意味
『何れ壊れる』のメモをふと思い出した。
あれは…。
このことだったのだろうか?
なぜかトイレで思い出を回想している私。
手には携帯電話。
なんだか不思議な状況だと思う。
しかし、考えずにはいられない。
お母さんは知っていたの?
まさか、私と同じように知らないふりしていたの?
気づいてなかったのは、この携帯電話の持ち主だけかもしれない。
そう思うと父が滑稽に思えた。
家庭は間違いなく壊れる。
今、私は知らないふりを、やめようとしている。
この携帯電話を使えば…。
すべてが明るみになってしまう。
お母さんと私の知らないふりの努力。
お父さんの隠そうとしている努力。
すべては幸せな家庭を演じるため。
本当にこれを見てもよいのだろうか?
見つけてしまったことを打ち明けてよいのだろうか?
まだ中学三年生の私。
どうすればいいか、分からなかった。
今の私なら、どうしていたのだろう。
そのままトイレで携帯電話を見つけなかったフリをしただろうか?
もしくはお父さんにこっそりと返しただろうか、そして一緒に隠す努力をしただろうか?
少なくとも、家族を離れ離れにはしない方法を懸命に模索するとは思う。
しかしこの時の私は、壊すことしか知らなかった。




