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カニンとカノン  作者: 伊藤むねお
5/8

そうさく

 それから五日たったある土曜日の朝、亮太が餌をあげようと水槽の上の蛍光灯を少しずらした。すると、いつもなら三匹いるはずのカニが一匹しかいない。あれ、と水槽の横からも見たがやはりいない。

 亮太はお父さんを呼んだ。どれどれとすぐにやってきたお父さんと、水槽の中を四つの目で探しました。ヒートとの電気を脱き手をいれて下の砂をかき回してみたが、どこにもいない。二匹のカニは完全に姿を消してしまった。

 二人の大捜索はすぐ始まった。逃げられて残念だからというので探すのではない、それも少しはあったが、実は二匹を心配しているのだ。水槽からでたら生きていけるところは家の中にはないのだ。この前、二匹を見たのは木曜日の夜だった。だから仮にその夜逃げたのだとするともう二日も過ぎた。そしてまだ家の中にいるはずだった。

 十二月だから外に出るガラス戸と玄関はほんの瞬間しか開けない。そのわずかなタイミングを狙ってぱっと出たとはどうしても考えられない。もちろんお父さんはお母さんに、その点を聞いて確かめた。心当たりがないと。しかし早くみつけないとカニンとカノンは体がからからに乾いて死んでしまう。

 でも、お父さんと亮太はベテランで豊富な経験があった。まず水槽からどうやって出たかは、おおよそ見当がついた。酸素を水中に送るためのパイプを伝って昇り、ガラスの蓋の三角に切ってあるところから自慢の鋏でひっかけ、全身の力でぐいと持ち上げ、隙間を大きくして外に出たのだ。

 しかし、すぐ見つかる二匹はベテランの二人の捜索にも関わらず消わからない。長いイスの下やうしろはもちろん、食器タンスなどのすべての置物のうしろと中、玄関の靴箱の中、すべての靴の中、本箱の中、なげしのうしろ、カーテンを伝って昇ったカニが過去にもいたから、壁の絵の裏、カーテンの裏、吊るしてあるお母さんのエプロンのポケット、そのときのお母さんの顔は大変なものだった。

 やはりみつからない。

 とうとう二人の結論は家の中にはいない、外に出たんだということになった。では、一体どこからどうやって。


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