9話 初めての『無双』
三人は巨大なケンタウロス的存在(以後ケンタウロスと呼ぼう)と対峙している。ヒナとリクは臨戦態勢をとっているが、俺は普通にビビって一歩下がった。これが勇者として戦った一日分の差だろう。だが、その差はある意味大きかった。ケンタウロスは少し先、距離にして5、6mの距離を一瞬にして詰め、その勢いで体当たりをした。必然的に前にいたリクとヒナがありえない速度でふき飛ぶ。そんな中俺は俺は記憶を探っていた。
「俺が図書館にこもって本を読んだ一日、無駄だと思うなよっ!」
俺は『無属性魔法大百科』の1ページ目にのっていた無属性魔法-身体力強化の使い方に則り、魔法を使った。
体の全身に魔力を送り込むように...『無属性魔法大百科』によると身体力強化の魔法は、送り込む魔力の量によって変わるらしい。
「ふっ...だったら俺のチート魔力全て使ってやるよっ!」
全身に魔力を送り込んだ俺は拳をふろうとする。だが世の中そううまくはいかないようだ。拳を握ろうと思った時にはもうすでに、ケンタウロスの手にもたれた厳つい斧が眼前にあった。
「レン〜ッ!!!」どこか遠くからヒナ達の声が聞こえる。
...あぁ俺もここで終わりか。俺は死を確信し静かに目を閉じた。斧の刃が俺の頭に...ガチンッッ!!
「は?」
斧が俺の頭に当たった所で止まってる。
「は?」
ケンタウロスは3mくらいの距離をバックステップで引く。
「は?」
俺は頭の無事を確認しようと手を頭に持っていく。
ビュン!何かが俺の目の前を高速で下から上へと通った。速すぎて風圧がすごい。なんとか俺は足に力を入れ耐えれた。髪型がスーパーサ○ヤ人みたいになっている。その風圧でケンタウロスがふっ飛ぶ。あ、天井に当たった。厳つい斧が天井にヒビ入れたぞ。なんかやばくね。ヒビが広がってるよ。あー、崩れちゃった。ケンタウロス、グロ!てか何が通ったんだろ?俺は上を向く。あ、俺の手だ。てへぺろ☆
って訳にはいかないよな。てへぺろじゃ済まないよな。これ日常生活に支障が出るレベルのチートだな。うん。
「レ〜ン。お前チートにもほどがあるだろーなにしたんだよー」
え?何が起きたかだって?
「それは、俺が知りたい。」
ただやばい。ふらついてきた。とりあえずステータスオープン!
ーーー
名前 イトウ レン
種族 ハイ・ヒューマン
レベル30
HP 1499/1550
魔力 0/200100
称号 勇者
スキル
上級創造魔法(道具) -Lv.7
上級光属性魔法-Lv.1
上級闇属性魔法-Lv.1
無属性魔法-Lv.2
初級水属性魔法-Lv.1
魔力変換-Lv.9
隠蔽-Lv.1
ーーー
レベルが5も上がってる、ん?...魔力が0だとぉぉ!というかあの斧の一撃受けてほぼHPにダメージ受けてなんだ。でも、これはやばい。あぁ意識が………
「レン?レン!?大丈夫?!」
そして俺の意識は闇の中へ消えて行った。