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第七十八話 速やかな任務【蓮視点】

「突入まであと五分です」

 仲間の言葉に、僕は目を開く。横には莉沙りさが真剣な顔をして周囲を警戒していた。ここは東スラムの十八番路。つまり松川利斎の妻が監禁されている場所である。僕達は、一旦魔浄教団員からの聴取を中断し、松川利斎の妻子救出に駆り出されていた。

「マイン、周囲に変化はあったかい?」

「特にないわ。外を見ている監視役も、やはりいないわ。サラン」

「分かった」

 僕は莉沙の言葉に頷き、寄りかかっていた壁から背中を離した。

「総員配置についているかい?」

「えぇ、全員配置位置についているわ」

「ではみんな松川利斎の奥さんを救出するよ」

「「了解」」

 用意がすべて完了した。僕は自身の愛用している刀身の細い剣を触り感触を確認しながら、連絡用川蝉が伝えるカウントを聞く。

「“サラマンダー班、バイオレット班突入まで、五、四、三、二、一、作戦開始”」

 その声と共に、僕達は素早く、静かに扉の前に行き、手をかざし、そこから現れた小さな炎によって、一瞬で鉄の扉を溶かす。『上位術式じょういじゅつしき瞬溶しゅんよう種火たねび』である。そして解けた鉄の扉を越え、情報収集で集めた家の内装と監禁室を思い浮かべながら、地下二階へ向かう。途中数人の魔浄教団員が現れたが、叫ぶために息を吸うことすら許さず、仲間の『中位術式ちゅういじゅつしき泥蛇這絡でいじゃしゃらく』によって捕縛される。そしてついに地下二階。最奥の部屋の隅に、両手を拘束された女性を見つけた。

「んーー!」

 女性は助けを求めるように猿轡さるぐつわごしに叫ぶ。

「大丈夫、助けに来ました」

 僕がそう言うと、女性は安心したように息を漏らす。僕はそんな中周囲に目を向ける。外観的には異常なし。監禁室には監視するものやもしもの殺害法が設置されている可能性があるんだけど……

「カメラや爆発物、赤力もないわ」

 莉沙は僕が懸念けねんしていたことを、調べていたようで、タイミングよく答えた。

「分かった。じゃあ拘束を解いてこの家を出よう」

「「了解」」

 僕の言葉に仲間達は反応し、女性の拘束を解き、外にいる仲間に渡した。

「サラマンダー班、任務完了です」

 僕が外で、川蝉に話しかけると、少したって川蝉から返答が来る。

「……了解、先ほど、バイオレット班からも完了の声が届きました。お疲れ様です。魔浄教団員を一箇所に集め、撤退してください。後に回収班が回収します」

「了解」

川蝉越しに通信班の指令を受け、僕達は転がしておいた魔浄教団員を一か所に集めた。魔浄教団員は身動き一つとれないが、恨めしそうに僕達を睨んだ。

「そんなに睨まないでほしいな……。じゃあ僕達は失礼するよ。またあとでね(・・・・・・)

 僕は後に聴取ごうもん室で会うであろう魔浄教団員に別れを告げ、集合場所へ走った。

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