10話 神様っぽいおっさん
俺はいつの間にか白い部屋、いや部屋と言っていいのかわからないこれは空間的なにかかもしれない、壁があるようには感じられないからだ。しかし体はある。魂の空間的ななにかや、死後の世界やなんやらではないだろう。まぁそんな白い空間で俺はうとうとしていた。そりゃあそうだ。今日1日は今までのレンからは想像も出来ないくらい肉体的にも精神的にもダメージを受けた。この空間に来て10秒くらいがたった。もう限界だったレンは、そのまま横になり眠りについ...
「起きろぉ!ボケェィィィ!」
何かが凄い速度で右頬にぶつかった。それはいつの間にか身の前にいるおじいさん。いや、そこまで歳いっているようには見えないからおっさんだ!
「おっさん言うなぁぁ!」
「俺まだ一言も喋ってないんすけど」
「いや、確かに言ってはいないが......」
なんだこのおっさん。馴れ馴れしいな。
「だからおっさん......もうええわ。」
「つかおっさん誰だよ」
「おっさんじゃないわ。我は神じゃ!」
うわーしれっとこいつ神を名乗ったよ
「しれっともなにも我は神じゃ!」
「いい病院紹介しましょうか?」
「そろそろ、まじで怒るぞ。」
おっさんの顔が険しくなった。
「すいませんでした。」
「それでいい。とりあえず言いたいことは1つだ。単刀直入に言おう。この世界を救え。」
「そのつもりですよ。勇者ですもん。」
「違うな。今の時代どこの国は勇者のことを、使い勝手のいい兵器程度としてしか見ておらん。」
「勇者が兵器?」
「元々、勇者召喚は私が人類に暴虐な魔王に対抗するために授けた手段じゃ。あくまで『暴虐な』じゃ。魔族も悪い奴らばかりではない。むしろそう言う奴らの方が少ない。見た目や名前で判断するのは良いこととは言えないな。ただ初代魔王が殺戮を好んだから人々は魔族を恐れているだけじゃ。」
初代魔王、勇者ユウタの最後にして最強の敵...
「そうなんですか?」
「まぁ、今の時代は平和じゃ。魔族と戦う必要がない、だが人間は愚かだ。共通の敵を失った人間は互いに戦う。勇者は1人で戦局を変えれるだけの力を持つ。それに、国にいるだけで他国への威圧にもなるしな。」
「あぁ所詮どこの世界でも人間は変われないと言うことですね。」
「......まぁ、最もお主のいる国では違うらしいがな」
ん?なんかおっさんが言ったな。聞き取れなかったけど。
「でも、その話し方からすると現代の魔王は悪い奴ではないんですよね?世界を救えとは具体的に一体なにをすれば?」
「まぁ、そうなるの。ここからの話は極力人に言うでないぞ。」
おっさんの顔が一段と真剣になった
「はい」
俺がこの世界を救ってやろう。