第三十三話 騒がしい自分宅
「ねぇ……刃境さん」
制服から私服に着替えた俺は、リビングで椅子に座りながらとっっても凝視してくる刃境さんに話しかけた。
「はい。何ですか?」
刃境さんは、視線や体は動かさず、口だけ動かし返答した。俺はその動きに驚きながら話した。
「いや、なんでわざわざ刃境さん、俺の家の来たのかなったって……」
「三橋から聞いてない?」
俺の質問に、刃境さんは首をかしげながら質問を返す。
「いや、聞いたけど……」
「そうゆうことです」
「……」
刃境さんの有無を言わさない発言に、俺は何も言えなくなった。が、それでも静香に凝視される空間に、落ち着くことができなかったので、もう一度話しかける。
「な、なぁ刃境さ……」
「千姫」
俺はきっと頭の上に?マークをたくさん浮かべていただろう。刃境さんは突然食い気味に、自身の名前を呼んだ。
「どうゆう意味?」
俺は考えても無駄と判断し、刃境さんに聞いてみた。すると
「刃境さんじゃなくて、千姫と呼んでください……」
「お、おーけー……」
答えは単純で、ただ呼ぶ名前が気に入らなかったようだ。だが、俺以外の人も、苗字で読んでいるが、そこは良いのだろうか。
「じゃあ俺のことも名前で良いよ」
「ん……ありがとう。誠」
「青春してるわね~」
俺が千姫と話していると、いつの間にか入ってきた、三橋さんがいた。
「ど、どうやって入ってきたんですか!?」
俺は驚愕して質問すると、三橋さんはあきれた様子で言った。
「あら、気づいてなかったの?駄目じゃない。扉、鍵かけてないわよ?」
と、戸締りを指摘する、不法侵入者の警察官兼教員である三橋は、ある程度指摘が終わったら、俺を千姫に声が届かないところまで引き連れた後、質問をしてきた。(鍵は閉めた。)
「それで、どう?」
三橋さんの言葉足らずな質問にため息をつきながら、質問に回答した。
「たまにしゃべり口調が変わるぐらいですかね。そもそもそう言う話し方なのかもしれないですし。あ、あと刃境さんではなくて、千姫と呼んでくれって言われました。まぁこっちもそのほうが話しやすいですけど……って三橋さん?」
俺が話していると、三橋さんが柔らかな笑みを見せたので、聞いてみると「なんでもないわ」と、またも笑顔で言葉を隠す。の真意を聞こうと口を開いた瞬間、三橋さんの「さっきの会話、成り立っているようで成り立っていなかったわよね」と言葉をかぶせられ、口を噤む。その時だった。
「ふぎゅうっ!」
という声が、扉に追突する音と一緒に聞こえてきた。
「あちゃ~」
三橋さんが溜息とともに放った声で、状況を理解した俺は、慌てて玄関に向かった。
「大丈夫かっ!あやっ……」
「ふぎゅうっ!」
「あ、ごめん」
俺が力強く扉を開けると、彩芽にクリーンヒットし、悶えた。玄関前で「くぅ~」と悶える彩芽に「大丈夫か?」と手を差し出す。すると、キッっと涙を蓄えた瞳を鋭くし、目のみで怒った後、ぶつかったのであろう赤いおでこをさすりながら、彩芽は俺の手を取った。その後、第一声は
「痛かった!」
であった。俺は平に謝った。