17話 王と勇者の悪行
バァーン
「なんだ!」
勢いよくドアが開いた
「レン!レン!大変だ!」
リクが顔を出す。
「なんだ、リクか。ビビらせるなよ。リク。どーしよ俺呪われた...」
「は?何言ってんの?というかそんなことより大変だ!ここにいると殺される!」
珍しく語尾を伸ばさないリクに驚きつつもレンは対応する。
「お前こそ何言ってんだ?」
「勇者が勇者が僕ら以外にもいたんだ!」
「まぁまぁ、落ち着いて話せよ。」
☆☆☆
「そうか...俺らは世界を救うためじゃなく、勇者に狩られるために召喚されたのか...そんでもって俺にそいつらと戦えと。」
「まぁ、そーゆーことだ。レンのチートなら...」
「いいだろう。戦ってやる。ヒナの安否も知りたいしな。どんなステータスだったんだ?」
「鑑定してたら見つかって殺されてたよ。」
「そうか。じゃ行こうか、勇者を倒しに!」
☆☆☆
レンとリクは物音一つしない廊下を歩く。
ガチャ...
不意に少し先のドアが開いた。
そこから血塗られた剣を持った兵士とその主がでできた。
「王と勇者が揃って人殺しかぁ〜?」
「誰だ!?」
王が口を開く。
「僕らは先日召喚された『勇者』ってものでね。君らの悪事を止めに来たぜ。」
「お前は...スキルなしか?...はははっ。スキルなしの上に丸腰なお前に何ができる!お前は我がこの手で息の根を止めてやろう!剣を貸せぃ」
兵士、もとい勇者がその手に持つ剣を差し出す。
『鑑定』
リクは鑑定を王にかけるが王の周りに出て来た数多くの魔法陣や魔法文字にはじかれる。
「むだじゃ。我は鑑定妨害の装備をつけておるからのう。」
「うぉぉぉりゃっ!」
王が勢いよくレンに斬りかかった。
「レン危ない!!」
バコォン
「ひぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!」
王の剣がレンに届く前に、王はレンの魔力によって強化されたその右腕で、どこからともなく取り出したビンを顔面に投げつけられていた。