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異世界奮闘記〜異世界転移はロマンと共に〜  作者: オーム
1章 未知の世界でさまよって
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1話 謎の世界


気がつけば、視界いっぱいに青空が広がっていた。

体制的に、仰向けで寝転んでいる。

全身がズキズキするし、目はチカチカするし、あまりいい状態では無さそうだ。

……一体どれほど寝転んでいたんだろう。1晩中転がっていたのかな。


あっ、いかん、早く帰らないと。


少しだけ腕を動かしてみる。

かなり重たさを感じたが、問題は無い。

ゆっくりと首を回す。隣に、リュックサックが転がっていた。

そして、顔がチクチクして、緑色の草が見える。

どうやら、芝生が生い茂る丘のてっぺんに仰向けで倒れていたようだ。


上半身を起こすと、信じられない景色が目に映る……。


地面が複雑に隆起したかのように複雑に重なり合い、その上に緑色の毛布をかけたような草原になっていて、それはそれは綺麗だ。

青空には、強調的な真っ白い雲の塊がいくつか、眠たくなるほどゆっくりと流れる。

その雲たちを目で追っていくと、凄く遠くに、青白い山脈が見える。

結構雪を被っていて、これまた綺麗だ。


優しい風が俺の横を通り過ぎ……


あれ?草原?

あれぇ?


ん?どういうことだ?

ここはどこだ?俺はどうなったんだ?


左腕を見ると、腕時計が時間を刻んでいる。7時20分頃だ。靴は黒い運動靴だし、紺色のブレザーとズボン。

顔にはしっかりメガネがかかっている。



ちょっと待て、1回考えよう!


まず、俺は学校から帰っていた。

次に、普段は通らない道を通って、空き地を見つけた。

で、空き地の奥で何かを見つけて……確か亀裂だったな。

それで、どうなったんだっけ。


ふと、頭上を見上げると、さっきは気が付かなかったが、高さ数メートル位のところに見覚えのある亀裂が見えた。

……つまりここは、あの亀裂の内部なのか?



もう一度辺りを見回す。

遠くには小川が流れ、花は咲き乱れ、ざああぁっと心地よい風が吹いている。

1番奥の方には鬱蒼とした森が、ここら一帯を囲んでいるようだ。

思わず感嘆の声が出るほど、幻想的……


え?


いや、ここどこだよ!そうだ、スマホっ!たしか、ブレザーのポッケに入ってあったはずだ!


スマホを起動し、パスワードを入力……あれ?圏外……?

とにかくマップのアプリを起動。しかし、エラーが発生した。つまり、電波がここにはない。


え?これって帰れないじゃん……!

体中が緊張で暑くなるのを感じる。

あー、もぅっ!!どうなってるんだよ!!


もしかして俺、こんな訳分からん場所で一生を終わらせるのか!?

まだやり残したこといっぱいあるぞ!見たいアニメあったし、彼女欲しかったし、なりたい職業もあるし……えーと、あれ、あんまやりたいこと少ないぞ。


あ、そんな場合ではないか。


「すぅぅぅ……はぁぁぁぁ、落ち着け、とりあえず落ち着け、大丈夫、何とかなるさ。」


ラジオ体操のお兄さんもビックリな派手な振り付けと深呼吸を何度かすると、程よく冷えた新鮮な空気が肺いっぱいに広がり、少し落ち着く。


少し冷静に考えて、まずはこれからを考えよう。

まず、この世界の情報収集。といっても、人のいるようなところじゃ無いはずだ。


目標は、日本に帰ること。


そのために、まずは言葉が通じる生物に会わないと行けないな。あ、もちろん友好的なヤツね。

さて、その後は……


そんなことを考えてると、俺はなにかに躓いた。

「うわっ!」と思わず声が漏れる。

どうやら、リュックサックに躓いた。そうか、考え事の最中、ずっとウロウロしてた……悪い癖だ。


もう一度、空を見上げる。

変わらず、光を不思議な角度で屈折させる亀裂がある。あの高さなら、なにか使えば接近できそうだ。

もし接触出来れば、元の世界に戻れるかもしれない。


さて、どうするか。長い棒を使って突くか、はたまた足場を作るか……。


しばらく考えた結果、石ころを投げて様子を見ることにした。

足元に目をこらすが、砂利程度の小石くらいしかない。テニスボールくらいのサイズが理想的なのだが。


見渡すと、ここら辺が複雑に隆起した地形らしいことを思い出す。

めくれ上がったかのように地面が持ち上げられ、チラホラと池もある。

褐色の岩肌が露出しているところがいくつかあって、そこらには大小様々な石ころが落ちていた。

これは使えそうだ。


リュックサックを背負い、なだらかな丘を下っていく。

岩場には予想通りいいサイズの石ころが転がったいた。適当に3つ拾い、また丘の上に登る。


空を見上げると、ちゃんと亀裂があった。

つか、俺、あんな高いところから落ちてきて、よく怪我もなく起き上がれたな。

これが、主人公補正?

見えづらいのと、比較対象がないから分かりづらいが、6メートルくらいだろうか。

ま、無事だからいいか。


石を2つ、足元に転がしておいて、右腕をぐぅぅっと下げる。

そう、投球の構えだ。


「ふぅぅぅ……ふんっ!」


全身を大きく、素早く捻り、腕に伝わった勢いをさらに加速させ、第一球!!


すぽーーーん__と、間抜けな音が聞こえた気がする。

顔を上げると、石ころがあらぬ方向に飛んでいくのが微かに見えた。

ま、まぁ、初めから上手くいくことなんて中々ないし、次だ次!


石ころを拾い上げ、今度は軽く力を抜いて、ヒョイッと投げあげる。

すると、亀裂からやや離れたところで減速し、ポトリと落ちた。だが、位置はだいたいあっていたし、もう少し投げていれば、当たりそうだ。


ふと、なんとも言えない不安に襲われた。いや、不安というか、不安に近いが、何か違うものと言うか。

それで思い出す。

別に、亀裂に刺激を与えたところで、元の世界に帰れる確証はない。


だとすればどうなるのだ?


よく耳をすませば、ことりの鳴き声ひとつ聞こえない。見た感じでも、水や植物こそあるものの、動物はなぜか見当たらない。

地面に目を凝らしても、アリすらいない。

つまり、待ち受ける未来は"餓死"……。


ダメだダメだ、ポジティブに行け!植物があるなら、生物だっている!たまたまここにはいないだけだ!


よし、石を投げ続けよう。


だが、石を拾うのに腰をかがめた瞬間、何かが動くのが見えた。

次の瞬間……


グルルルル__

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