表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妹日の積み重ね  作者: 緑の巨人
4/12

妹襲来

タイトルが謎

「そういえば春なんだよなぁ」


ん?


そこである疑問が浮かぶ。


「合宿って普通夏とか冬じゃないのか?」


こんな春真っ最中に合宿って紗奈は何部なんだろう。


そう思っていると玄関の開く音が聞こえた。


どうやら合宿が終わって帰ってきたらしい。


まあどうでも良いかと思い動画を見ようとインターネットを開こうとした時だった。


「お邪魔しまーす」


全く聞いたことの無い声が耳を貫いた。


扉越しでこの音量は生物兵器だろうか。


階段を駆け上がってくる。


数人居るようだ。


インターネットの動画どころではない。


じっと息を潜めて様子を伺う。


「初めまして!紗奈ちゃんの友達の結城(ゆうき) (りん)でーす!お邪魔させていただきます!」


邪魔目的なら帰れ。


邪魔にならない努力をしてくれ。


そう思っているとノックが聞えた。


そのあと扉の隙間から紙が出てきた。


その後二人のお邪魔しますという声が聞えたかと思えば、ワイワイガヤガヤしながら妹の部屋に全員入っていった。


「騒がし過ぎる」


手紙を見ると、


[部活の会議で私の部屋を使うので騒がしくなるかもしれません。相談もせず呼んでしまってごめんなさい]


こう書かれていた。


寄生虫レベルのゴミニートなお兄ちゃんにここまで遠慮する妹もそうそう居ないと思う。


とりあえず飲み物が無いので今のうちに持ってこよう。


そう思ってドアを開けた時だった。


丁度目の前を紗奈が通った。


そして目が合ってしまった。


しばらくの静寂。


時が止まったかと思った。


にしても成長しても人形みたいだな。


黒くて綺麗な長い髪。


大きな瞳。


ってかまつ毛長いな。


見つめれば見つめるほどに細かい部分まで目に焼き付いていく。


「兄さん」


妹の声でハッと我に返った。


「飲み物を取りに行くんですけど兄さんもどうですか?」


久しぶりの対面でよくこんなに普通に話せるなと感心してしまう。


こうやって顔を会わせるのが久しぶりなのにも関わらず、まるでいつものことであるかのような感覚さえある。


「あ...あぁ。俺も飲み物取りに行こうと思ってて」


「じゃあ行きましょう。それとも私が持ってきましょうか?」


「友達何人か来てるんだろ?友達の分も持つなら大変だろうし自分で行くよ」


「気を遣わなくてもいいのに...それなら一緒に行きましょう」


何も言わずに一緒に一階に行く。


妹は2リットルのペットボトルとコップを4つお盆に乗せ氷を入れていた。


「三人来てたんだな。部屋だと狭くないか?」


「大丈夫ですよ。それに資料が部屋にあるので一階に運ぶのも面倒なんです」


資料ってなんだろう。


部屋に無駄なものは何も無かった気がするけど。


「ふーん。そういえば何部なんだ?」


そこで妹の動きが止まった。


「...趣味を極める部活ですよ」


「そんな部活があるのか」


「はい。最近は料理とか裁縫とかやってるんですよ」


「だから最近料理美味くなってるんだな。作るの慣れたのかと思ったよ」


「そっ...そんなことっ...わっ私なんてまだまだ未熟で...」


顔を真っ赤にして照れている。


その様子を見てちょっと意地悪してみたくなった。


「いやいや凄く美味いよ。それによく気が利くし家事何でもできるし。将来の旦那さんが羨ましいなぁ」


「にっ兄さん誉めすぎですよっ!」


「こりゃどこに嫁に出しても恥ずかしく...」


「嫁になんか行きません」


鋭い口調で遮られた。


まるで切れ味の良い刃物で断ち切られたかのような鋭さだった。


さっきまで真っ赤になっていた顔は無表情になっている。


(何か地雷踏んだか?それとも調子に乗りすぎた...)


全く動けない俺に妹が近付いてくる。


「えっと、ごめん...」


「私はお嫁に行きませんよ。だって私は...」


そう言って俺の頬を撫でる。


さっきまで氷をコップに入れていたからだろうか。


ひんやりしている。


それが余計に背筋をゾクゾクさせた。


その冷たさに反した暖かい笑顔でこう言った。


「私は兄さんのモノですから」

ここで唐突に身長の話

祐也は176センチ

紗奈は152センチです

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ