第四十三話 ここは素直に似合ってる
二十分後。
「準備できたのか~?」
俺が早めに準備が終わり、リビングで暇を持て余していると、階段から降りてくる物音が聞こえたので、少し声を張って話しかけてみると、階段から声が返ってきた。
「今行く!」
すると、階段を降りる音が少し速まり、その音が消えた後、少し強めに扉が開かれる。
「おっまたせ~!」
そこから、私服に着替えた二人が現れた。
「ど~お?似合ってる?」
彩芽はくるりと一回転し、俺に服装の感想を求めてきた。俺はその返答をするために、まっすぐと彩芽を見る。トップスは白のレースブラウスで、スカートは新緑色のフレアロングスカート。胸元には、雫の形をしたエメラルドのネックレス。全体的に涼しげで、清楚という言葉が似合う服装であった。
「うん、良く似合ってるよ」
そこまで凝視して考えたものの、どう口にすればいいか分からず、結局、オーソドックスな回答をした。すると、彩芽は嬉しそうににやけながら、「ありがとう」と言った。そしたら、隣にいた千姫もくるりと回って、感想を求めてくる。なので俺は、千姫の服装も確認する。彼女の服は、黒の肩だしブラウスで、ズボンは白の短パン。自身の白銀色の髪の毛とも合った服装で、とても似合っていた。なので、俺は素直に発言した。
「千姫もよく似合ってるよ」
そう言うと、千姫も嬉しそうに喜んだ。
「……」
その後、少しの間全員が恥ずかしがり、無言になったが、彩芽が口を開いたことによりその状態は終わりを告げた。
「さっそろそろ行きますか!」
彩芽の言葉に、場の空気感が戻ってきた俺たちは賛成し、戸締りなどを念入りに確認あと、天風、薙摘に留守番を頼み、三人そろって家を出た。最初の目的地は、近くにある乗り合い馬車の停留所だ。距離は五百メートル程度なので、少し会話しながら歩くと、すぐに目的地に着いた。
「あ、来た来た」
彩芽が指をさした方向に、二頭の馬に引かれた大きな馬車がやってきた。俺達は御者の男性に軽く挨拶をし、後ろから馬車に乗る。そしてショッピングモールへと向かった。




