39 時は来た。召喚者集合!!
明日で、この物語も終わりか……
◆ ◆ ◆
――同時刻、南区の中央で二人はある人物を持っていた。
「本当に来るの? 約束もしていないんだよね?」
「こっちに来てから会ったことは一度もないからね」
ぞろぞろと僕たちに近づく足音が聞こえてきた。僕はゆっくり瞬きしその人達を見据える。
「あんたが高橋一綺か?」
リーダーらしき人、でもリーダーではない。僕は応える。
「そうだよ。集まってくれてありがとう」
ざっと十人。全員、この世界に召喚された召喚者だ。五年置きにしか召喚されないのと、既に死んでいる者も数名居るためこの数が限界だった。とはいってもほとんどが高齢だ。こんな世界に召喚されたあげく、ループを繰り返した末に寿命や魔物に殺されていく。そんな理不尽はまかり通らない。
「な、なんでみんな約束もしてないのに集まれるの??」
陽彩が混乱するのも無理はない。まだこの世界に来たばかりで、仕組みに気付いていないのだから。
「僕たち召喚者にはある傾向、共通点があるんだ。それを利用すれば簡易なやりとりは出来ることに気付いて、こうして集めたんだ」
「傾向?」
「陽彩もそうだけど、拠点にしてる家が南区にあるんだ。王宮から降りてきてすぐが南区だからってのもあるけど、治安も良いしなにりより和食のレパートリーが多いんだ」
「ま、日本人たる者白飯は食いたいもんな」
僕に声を掛けてくれた人がそう言う。軽く談笑していると最後のメンバーが現れた。
「遅れてすまない。やはり、集まっていたようだな」
口調とは裏腹に姿を現したのは、子供だ。幼さというモノは一切なく、凛々しさ気高さが見える。子供の隣にはどこかで見たような顔の人物がいた。
「なんか見たことあるような……」
「見たことあるって……ありゃこの国の王様じゃぞ」
あ、五年前に就任したばかりの新国王か。
するといきなり子供が頭を下げてきた。
「この度は、私の考えが至らなかった故こんな事態が起こってしまった。本当に申し訳ない」
僕含めみんな驚きあたふたする。何のことを言っているのかさっぱりなようでどうしたら良いのか分かっていない。
「? ああ、そうか。この姿では分からないよな、私は湊幽鬼。ここに居る湊陽彩の祖父だ」
「え、お……お、おじいちゃん?!!」
「久しぶりだな~陽彩。こんなにも大きくなって。私は嬉しいぞ」
陽彩が終始驚いている。無理もないだろう。陽彩のじいちゃんは既に死んでいて、その上子供の姿になっているのだから。状況が理解できなくても分からないことはない。むしろ僕だったらここは死後の世界なのかと思ってしまうだろう。
「私が後のことをなにも考えず行動してしまったばかりに起きた。いや、起こるべくして起きた私の不始末だ。本当に君たちにはすまないことをしたっ……!!」
再び深々と頭を下げる。それに合わせて隣にいる国王も頭を下げているのだから僕たちはさっき以上に焦ってしまう。
「……ここにいるメンツを見るに、私の知り合いばかりだな」
その言葉が意味する事は分からなかった。頭を使いすぎたようだし、正直もう陽彩に会えたことが嬉しすぎてそれ以外がどうでもい。
「ゆうきさん、これから何をするんですか?」
少し神妙な面持ちになるとゆっくりと口を開く。
「根本の原因はこの国にだけ日本文化を取り入れたこと。撤去したとしても今まで働いてきた人が報われん。ならば、そのほかの国にも日本文化を取り入れれば問題はないだろう」
他の国って、僕はここ以外にはズイッヒャーハイトにしか行ったことがない。それなのにって……そもそもこの世界には幾つの国があるんだ?
「本来ならば私一人の問題故、手伝ってもらう必要はないのだが……」
「何言ってんすか幽鬼さん! 俺たちは幽鬼さんのために今日集まってんすから」
このなかでは僕の次に若いだろう男性がそういうと、他の面々も同意をする。
「はやくここから帰りたいのは私たちも同じですから」
「お前ら……私は良い友に恵まれたな」
感動の再開を祝して、とはいかないが肩を担いだり握手をしたりしている。各々思うことはあるだろう。だけど、僕たちはようやくこの世界から帰ることができるんだ。
「一か月だ。一か月で終わらせよう!」
――その言葉を合図に僕たちはまず隣国へと向かった。それからは忙しい日々だった。寝る間も惜しみ、昼夜交代で作業、指示をする。この国には銭湯を造った。
次の国へ行くと僕たちの噂は既に広まっており、銭湯を造れと喚いていた。しかし、同じモノを造っても意味がない。この国には漫画喫茶を造った。本は本来高価な物で一般庶民には買うことさえ難しい、しかしこの漫画喫茶でがポイントさえ払えば制限時間内、読み放題飲み放題だ。
さらに次の国へ行くと銭湯と漫画喫茶両方造れと言う者が現れていた。その国は年中気温が冷やく、冬のようだ。ならばと、スケートリンクにスノー場を造った。
さらに、さらに、さらにetc……
――すべての国に日本文化を取り入れたりして、いつのまにか一ヶ月が経った。それはつまりタイムリープの終わり、前の週を過ぎたことを意味する。僕たちはサスピシャスの南区に戻ってきていた。僕が行かなくても、あの人は現れる。あけど自分から迎えに行きたかった。現れた人影に僕は声を掛ける。
「久しぶり、夢子さん」
「久しぶりなのだ。一綺くん、どうやら上手くいったようなのだね」
辺りを見渡しながらそう言う。僕たちの苦労、と言っても一ヶ月だが。それでも始めの頃に比べればこんな日数はほんの一瞬で、かけがえのない思い出で、眩しかった日々だ。それが今こうして報われるのだ。
せや、後日談とかっているかな?
正味要らないような気がするんだよな。後でTwitterに上げるから良かったら投票してクレメンス(マイホームにTwitterのURL貼ってるんで)
また明日──




