第四十一話 休日の朝食
俺は、くそじじぃが去った後、千姫、天風と一緒に家に戻り、体を流してリビングに向かうと、そこには色とりどりの料理が並べられていた。
「お~」
俺はその料理を眺めながら自然に発してしまうと、料理を作った本人である彩芽が自信満々胸を張りながら切ってから出てきた。
「どーお今回も自信作よ!」
と、彩芽は言って、最後にミルク置いた。そして少しだけ声を張り、
「これで愛情たっぷり春野菜のスープと、チーズインオムレツ、~ソーセージとブロッコリーを添えて~と、クロワッサンの、かーんせーい!」
と言って料理の紹介をした後、俺を席に誘った。千姫は先に座っていた。なので俺もいつもの席につく。
「天風と薙摘こっちね」
と冷まされ飲みやすいアンド食べやすい状態になった、俺たちと同じスープとオムレツを出した。そのタイミングで、俺は千姫に質問をした。
「なぁ千姫。千姫の分離寄生命体はどこにいるんだ?」
その言葉に千姫は首を傾げ、右手の小指を見せた。
「これが私の分離奇生命体」
そこには銀の指輪が装着されていた。これが彼女の分離寄生命体なのだろう。通常だと、分離奇生命体は動物形態と物形態の二つが定石なのだが、千姫はいくつもの形態へと変殻させられるようなので、納得できた。
「そっか。だけどこれから食事にするから、動物の形態に変殻させてくれ」
俺がそう言うと、千姫はまた首を傾げた。
「私、動物に変える方法分かりません」
俺は驚いた。通常、分離奇生命体は動物の形態で生まれ落ちる。そのため、物にする方法がわからない場合はあるが、動物の形態に変えられないというのは、めったに聞かない。
「分離奇生命体の栄養補給はどうしてるんだ?」
俺がそう聞くと、千姫は小指の指輪を少し上げる。すると、指輪の内側から、飲歯によく似た銀の針が出、千姫の指に刺さっていた。なるほど。そこから栄養を補給しているのか。
「了解、理解できたよ。じゃあ千姫には分離奇生命体の分も食べないとな!」
俺がそう言い、野菜スープを救うと、千姫は「うん」と言って、お皿を差し出した。それが終わると、彩芽が音頭を取った。
「ではみんな席についたところで」
「「「いただきまーす」」」
俺は訓練の影響で、空腹となった腹に食べ物を入れるべく、フォークを持ってオムレツを食べる。
「うんっ!うまいな!」
俺は、毎度のことながら彩芽の料理に感嘆した。やわらかいオムレツは口の中でとろける。中のチーズもとてもおいしい。次に手に取った春野菜のスープも例に洩れずおいしかった。アスパラガスやキャベツが溶けるように柔らかく、スープも塩分が控えめで朝にはちょうど良い。そしてクロワッサンは熱々で焼き立てのおいしさがある。そんな感じでコロコロと表情を変える俺を彩芽はゆっくり眺めた後、食事を開始した。




