外伝一
今回は、これからのストーリーで大事な物があります。
絶対読んでください。
「....さて、儂ら死に損ないが集まったのは、他でもない。儂らの最後に相応しい、仕事が入ったからじゃ。」
その部屋は異様な空気であった。
100人近い、老人達が一堂に会していた。
「関東の遠坂よ、最後の仕事とはなんじゃ。儂らとて暇でわない。ヌシが儂を含め、日の本各地から人を集めるなどよほどのことだぞ」
「そう言うな関西の堺屋よ。慌てずとも説明されるやろ。なあ、九州の瑞羅や」
「さよう、東北の佐滝。組長の遠坂がわてらを呼び出すほどもの。ゆっくり聞こうでごわす。」
話す老人、一人一人が凡人でわない気を放っている。
「そうだな。そろそろ頃合いか。」
それまで、各人おのおの、出されている酒や食事を口にしていたが、一斉に顔の向きを変えた。
「今回の依頼主は皇族の珠洲宮家からだ」
「「「珠洲宮?」」」
「おい、珠洲宮て言うとあの?」
「お主が何を考えているかは分かるが、あの珠洲宮家だ」
「たが、あそこは儂らの仕事とは何も関係ないぞ」
珠洲宮家現当主、珠洲ノ宮御井彦は西洋の美術に魅せられのめり込み、彼らの仕事とは無縁の生を営んできた。
それは、妻二条彩希を迎え入れてから、顕著になり、なかなか出来なかった子、成彦が産まれてから興味すら沸かなかった。
「まあ、正確に言えば、そのご子息様からだ。」
「成彦殿下か。しかしまだ子供やろ」
「そうでごわす。何ゆえその仕事を受け入れたのでごわす。」
全員の目が殺気を持ち始める。半端な理由で受けたなら承知しないぞ。目がそう語っている。
「....儂から頼んだ、打たせてくれ....と」
「「「!!!」」」
「....それほんまか?」
「本当だ。成彦殿下には天凜の才がある。もし、もしもだがあの方が戦国の時代に生きていたならば...剱聖として名を馳せただろう。」
「....ヌシがそう言うのであれば間違いないだろう。しかしこれ程の人数を集め何をするきだ」
堺屋の質問に遠坂は苦笑いしながら、
「殿下から注文でな。3つ条件を出された。
一つ、作るからには命かけろ
二つ、百人の刀鍛冶を集め、一人ずつ三日未晩寝食問わず打つ事
三つ、期間は2年以内」
「むちゃくちゃくちゃや....」
「そうだ。無理難題だ。たがな、
俺達、刀鍛冶はもう必要とされていない。今や刀から鉄砲の天下だ。
だからな、俺は最後の仕事として殿下のための刀を打ちたい。
頼む、一緒に刀を打ってくれ。」
普段は俺と言う言葉は感情が高ぶった時しか使わない遠坂が頭下げて、頼む姿に皆黙り込んでしまう。
「...貴様はそれでいいのだな」
「ああ後悔はない。」
「...そうか。」
「ちょ、待った待った!金はどうするや!?」
佐滝が慌て言う。
「珠洲家が出してくれるそうだ。全額。」
「もしかして材料費も!」
「そうだ。」
「ん~~。けどや「佐滝はん、もういいじゃないですか。」
瑞羅やん...」
「組長が決めたことですは。わいらが口挟むことではないごわす。」
九州の刀鍛冶をまとめる、瑞羅が頭を下げると、九州組が同じように頭を下げる。
『『『九州組一同、組長に従います。』』』
それを見て、
『『『四国組、同じく。』』』
『『『近畿組、同じく。』』』
『『『中国組、同じく。』』』
次々と頭を下げていく。
「...儂らも」
関西の堺屋が頭を下げる。
『『『関西組、同じく。』』』
「~~ええい、ままよ!!」
東北の佐滝が頭を下げる。
『『『東北組、同じく。』』』
全員が頭下げた。
「すまん。」
遠坂はそう呟いた。
この次の日から製作が開始された。
材料となる鉄、鉄を溶かすための温度、鉄を打つ回数。
その全てが、職人達が経験から成り立っている。
一人ずつ、己の技術と経験の全てを一本の刀に注ぎ込んだ。中には秘中の技で叩きあげる者もいた。
遠坂はまさにそうであった。彼は最後に刀を鍛え上げる最終段階で室町時代に伝わった異国の本に書かれていた技術を打ち込んだ。
それは、こう呼ばれている。
『ダマスカス鉄鋼』と。
遠坂は刀を完成させた、直後に倒れ生きては帰らぬ人に成った。その死に顔は笑っていた。
そして、完成した一本の刀は生前、遠坂きって希望の名前が、付けられた。
『百刀 打鉄』
百人の刀鍛冶の全てを打ち込まれた鋼鉄の刃はそう名付けられた。
その後打鉄に関わった職人、全員が3年以内に死亡。その全員、笑顔で死んで行った。
この事から、後の歴史家はこう評価した。
魂を込めた刀。魂刀と。
製作期間、1年と半年。
世界で最も美しい刀剣、打鉄はこうして誕生した。
もう少し感想ください。
評価されているか不安です。(T_T)
よろしくお願いいたします。