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宇宙の絆Ⅱ  作者: 秋華(秋山 華道)
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不完全体の盾使い

紫苑さんの言うとおり、目標の人数はすぐに集まった。

友達を集めるのもそうだけど、それ以上に多かったのが、他の軍に殺されて、此処にくる人だ。

我が軍の戦い方を見て、人型にとどめをさす軍が格段に増えていた。

ジーク軍も四天王をフル活用して、周りの勢力をどんどんうち負かしていった。

宇宙の絆2は、大戦国時代だ。

波が波を呼び、早いうちに自ら移動する者も多くなっていた。

 紫苑「今日から本格的に私も復活する。プレイヤキルは今まで仕方なくしてきたが、やはりいくない。今後中止する。皆やらないように。」

紫苑さんがサイファ軍にいた事を知っているのは、主要メンバーと、サイファ軍の主要メンバーだけだ。

ちなみに紫苑軍への反感は、サイファ軍の中にはもうあまり無いらしい。

プレイヤキルは、今では当たり前に行われているし、サイファさんと紫苑さんの努力もあるだろう。

そして再び、サイファ軍との同盟を結んだ。

サイファ軍では、「紫苑軍が同盟を求めてきた。だから、プレイヤキルをやめる事を条件に同盟してあげた。」と、皆には話したらしい。

サイファ軍の好感度はますます上がり、反省しているように見える紫苑軍も、だんだんと好感を持たれるようになっていた。

今回の作戦で一番得をしたのはサイファ軍だが、紫苑軍としても上々の結果だ。

そしてその効果が出るのは、まだまだこれからだ。

今、プレイヤキルが流行りだしているのだから・・・

しかし、我々の思惑は、1日でうち砕かれる事になる。

クライアントの修正によって。

 アライヴ「なんだよこれ・・・」

 紫苑「最悪・・・(-_-メ)」

クライアントの重要告知に書いてあったのは、次のとおりだ。

「プレイヤズキルに対してのペナルティ及び、壊滅解散リスクの変更について。艦船撃沈以外で、敵大将以外のプレイヤズキルを行った場合のペナルティ新設。全国力マイナス5%。計算方法は、本来あるはずの国力を対象とする為、20回行えば、自動的に軍の壊滅を意味する。回復には5%1ヶ月を要する。軍の壊滅、及び解散を行った場合、その軍の少尉以上の階級の者は、兵国力が30万人規模以上で上位ベスト10の軍への入隊を3ヶ月禁止する。開始は本日より。バリューネットブラウザのバージョンアップを行わないと、ゲームに参加できませんので、早急にお願いします。」

みんながプレイヤキルを行って、我が軍に人が流れてくるもくろみは、あっさりとたたれた。

それにしてもギリギリのタイミングだった。

後1日この告知が早ければ、サイファ軍との円満な同盟は難しかったかもしれない。

それでもなんとか間に合ったのだから、不幸中の幸いだ。

我々は最低限の勝利をつかんだのだ。

 美夏「まあ、いんじゃね?それにやっぱりプレイヤズキルは、ドロドロになりかねないから、無くて正解だよ。」

 てけとー「まあな。だけど今回の変更は、ダイユウサク軍の連中が、クライアントに進言したって話だぜ?あいつらゲーム業界に影響力大きいからな。あくまで噂だけど。」

まあそれが本当だとしても、今回の作戦で全く利益を得ていないダイユウサク軍だ。

それくらいは良いだろう。

実際これはただの噂だとは思うが。

 紫陽花「それよりも、最低限の目的は達成できたわけだし、今後どうするかよね。」

 アライヴ「確かに。一度軍をきちんと整えて、いよいよ侵攻開始ってね。」

 じぇにぃ「わたしわぁせんとぉーできればぃぃー」

 紫苑「その前に、俺に人材把握させて。(;_;)」

そういやそうだ。

俺は実際に倒してきた奴も多いから、どんなメンツが集まったか少しはわかるけど、紫苑さんにしてみれば知らない人ばかりだ。

それに俺だって、3割程度も把握していない。

話した感じで強そうな奴は何人かいたけど、どうしたものか。

 紫苑「そこで、階級決めテストと称して、アライヴとじぇにぃには、テストバトルをみんなとしてもらいたい。」

 アライヴ「みんなと?できない人も多いかも?」

 紫苑「階級は、最後の評価に大きく影響するから、多少は無理しても集まるはず。だからよろ。」

 アライヴ「わかった。」

 じぇにぃ「ぅん。つよぃひとぉぃればぃぃなぁ」

 てけとー「艦長候補はどうする?」

 紫苑「俺と、紫陽花でテストするよ。」

 スピードスター「♪」

こうして、俺達の階級決めテストと称した模擬バトルが、開始された。


昨日は15人ほどテストバトルの相手をしたが、我々基準で少尉以上になれる人はいなかった。

じぇにぃの方に、そこそこ使える人がいたらしいけど、それでも中尉クラスらしい。

ちなみに人数が増え、国力もかなり増えてきたので、俺の階級は今は少将、じぇにぃが准将だ。

てけとーさん、美夏さん、壁さんも准将に昇格で、初期からのメンバーと主要メンバーだけで将官クラスをやっている。

グループ通信メンバーもそうである。

できれば後何人か、このメンバーに入れたいのだけど、強くて話せる人はなかなかいないものだ。

まだまだ1/3をテストしただけだから、今後に期待。

 アライヴ「今あいてる人で、テストバトルしてない人いましたら、返事ください。」

回線につないでいるかそうでないかは、軍の通信回線を開けばわかるのだけど、回線をつないだままではない人も多いから、こうして呼びかける必要がある。

 レイズナー「あ、よろしく!」

 アライヴ「はい、こちらこそ。」

レイズナーさんは、知っている。

と言っても、個人的にではなく、ファーストの頃は中将までいった人だから知っているだけだ。

でも、階級ほど強いと言える人ではなかった。

しかしそれはシミュレーション主体だった頃の話。

今はパイロットとして来ているから、もしかすると・・・

・・・

悪くはなかった。

なかったけど、期待はずれだった。

中将だったから、もっとやるかと思っていたけれど、我が軍ではせいぜい少佐だな。

それでもこの人は貴重な戦力になるだろう。

ちょっと偉そうだけど。

 レイズナー「君強いね。俺の軍にいてくれたら、中将にしてやったのに。(笑)」

いや、あんたの軍なんか絶対入らないし。

 アライヴ「ありがとうございます。で、おそらく我が軍の、とりあえずは大尉あたりになると思いますが、いいですか?」

 レイズナー「そんなに低いの?俺前中将だったんだよ?」

訂正。

すっげぇ偉そう。

 アライヴ「すみません。できるだけあげるよう大将には言いますけど、上の方は詰まってるので、今後の活躍次第になると思います。」

 レイズナー「そうだな。活躍すればいいんだからな。君と同じ隊にしてくれよ。」

 アライヴ「私は旗艦直属の人型乗りなので、それは無理かと。すみません。」

 レイズナー「しかたねぇなぁ。自力で活躍するか。」

最初からそうしてくれ。

あなたにはなかなか難しいだろうけど。

 アライヴ「それでは、今後ともよろしくです。」

 レイズナー「はいはい~」

 一生「ふぅ~。全くこういう勘違い野郎は駄目だな。完全に名前負けしてるし。」

レイズナーって言えば、なかなか評価の高いアニメだ。

俺でも知ってるし。

そんな名前つけるなよな。

レイズナーがかわいそうだよ。

さて、気をとりなおして、次いくか。

俺は軍全体に通信を入れる。

 アライヴ「まだテストバトルしていない人いましたら、声かけてください。」

しばらく通信が無い。

夕方とは言え、働いている人がなかなかゲームできる時間ではない。

いるのは多くが学校帰りの学生か、俺みたいなプーだ。

しばらくボーっと画面を眺める。

この時間はもういないかなぁ~。

そんな事を思って一旦落ちようかと思った時、通信が入った。

 チョビ「はいrはいあrlじゃ」

・・・

 チョビ「はい!お願いします!」

どうやら慌てていたようだ。

なんだかこれだけで、弱いってわかるんですけど。

まあでも一応テストしないとね。

 アライヴ「はい。チョビさんですね。ではやりましょう。」

 チョビ「よろしくお願いしますーー!!」

ドジっ子属性で、こんな時間からプレイしてるって事は、きっと中学生か、良くて高校生かな。

 アライヴ「では、そちらは本気できてください。終了の時は、発光弾を飛ばすか、通信で伝えます。」

 チョビ「はいです!!」

さて、軽くもんでやるか。

テストバトルがスタートした。

チョビさんの機体は、ごくスタンダードな機体だ。

っていうか、全くカスタマイズしてないんじゃないのってくらい、最初に与えられるデフォルト機のようだ。

これだけで、相手の強さはだいたいわかる。

きっとヘボだ。

そう思って不用意に操作していたら、いきなり正確なビームライフルの攻撃がとんできた。

 一生「おっと!」

俺は一発目をうまくかわしたが、すぐに二発目がとんできて、それを左腕に少しかすらせてしまった。

 一生「なんだぁ?」

弱いと予想していたのだけれど、案外やるんじゃないか?

俺は真剣に動きを見た。

落ち着きの無い動きだけど、その分動きが読めないし、狙いをしぼれない。

 一生「ちょこまかと!だからチョビか!」

俺はそれでも狙いをつけて、絶妙なタイミングでビーム砲で攻撃した。

あの機体でこのタイミング、そうそうかわせるもんじゃない。

 一生「なんと!盾か。」

チョビさんは盾でビーム砲を受けた。

盾なんて重くなるだけだし、それに反応できるならかわす方が賢い。

なぜなら盾はある意味消耗品だから。

傷つけば、本体と同様に修理が必要だから。

しかし、なんだろうこの子・・・いや、歳も性別もわからんから一応この人と言っておこう。

今戦ってわかったけど、あの機体は完全に初期状態だ。

少し違うのが盾だけど、デフォルトよりも大きな盾だから、動きは更に遅くなっているだろう。

人型のコントロールもその分難しくなっているはずだ。

なのにこのうまさ。

そうだ、うまいんだ。

フェンネルは使ってないけど、俺はそれなりに本気で攻撃している。

なのに攻撃を当てる事もできない。

一方チョビさんは、一発とはいえ俺にビームライフルの攻撃をかすらせた。

もしこれがポイント制の戦いなら、有効をとられている状態だ。

なんとまあ、巧い人ってのは密かにいるものだ。

このテストバトルをしていなければ、もしかしたらこの子、いやこの人を完全にただの下っ端として使っていたかもしれない。

しかし、それにしてももったいない。

もっと良い機体に乗っていれば、今頃すでにどこかの軍で、エースパイロットだったかもしれない。

でもだから、こうして今此処にいるわけで、凄くラッキーだったのでは?

とにかく、もう少し戦ってみよう。

少なくとも負けてる状況で終わるのはあれだし。

俺は本気を出すことにした。

フェンネル展開。

さーて、これに対して、どういう戦いを見せる?

なんて思った瞬間、チョビの盾から無数のビームが発射された。

 一生「なんですとぉ!!拡散ビーム?しかも熱感知型だよ。」

俺の展開したフェンネルが、一瞬のうちに落とされた。

この子、いやこの人、俺の天敵じゃないか!

普通こんな盾を持つプレイヤなぞ存在しない。

冗談でやっているやつくらいだ。

でもこの子、いやこの人はマジでこの盾を使っている。

そして巧い。

フェンネル無しでこの子に勝つ?

もうこの子でいいや。

きっと高校生だ。

女の子だ。

人型の性能はこっちが上だ。

勝って当然のはずだけど・・・

俺は集中力を高めた。

結局テストバトルの制限時間10分、全てを使っても決着はつかなかった。

そしてこちらの攻撃で命中させたのが、ビーム砲1発と、意表をついた予備搭載のフェンネルの攻撃だけ。

こっちは何発当たっても不思議ではないくらいだったが、運良く最初にかすって以来、攻撃はくらわなかった。

でも少し何かが、他に気がいくような実戦だったら、俺は負けていたかもしれない。

この後チョビに、じぇにぃともテストバトルさせてみたら、あっさりじぇにぃに負けていた。

まあ初戦だったから、じぇにぃが強いのはわかるけど、相性ってのもあるのかもな。

あの盾も、じぇにぃの強力なライフルには、腕が盾を支えきれずにいたしね。

だからこそ、今後チョビには良い機体に乗ってもらおう。

きっともっと強くなる、そう確信した。

ちなみにチョビは小学生で、夜11時までしかプレイできないらしい。

そして日曜の昼間も、親に注意されてできないらしい。

全くもったいない。

この子が完全体だったら、我が軍の優勝確率が倍増だったのになぁ。

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