10/111
第十話 探索
建物は蛻の殻だった。数日前まで生活していたらしい形跡の、食べ物の缶や、箸などが置いてあったが、そこで何をしていたかは全く分からなかった。好奇心で潜入した分、少し落胆した俺だったが、その直後、少し前から見えなくなっていた赤力がまた姿を現し、今回は、ある一か所の壁へ吸い込まれていった。
「この壁に何かあるのか?」
俺は、赤力が今も吸い込まれている壁に手を当てたら、内壁と同じ色で塗られた隠し扉を見つけた。
「おぉ……」
俺は好奇心のままに、その隠し扉を押し開き、奥へと進む。すると、少し離れて歩いていた天風が、すぐそばまで寄って、並列に並んだ。おそらくだが何か赤力を集めているものがこの奥にあるのだろうと思った。