俺チート能力手にする。
「ハルカさん、この街へ来るのは初めてでしょう、案内しますよ」
「あ、ありがとうございます」
「さあ、行きましょう」
マリーは街の詳しい事を歩きながら話す。
此処は「バチイの都」。目の前の山にそびえる
「エーカム城」が置かれる王都である。
約7平方km程の街で、人口はおよそ9万人。
いつも賑やかで活気が溢れている。
その反面、路地には浮浪者やゴロツキが溜まっている。
「ところで神様・・・この世界ではどんな通貨が使われているんスカ?」
「金貨、銀貨、銅貨です。路地の方とかだと今の所持金が
両替出来るんじゃないですか」
所持金、と言われ、遥は自分のポケットを探った。
中から財布が出てくるのに時間は掛からなかった。
「おいおい、日本の現金からこっちの金に両替ってんな馬鹿な・・・」
興味本意でマリーが財布を覗くと、腰を抜かし、その場に倒れた。
「お、おい!?マリーさん、大丈夫ですか!」
「いやぁ、ハルカさんの財布の中に入ってる大きい金属の板、
路地裏の質屋で金貨30枚でうれる代物ですぅ」
拍子の抜けた声でマリーが説明する。
「この500円が金貨30枚。良く分からないけどすげーや」
遥はコイントスをしてみせた。
「じゃあ、その質屋へ案内するです」
「にしても神様、ですっ娘って可愛いな!」
「まったく・・・同感です!」
二人が下劣な会話をしていた矢先、マリーの悲鳴が響いた。
「助けて!」
遥がマリーのいた方向を向くと、ゴロツキにマリーは捕まっていた。
「マリーさん!」
「おっと動くな兄ちゃん。アンタこの子の彼氏さん?
これから面白い事するから見てなよ」
ゴロツキ達はさらに集まり、マリーを取り囲む。
「そんな作品自体が削除されそうな事させるか!」
「と言ったものの、どうする神様」
「実は、貴方には特殊な能力が備わっています」
「え、何それ!どんなチート能力でおまんがな!?」
「それは、”妄想力”です」
ー妄想力、それは、遥さんが妄想クリエイトと全力で叫び、
自分の現在の妄想を絶対に具現化させる能力です。
「何そのひどい壊れチートくぁwせdrftgyふじこlpな能力!」
「じゃあ有り難く使わせて頂きますよ!」
そして、遥は一拍置き、全力で叫んだ。
妄想クリエイト!!
その時、周りにいたゴロツキ達が四方八方に吹き飛び、
過半数が一点の輝きと共に虚空へ消えていった。
そしてー
それと同時に妄想の恐ろしさを遥は思い知るのだった。
「え、俺ちゃん、何しちゃったの・・・」
マリーの衣服も虚空の彼方へ消えていった。