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Reターンズ・クエスト  作者: 転香 李夢琉
第一章 異世界、そしてクエスト
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03.5 南区巡り

挿話です。


 ――数日たったある日。

 今日は何となくクエストはせず街をうろうろしてみることにした。

 まだこの世界に来て一日二日だ。地理くらいは覚えておいたほうが後々クエストを熟すときにも役に立つだろう。そんな思いで今は南区を探索している。


「今更だけどやっぱ異世界なんだよな~」


 石造りか木造の背の低い民家やお店が多い。コンクリやセメントといったものは使用されていないのかいかにも中世といった感じ。

 そんな住宅街か街中かを歩きながら西区へと繋がる小橋にたどり着いた。川はとても澄んでいて街中にも関わらず、小魚が泳いでいた。何の魚かは分からない。元々魚にそれほど詳しくないし、ましてや異世界の魚なんてわかるはずがなかった。


「刺身とかもあるのかな?」


 刺身、海鮮丼、ムニエル……


(だめだ、おなかが減ってくる)


 思わずおなかを擦るが空腹はただの気のせいだった。歩き始めてからそこまで時間は立っていないし、クックおじさんの食卓のクエストで往復した時間と比べれば屁でもない。とはいえ、あと一時間もすればおなかの虫が鳴きそう。


「次はあっちのほうに行ってみるか」


 小橋を渡るとそのまま西区には入らず、西区と南区の境界沿いにぐるっと歩き始めた。

 しばらく歩くとちょっとした路地にたどり着いた。路地はなんだか如何にもな雰囲気がある。入れば終わりじゃないが戻ってこれなさそうな不思議なオーラがあった。が、よく見ると路地を入ってすぐの壁にクエストが三枚ほど貼られている。


「あのクエスト気になるな……でもなんか怖いよな」


 一瞬だけなら、ちょっと入ってクエストを見るくらいなら問題ないだろうと覚悟を決めるとササっと足を踏み入れる。

 恐る恐る進みながらクエストの前までたどり着くと内容に目を通した。


 魔獣の討伐:ブルーウルフの討伐。ポイント二十

 魔獣の討伐:惑わしラビットの討伐。ポイント二十

 魔獣の討伐:メッシュウルフの討伐。ポイント三十五


 どれも魔獣の討伐だった。それに報酬がかなり高いがそれだけ危険な魔獣なのだろう。絶対に関わりたくはない。

 僕は落胆しながらそそくさと路地裏から出た。ため息を零すと再びあてもなく歩き出す。

 

「ってもう昼か。早いな」


 適当に歩いていただけなのにいつの間にか頭上に太陽が昇っていた。思っていた以上に南区は広いし、それでいてきれいな街だ。

 そんなこんなで近くにあった食事のできそうな店に入ってみた。


「いらっしゃい。一人かい?」


「あ、はい」


 カウンターに通されたので座るとおすすめを頼んでみた。待つこと数分、出てきたのはなんと海鮮丼だった。


「?! ちょうど食べたかったやつ」


 しかも、なんと箸があった。驚きすぎて一瞬日本に戻ったのかと錯覚してしまうくらいに。

 どんぶりの中に米が八割ほど入り、その上に赤身と白身の刺身が乗っかり、いくらのような小さく丸いぷつぷつもあった。そして千切りにされた海苔があり、一番上には半熟の目玉焼きがでかでかと乗っている。そこに掛かる赤黒いタレ。おいしそうなにおいがこれでもかと僕の鼻にこびりついてきた。


「いただきます」


 一口、また一口と口に運ぶと舌の上でとろけるような甘さとお米の温かさがマッチングしたなんとも食欲を進める最高の一品だった。目玉焼きも目玉焼きで、箸を入れて出てくる中の君が赤々しくとろりとする。刺身と合わせて食べるとものすごくおいしい。

 最後にお口直しとして水を灌ぐとグイっと飲み干した。


「うまかったぁ」


 ポイントを払うとこの店を後にする。


「今度また来ようかな?」


 ちゃっかりそんなことを思いつつ、帰路に向けてまだ通っていない道のりで帰りだした。

 おいしい料理も食べれたことで気分ルンルン。今だけは異世界に召喚されて良かったなと少し思ってしまう。

 と、先ほど小橋を通ったからか、今度は大きなアーチ状の橋が掛けてあった。こっちの川には小舟が行ったり来たりしている。方角的におそらく別の区へと繋がっているのだろう。陸路以外の重要な道なわけだ。

 ちょうどてっぺん辺りに来ると軽くこの区を見渡すことができ、ちょっとした絶景になっていた。日も傾いてきていたことで川に日光が反射しゆらゆらと太陽が浮いている。


「きれいだな……どうせなら一緒に」


 バカなことをつぶやこうとしたが頭を振るってその考えを打ち消すと橋を降りていく。するとなぜかにやにやしている三人組がこちらに向かって来ていた。


(絶対やばそう。もし話しかけられても無視だな)


 ただの取り越し苦労ならばどれほどよかったか、案の定そいつらは僕の目の前に立ちふさがった。

 真ん中の大柄の男はロングソードを手に、右側の間抜けそうな顔の小さい男はナイフを、そして左側の腹が出まくっているメガネの男は杖を手にしていた。対する僕はなんの装備もない。武器はおろか戦えそうな獲物すら持ってきていなかった。そもそも魔物とも戦ったことがないから武器を調達していない。

 一目でわかる。盗賊とかそういうやつ、野盗だ。


 こんな状況で何ができるのか。否、なにもできることはない。

 僕は一目散に回れ右をして走り出した。


「金目もんよこせ!」


「なにもしてないけどごめんなさ~い!! ってまじでついて来るなぁ‼」


 逃げる僕に容赦なく魔法を放つデブ。なんとか避けれているものの当たれば即死級だ。水の弾丸とはいえ圧縮された水は切れ味がやばい、それと魔法が使えるのがあのデブのおかげでだんだんと撒けてきている。


「ひぃひぃはぁはぁ……」


 かなり疲弊しているようだがまだ走っているし、適当に撃ってくるせいで今にも当たってしまいそうだ。それに、脅威は魔法だけじゃないのがほんとうに邪魔で邪魔で仕方がない。大柄の男も小さい男も足が速く、僕とほぼ同じスピードだ。少しでも僕のスタミナが切れるか、魔法に当たってしまうかすれば一気に袋叩きにされてしまう。

 こんなところで死にたくないし、せっかくためつつあるポイントを奪われるわけにもいかない。


「そこまでですよ。街中での魔法の使用は禁止されています。今すぐその杖を下ろしなさい」


 必死に逃げていて気が付かなかったが、さっと僕と野盗との間に割って入る獣耳に尻尾を生やした獣人がきちっとした制服らしきものを身に纏い現れた。


「ちっ自警団の連中か。次は会ったら金目のものは全部おいて逃げろよ? 運が良かったな」


 なぜか潔く諦めてくれた。細身の男があとからゼェハァ言いながら来たデブの肩を支えながら来た方向へ帰っていった。


「大丈夫でしたか?」


「な、なんとか……」


 こんなに全力疾走をしたのはいつぶりか、今になって疲れが一気に出てきた。

 この獣人はジョイドというらしい。それも狼の獣人なのだとか。自警団というのは日本でいうところの警察のような存在で街中の安全を守っている。

 いろいろありすぎて疲れてしまった。帰りはジョイドさんに宿まで送ってくれた。正直また野盗にあったらどうしようと思っていたのでとても心強かった。

 

無くても物語上にほぼ問題ないけどあったほうが絶望感とか分かりやすいかなって思って作ってみたよ

今現在進行形で時間軸とか合わせて編集したりしてるからちょこちょこ日付とか変わっていったりしてる

ちなみに今になってなんでこんなことをしてるかというと、WEB小説大賞に出そうかなって思ったからで。それには文字数制限があってね9万字以上っていう……ちょっと足りないんだよね

うん。

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