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妹日の積み重ね  作者: 緑の巨人
9/12

両手に花(中編)

デート?ですね

「お兄さんってばこんな美少女二人と歩けて幸せ者ですね♪」


紗奈と鈴ちゃんが二人して俺の腕を抱きしめるようにして歩いていた。


右腕には紗奈、左腕には鈴が抱きついている。


「あのー、危ないから少し離れてもらってm...」


「「嫌です」」


打ち合わせしたの?


息ピッタリじゃん怖っ。


「そっ...それでどこ行くのかな?」


「ショッピングです!少し買いたいものがあるんですよ♪」


ということでやって来ました。


家から近いかなり大きめのデパート。


雑貨や家具だけでなく服や靴、食品や業務用の工具といったかなり幅広い店が並んでいる。


屋上には休憩スペースが設けられているほど充実しているデパートだ。


グイグイと引っ張られてそれについていく。


どうやら行く場所は決まってるらしい。


「到着~!それでは今から選んでいきましょ~!」


鈴ちゃんは言うが早いか店のなかに入って行った。


見たところ女性物の洋服店のようだけど。


「さあ行きましょう兄さん!」


なんだかやけにテンションが高い紗奈。


(やっぱり女の子だしこういう服とか見るの好きなんだろうなぁ...)


─────


店に入って椅子に座らされた。


更衣室の前に置いてある椅子だ。


毎回思うんだけどなんでこの位置に椅子置くんだろう。


やっぱり待つためなのかな?


「お兄さんどうですか♪」


更衣室のカーテンが開くとそこにはポージングしている鈴ちゃん。


GジャンにVネック、スリムパンツの組み合わせで凄くカジュアルな感じだ。


「似合ってるよ」


「そうですか?じゃあもっと見てください♪」


近寄ってくるな。おいこら離れろ。


Vネックから見える鎖骨に目がいっちゃうだろ!


「鈴ちゃん...流石にこれは無いと思います...」


そう言って更衣室から出てきた紗奈を見て言葉を失った。


ゴスロリだ。


ゴスロリとしか言えないほどゴスロリだ。


紗奈が着ると本当に等身大の人形に見える。


「紗奈ちゃん可愛すぎ~!」


そう言って抱きつく鈴ちゃん。


羨ましいなちくしょう。


「お兄さん的にはどっちの方が可愛いですか?」


「うーん...今着てるの交換してみたらピッタリじゃないかな?」


「「無理です」」


「えー...」


「こんなフリフリの服とか着れるわけ無いじゃないですか!紗奈ちゃんみたいにお人形レベルで可愛いから似合うんですよ!お兄さんもそう思いますよね!?」


「いや、鈴ちゃんも可愛いし似合うと思うよ?」


「ぐはっ!」


鈴ちゃんは膝から崩れ落ちた。


「鈴ちゃん大丈夫!?」


「私だってこんなオシャレなの似合うわけないですよ!兄さんから見たってこんな今時ファッション似合わないって思いますよね!」


「俺は紗奈がこういうの着たら似合うと思うし、スゲー可愛いと思うよ?何て言うか俺はこういうの好きだけど。」


「買います」


「ちょっと待って!ここで鈴ちゃんから服剥ぎ取ろうとしないで!せめて更衣室行って!」


ドッタンバッタン大騒ぎしながらもなんとか買い物を終えることができた。


──────


屋上にある休憩所のベンチでジュースを飲みながら休むことになった。


「楽しかったですねお兄さん♪」


「騒がしかったけどまあ、たまにはこういうのもいいかな」


「それにしても紗奈ちゃん悩んでますね~」


紗奈は自販機にある新商品『ぷるるんピーチ』と『とろーりアップル』のどちらを買うかで悩んでいた。


「紗奈って意外とこういうの決められないんだな」


「紗奈ちゃんは好きな物以外のことは即決できないんですよね」


結構自分の妹のこと分かって無いんだなって思った。


まあほとんど話してなかったししょうがないけど。


「いいなぁ紗奈ちゃんは」


不意に隣から聞こえてきた呟き声には寂しさが込められていた。


「私お兄ちゃんって居なくて、だからお兄さんみたいな優しいお兄ちゃんがいて紗奈ちゃんが羨ましいなって思うんですよね」


兄妹ってそんなに憧れるものなんだろうか。


でもよく考えてみれば紗奈が居てくれて俺は凄く助かっているわけで。


「紗奈が妹で良かったなぁ」


何の気なしに言葉を溢していた。


「それは紗奈ちゃんに言わないであげてくださいね」


紗奈の方を見つめながら鈴ちゃんはジュースを飲んでいた。


「お兄さんは紗奈ちゃんのことどう思っているんですか?」


「どうって...できた妹だなーって」


「はぁ...」


どうして溜息つくのかな?


俺変なこと言った?


「お待たせしました!」


小走りで駆け寄ってくる紗奈がこちらに着く前に鈴ちゃんは立ち上がった。


「私もう帰りますね。二人は一緒に帰ってください。お兄さん今日は本当にありがとうございました♪紗奈ちゃんもありがとね!」


そういうと手を振って行ってしまった。


「兄さんなにかしたんですか?」


「いや...何もしてない...はず?」


紗奈は俺の隣に座ってジュースを飲み始めた。


「これは...思っていたより美味しくないですね」


『とろーりアップル』はダメだったらしい。

遅くなったのは仕事のせいなんだうんそうそうきっと

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