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カニンとカノン  作者: 伊藤むねお
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まずいこと

 カニはみなサワガニだ。三匹いた。すべてお父さんが入間川の上流に釣りに行ったときに捕まえてきたので、ドジョウやフナと一緒にヒーター無し中型の水槽に入れられた。


 ところがある日、カニ達にとっては事件ともいうべき()()()ことが起きた。

 カニの名前は一番年寄カニがゲンだ。もちろん昔は十匹も一緒に連れてこられた仲間がいたのだが、だんだん逃げたり死んだりしていなくなり、一年ほど前からゲン一匹になった。

 その三年後、カニンとカノンの若い二匹が加わった。お父さんの話では、同じ石の下にいたというので、おそらく兄弟なのだろう。名前は亮太がつけた。


 カニのすみかは水槽の上の方に吊るされた棚にあった。お父さんが台所用品の小さな棚を加工して造ったのだ。それを水槽の縁に掛けて吊り下げ、ちょっと前の方に傾くような形にしてある。そうすると、ちょうど前半分ほどが水につかるようになった。お父さんはこのような仕掛けや工夫がとても好きで得意だった。どうもそういう仕掛けを作りたいので動物を飼うのではないかと、お母さんは少し疑っているふしもあった。その棚に少し小砂利を敷いて、その上にさらに直径がおよそ十センチほどの薄い石を三個ほど組み合わせて乗せ、カニたちが甲羅干しをしたり隠れたりできるようにしたのである。餌は、煮干しと専用のカニ餌で栄養満点だった。


 話が長くなったが、まずいことというのはカノンが、同じ水槽に住んでいたメダカを食べてしまったことだった。棚の下の水中にはフナ、ドジョウ、メダカ、オイカワが一緒にいたのだが、何かのはずみでで棚の上にメダカの一匹が乗り上げてしまい、小砂利のうえでピチャピチャとはねた。それをゲンがよせという前にカノンがはさみでしっかり掴んでしまい、メダカはあっというまに息絶えてしまった。哀れなことだった。


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