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第八話 ……喫茶にて
「もぐもぐ……」
「よく食べるな~」
真十花の食いっぷりに驚きつつも次第に慣れた俺は、珈琲を啜りながら生温かい目で見守っていた。彩芽らも、落ち着きを取り戻したようで、飲食をしている。そして天風らは、喫茶店の隣にある広場ではしゃいでいる。
「元気だね~」
「なんだが年より臭いよ、彩芽ちゃん」
彩芽がお茶をすすりながら、遠い目をして話すと、紫穂が楽しそうに茶々を入れた。その時、広場を元気良く走り回っていた天風らが急に止まり、ある一方を向いた。
「なんだ?」
天風の行動を見て、俺は訝しむ、一匹だけがふと止まるのならまだしも、薙摘など他の分離寄生命体たちもその一方を見て動きを止めている。ふと室内に、不思議な風が吹いた気がした。
「俺、天風と一緒にあいつらが向いてる方向に行ってみる」
「あっ、ちょっと、待ってよ!誠!?」
好奇心と不安が入り混じった俺は、俺と一緒で天風らを見て硬直していて、やっと解放された彩芽の言葉を無視し、食事中の机の上にお金を置いて、いつの間にかこちらを向いていた天風を連れ、俺はその方向へと向かった。