第八十話 報告と再会
徒歩数分。途中で捕らえた魔浄教団員を回収班に預け、ある集合場所に到達した。それは一軒の家であった。松川利斎は訝しむような表情をするが、家の中に入った瞬間、その表情を変えた。
「パパ!」
「あなた!」
松川利斎の娘が、胸に飛び込んでくる。その状況を理解した松川利斎はまたも涙ぐみ、妻子の名を呼ぶ。妻子はその言葉と涙に促されてかつられて涙を流す。そんな姿を俺達は微笑ましいといった感情で眺めていたが、任務完了の報告をするため、泣いている家族を誘導してリビングに居てもらい、二階の一室に入る。
「帰ったか」
俺がその部屋に入ると、待ち構えていたようにこちらを向いた織曖さんがいた。
「織曖さん、松川利斎の救出、完了しました。その途中、妨害に入った魔浄教団員の捕縛に成功しました。回収班に預けてあります。」
俺はそう報告する。織曖さんはその報告を良く思ったのか嬉しそうに微笑んだ。
「そうか、ご苦労だったな。松川利斎とその妻子はこのままここに一時的に住んでもらう。エルブ達はこのまま帰ってくれて構わないぞ」
「了解です。お先に失礼します」
「あぁ、お疲れ」
俺は織曖さんとそう会話し、帰るついでに松川利斎に挨拶をし、帰った。




