前へ目次 次へ 90/111 第九十話 暁闇流の少女 「エルブ……」 少女はふと呟く。実力の片鱗を見せられ、任務から逸脱しつつも全力(少なくとも私は)戦い、勝つ為に《・・・・》死ぬ覚悟までしたのに助けられ、負かされた少年の偽名《なまえ》を。 「助けてくれてありがとうございます、また会いましょうね、エルブさん」 少女は、少しだけ名残惜しい気持ちでまた少年の事を呼び、穴が空いた屋根から外に跳躍した。 「大司教様《だいしきょうさま》に報告しないと」 少女はそう言いながら、家の屋根の上を走り、闇夜を飛び去った。