第二十六話 モデル試合開会の時間
「準備はいいですか~?」
三橋さんの教育の下、新聞部兼放送委員の篠谷 言乃が、大会試合用の形式試合専用戦闘服大会用《けいしきじあいせんようせんとうふくたいかいよう》を体操着の下に着た俺と刃境さんに体育場のマイクを使って質問してきた。これも大会の練習だ。確か大会委員の練習だとかなんとか。俺は形態変殻をした天風を軽く振った後、柄をしっかりと握り直し、言乃に向かって深く頷いた。刃境さんも同じように頷く。すると、言乃が三橋さんと二~三会話した後に、言乃は「すぅー……」と、マイクに入るぐらい強く息を吸い、固めの礼儀正しい声で話し始めた。
「これより、西区白波学園大会想定練習試合《にしくしらなみがくえんたいかいそうていれんしゅうじあい》を執り行います。双方、礼」
厳粛な雰囲気の中、俺と刃境さんは指示に従い、武器を体の前に持ち、目を閉じ、顔を下げお辞儀をする。そして顔を上げると、三橋さんの声がスピーカーから聞こえてきた。
「大会時には対戦相手の他に、ご来賓の方々《かたがた》や審判員、場合によっては色々な方向、色々な人にお辞儀をしなくちゃいけないからね。あとルールを確認するけど、今回は前半と同じで『ヒットポイント戦』で。ヒットポイントは前半のものを引き継ぎとする。攻撃方法は前半と同じ、物理攻撃と赤力による攻撃。赤力術式に関して最位の術式まで許可。武器に関しては、分離寄生命体以外の武器は、許可制なのも同じ。そして魔眼の使用は許可を得れば可とする。勝敗も前回と同じ。それでは篠谷ちゃんお願いね。もう普通の口調で大丈夫だから」
その言葉を聞いた言乃は気を緩め、しっかりとした言葉で「はい!」と言い、言葉を続けた。
「それでは二人とも構えて……始め!!」




