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第五十六話 景品一等は最新型掃除機です

 歓迎会は明るく楽しく進んでいった。後半に差し掛かったビンゴ大会は白熱したものとなっていた。俺の周りには、顔を難しくする美幸と友也や、我関せずえんといった様子で飲み食いをする和義や真十花、黙々と言われた番号に穴を開ける千姫、そして自身の家が用意した景品を求め、リーチの数字を願う彩芽がいた。その時、ふと背後に異様な視線を感じ、後ろに振り向く。そこには数匹の川蝉かわせみが長机の上に並んで止まっていた。一体どこから入ってきたのかと窓を見ると、端の方窓がかすかに開いていた。その流れで他に気付いているものがいるかと周りを見ると、数人、川蝉と同じ人数が振り向いていた。その大半は、見知った顔であった。俺はその中の一人、和義に話しかけた。

「なぁ、あれってやっぱりあの人の分離機生命体だよな?」

「そうに決まってるだろう。なにせあれに気付いて振り向いたのは、全員仕事仲間・・・・・・だ」

 俺の問いに、和義は的確に回答してきた。その言葉が皮切りとなったのか、仕事仲間達は川蝉の音へ向かい、俺と和義もそれに並ぶ。俺たちが川蝉の下へ着くと、その川蝉達はそれぞれ一通の手紙を持っていた。俺達はそれを手に取り、封蝋に目を向ける。封蝋ふうろう翡翠ひすいと言う石をくわえた川蝉と、その川蝉の周囲に風を現す曲線が数本。これで、だれからの手紙なのかがはっきりとした。俺は、溜息を隠さず封蝋を砕き開封すると、一枚の紙が入っていた。その紙には、簡素な文が綴られていた。

“今夜二十二時に、西区内門最寄にしくうちもんもよりの室内広場に集合せよ。”

「定例会は来月だったよな……」

 誰かが口にした。きっとこの手紙を読んでいた全員がそう思っていたであろう。定例会は先週行ったので、次の定例会は来月だ。なのに広い場を使っての集まり。仕事の指令にしても情報が少ない。……まぁ深く考えても彼女・・の考えていることは理解できないので、俺達は考えることをやめ、封筒をしまいビンゴ大会に戻った。

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