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第八十三話 突撃!隣の教室

「……と言う訳で、俺は他のクラスも開放してくる。ここには静を置いて行くから安心しろ」

 俺は友人達とその周りの同級生に向けてそう言い、立ち上がった。すると紫穂が、少し動揺した様に言った。

「でも、大丈夫なんですか?」

「あぁ、静は信頼できる。みんなは怪我をしないはずだ」

 俺がそう言うと、紫穂は「そうじゃなくて……」と言って口を噤んだ。すると後ろから静がやってきて、俺に耳打ちをした。

「多分誠さんのことを心配してると思う」

 静の言葉を聞いた俺は、ありがたいなと思いつつも返答する。

「大丈夫だ。絶対に死んだりしない」

 紫穂は俺の言葉を信じてくれたようで、少し不安そうにしながらも、俺の考えを尊重してくれるようで「気を付けてね」と言ってくれた。その言葉をしっかりと聞いた俺は、静が見張っていた廊下に向かおうとする。すると今まで黙っていた千姫が言葉を発した。

「私も行く」

 千姫は淡々と言った言葉に、俺は少し動揺した。

「どうして?」

「一人より二人の方が良い。野賀地さんが残るなら私が行く」

 俺はどうすればいいのか考えていると、紫穂が賛同するように言った。

「私も賛成です。……私だと誠くんの足手まといになっちゃうけど、千姫ちゃんならそんな事ないだろうし」

 紫穂は言う言葉に間違いはない。千姫なら突発的なこと二度対応できるだろうし、素早く相手を無力化もできる。

「それに、私には分離奇生命体がいる」

 そう言って千姫は指輪型の分離奇生命体を機械ティックな短剣(切れ味を落としたもの)に形態変殻させる。そうだ、千姫は分離奇生命体を付けたままだった!それなら慣れた装備で戦えるだろう。それにもしもの時にも、高速形態変殻があれば対応もできるだろう。俺はそう考え、同行することを了承した。千姫は真剣な顔で頷き、静のゴーサインのもと、俺達は彩芽達の居る隣、一組の教室に向かった。俺達は廊下の物陰に隠れ、隣の教室をのぞくと、同級生は、俺達と同じような配置になっていて、魔浄教団員はこちらと同じ五人であることが分かった。その時タイミングよく、周囲を確認し、反撃に出ようとしていた和義と一瞬目が合う。そのことだけで、俺達は行動を決めた。

「千姫。俺達は、和義から離れた相手を倒す」

「了解」

 千姫の素早い返答を聞いた俺は、ハンドサインでカウントをし、突入した。まずは廊下の監視役を千姫がダガーでうなじを叩くことで昏倒させた。それを横目に見つつ、俺は同級生の監視役で一番近くにいた者の首をチョップし昏倒させる。そのタイミングで、和義も動起きだしており、二人目を殴り倒していた。そして最後の一人のことを千姫が足払いし、俺がそれを不自然な角度で支え、上から和義が殴り、全員を昏倒させた。その時間、僅か三秒。その姿を、同級生達は呆然と見ていた。

「助かった」

 和義は魔浄教団員を拘束しながら、俺にお礼を言った。

「構わないさ」

 俺はそっけなく返す。そして魔浄教団員を拘束した俺達は、和義をメインにした同級生に説明をし、情報交換をした。

「なるほど、やはり委託所が爆破されたのか……」

 俺は和義が魔浄教団から聞いた情報を聞いて、軽く舌打ちをした。まだ分離奇生命体が死んでしまったかは分からないが、生れた時から家族だった者を死の危険にさらされるのはいい気分ではない。幸いこの教室は怪我人もなく、すぐに行動できるようだったので、同級生全員を二組の教室へ移ってもらった。(魔浄教団員は、監視もしたかったが、昏倒、拘束していて、こちらの人員も割きたくなかったので、十人とも、一組の放置してある)

「よし、静はこのまま残って、彩芽達は静のサポートをしてくれ。俺と和義、千姫は他の教室も回ってくる」

「「「了解」」」

 川蝉のメンバーと彩芽は、自然な流れで了承し、他のみんなも、頷くなどして了承した。

「じゃあ俺達は二年生の教室に行ってくる。」

「気を付けてね」

 そう彩芽達に見送られながら、俺達は他の教室を入念に確認しながら、迅速に教室を解放していった。

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