料理バトル(妹視点)
珍しく妹視点
「せっかくリアルお兄ちゃんのいる紗奈ちゃんの家に来たんだしみんなで手作り料理でもてなしてあげよー!」
何を思ったのか急に提案をしてきたのはこの部活女子部(お兄ちゃん大好きな妹育成クラブ)の部長結城鈴ちゃんでした。
これにはみんな大賛成のようです。
「みんなで作るのは良いっすけど材料とかどうするんっすか?」
「材料...ない...」
黒ちゃんと白ちゃんの言う通りみんなで作るほどの材料はありません。
「それならこっちで用意しておいたから大丈夫ー!」
鈴ちゃんが玄関のドアを開けると、鈴ちゃんの家の黒い服を着た人が次々と材料を運んできてくださいました。
「この材料を使って紗奈ちゃんのお兄ちゃんから評価が高かった人が勝者ってことで!」
という訳で料理対決が始まりました。
「鈴はエビチリを作るわよ!」
「私は炊き込みご飯にします」
「...唐揚げ...」
「なら黒はオムライスでも作るっす」
私の炊き込みご飯は材料を切って炊飯器に入れて炊くだけなのですぐに作ってみんなの様子をみることにしました。
鈴ちゃんは慣れた手つきでエビチリを作っています。
海老の下処理も見事です。
「鈴に任せなさーい!」
こちらは心配なさそう...
「紗奈...燃えた...」
「へ...?」
白ちゃんに言われてコンロを見ると炎上していました。
急いで鎮火。
水をかけると危ないので濡れタオルを掛けて火を止めます。
そんなに火が強くなかったようで消火器を使わずなんとか火を消せました。
唐揚げは真っ黒でしたけど白ちゃんは満足そうです。
黒ちゃんも手際よくお料理していました。
黒ちゃんはいつもお家でご飯を作っているようです。
白ちゃんが料理できないのはそのせいなのでは...
なんだかんだでお料理は完成しました。
「それじゃあ勝負ね!」
「あの、1つ提案なんですけど。みんなでプリン作りませんか?」
「いいっすね」
「プリン...」
「いいけど条件があるよ。もしプリンの評価が高かったらみんなにお兄ちゃんを貸し出すこと!」
「無理です。兄さんは私の兄さんです」
「ならプリンは諦めなさい」
黒ちゃんと白ちゃんのプリン食べたい視線が痛すぎます...
「はぁ...3時間だけなら良いですよ。もちろん私も付き添います」
「まあ及第点かな。じゃあそれでいいよ!」
こうして理不尽な料理対決をすることに...
──────
兄さんの感想をもとにみんなで評価高い順を決めることに。
多数決の結果
1位 紗奈
2位 黒
3位 鈴
4位 白
という結果になりました。
理由はこうでした。
1位『毎日でも食べたいはもはや告白』
2位『ポイントの高さと満足度が伝わってきた』
3位『必然的に3位』
4位『満場一致』
ということでした。
でも白ちゃんは作ったものを残さず食べてくれたことに大満足でした。
「プリンの評価が高かったのでお兄ちゃんは借りるからね!」
悔しさからかわざとらしく言う鈴ちゃんに私は笑顔を返しました。
「楽しかったっすね。またやりたいっす」
「私も...」
「次は1位取るんだから!」
「負けませんよ」
こうして楽しい1日は終わりました。
────
「という訳で明日遊びに行ってもいいかな?」
鈴ちゃんは早速プリンの時の兄さん貸し出し権を使いたいようです。
「良いですけど変なことしないでくださいね」
「分かってる分かってるー」
嬉しそうな笑顔でクルクルと回る鈴ちゃん。
なんだか悪い予感しかしないのですが...
次回に期待