目を擦りながら言った。

「どうしたの?」

「いや、さっきから痛痒くて。目に埃でも入ったのかしら。掃除は行き届いているはずなんだけどな。」

「念の為診てもらったら?」

「このくらい大したことないから大丈夫よ。」

「なら、いいんだけど。あ、ねぇずっと気になってたことがあるんだけど、君の騎龍晶ってどこにあるの?」

「それなら。」

ステラは後ろに振り向くと、後頂辺りの髪をまさぐって広げた。

「見える?ここにあるんだけど。」

よく見ると、鈍く輝く赤い騎龍晶があった。

「これ、ちょっと見えると瘡蓋と間違えられる時あるのよね。」

「なんでそんなところに?」

「グレイヴに後ろからどつかれたから。頭目掛けて。」

「え、気になる。」

ステラはグレイヴとの出会いを話してくれた。リビングに放置されていた黒い卵が孵化し、自室にいたステラに後ろから飛びかかったという。後頂に騎龍晶が出来たのもそれが理由。幼い頃のグレイヴはかなりやんちゃらしく、物をよく壊されたんだとか。さらにその時から既に炎ブレスを出すことができ、家が火事になりかけたこともあったという。

「生まれたばかりなのに火を吹けるなんて。」

「それだけじゃないのよ。大人になったと同時に魔法ブレスに魔法能力も発現したの。」

「え!はや!黒龍って凄いなー。」

「いいえ、グレイヴが凄いのよ。精鋭色って基本見習い生の内か、入隊してすぐに発現するの。でもグレイヴは強くなるのが何もかも早かった。」

「レガーレもすぐできるようになったり?」

「いいえ。レガーレを使えるようになったのは、多分私が一番遅かったと思うわ。」

「そうなの?あんなに息ぴったりなのに。」

「今はね。昔は喧嘩ばかりしてた。一週間以上顔も合わせなかった時だってあった。」

ステラは昔を思い出すように目を瞑って言った。

「ドラゴンの姿や性格ってね、その主人に合わせて決まるの。でもグレイヴと私はびっくりするくらい不釣り合いだった。」

「それでどうやってレガーレを?」

「グレイヴと息が合わないのは、お互い分かり合えてないからだと思って、それで……喧嘩真っ只中であまり気乗りしなかったけど、グレイヴに頼んだの。一緒に手合わせして欲しいって。」

「手合わせって、戦ったの?」

「そうよ。グレイヴはいつも通り呆れながら了承してくれたわ。何度も何度もグレイヴの攻撃が当たってノックダウンして……グレイヴの攻撃って凄く早いの。特に翼と尻尾の攻撃が。グレイヴは他のドラゴン達と違って肉弾戦に魔法ブレス……ブレスとは言えないかな。それを体から出して纏わせて素早く攻撃してくるの。こんな戦い方をするドラゴンは初めてよ。」

「確かに今まで見てきたドラゴンで、グレイヴだけ肉弾戦に特化してる気がする。翼で体を守ったりするのもそうだけど。」

「それでずっとやってるうちにグレイヴと戦うのが楽しくなって、気づいたらレガーレを使えるようになってたわ。……エルテノ・レガーレもね。」

エルテノ・レガーレ。見習い生の時に授業で習ったな。相棒と完全に一心同体になると発現するという特別な力。

「エルテノ・レガーレを使えるの、あなたに期待してる。」

「いや、僕は……あ、ねぇなんで今日駆けつけてくれたの?」

「移動中に見覚えある光が見えたから嫌な予感がしたのよね。そしたら案の定ルーシーだった。」

「移動中って君も任務だったんじゃ?」

「いや、私達は帰還するところだったから大丈夫よ。」

「そうなんだ。ありがとうステラ。助かったよ。」

「ふふ。眠くなっちゃったからそろそろ寝るわ。おやすみフリッグ。」

「うん。おやすみ。」


次の日となり、僕は朝食を済ませて訓練の時間になるまで待機していた。

「紫龍部隊長!」

兵士が僕に手紙を渡してきた。

「ん?どうしたの?」

「総帥からです。」

「?ありがとう。」

恐る恐る手紙を開けて読む。

『総帥部屋で待つ。』

それだけだった。なんだろう。なんだか凄く、胸騒ぎがする。

僕は立ち上がり、総帥部屋に向かった。


私はグレイヴの体を洗っていた。

「わ、ちょっと水飛ばさないでよ。」

もう十分だろ。

「黒龍は汚れが目立たないから入念に洗わないと。鱗の隙間とかどんどん溜まっていくわよ?……いたっ!」

ったく。尻尾は斬れるから気をつけろって言っただろ。……左目赤いぞ。擦ってるのか?

「え?あぁ。昨日から痛痒くて。多分埃がアレルギーかなんかになったんだと思う。」

黒魔術か?直撃しただろ。目に入ったんじゃないのか。

「いやそんな、まさか。」

浸透すると失明して廃人になるぞ。それか、死ぬか。

「ちょっとグレイヴ!怖いこと言わないでよ。もうおしまい!」

私は道具を片付けて、部屋を出ていった。

正直……痛痒いどころではなかった。昨日の夜、急に激痛になってあまり眠れなかったし。ナイフで自分の目を潰しそうになったくらいには。イーサンに止められたけど。凄く心配かけてしまったな。

すると、近くを歩いていた赤龍部隊から話し声が聞こえてきた。

「怖い怖い、仲間だと思ってたヤツがスパイとか。」

何の話をしているんだ?

「だよな。黒魔術使えてしかも邪龍も出せるとか。」

私は思わず立ち止まった。

「お前たち、その話……どういうことだ?」

「げ、黒龍部隊長……じゃなくて。司令官、聞いてないのですか?一般部隊の中にスパイがいるって話。」

「知らないが。誰がそんなことを?」

「我々もよく分からないんですが、そういう噂が黒龍部隊から流れてきたと。」

「俺の部隊から?」

「えぇ。」

嫌な予感がする。私は走って部屋まで向かった。

「イーサン!!」

「ん?おおステラか。昨日の夜から大丈夫か?」

「今はその話をしに来たんじゃない。言ったのか?」

「は?何を。」

「フリッグが黒魔術を使ったことだ!」

「おいおい落ち着けって。俺たちしかいないのになんでそんな普段な感じに……友人になら言ったが。それがどうしたんだ。」

「広まってるんだよこのアホ!!」

冷や汗が止まらない。まずい。久しぶりに焦り倒してる気がする。

「別にそんな焦るこたねぇだろ。平気だって噂なんて確定じゃねぇんだから。」

「お前は……フリッグが嫌いなのか?」

「……あぁ嫌いさ。」

「嫌いなら嫌いで構わない。だが、そんなくだらない理由で命を無駄にしていいと思ってるのか?俺が……私がイーサンを嫌いだったら殺してもいいの?」

「……。」

私はイーサンに背を向けて部屋を出ようと扉に手をかけた。

「お前にとってフリッグはなんなんだよ。」

「……大切な人。」

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