それぞれの戦い
テレビ放送が終わった後、俺は紫苑さんの支持で、少し紫苑軍領域方向に戻ったところで、宇宙の真ん中で紫陽花さんの迎えを待っていた。
俺がカズミンに勝った事を知り、ダイユウサク軍に勝負を挑むのは、今しかないって事だった。
戦力も、サイファ軍との戦いでかなり削られている。
まさかジークよりも先に、ダイユウサク軍と戦う事になるとは。
あんな茶番の後に攻めるのもなんだか罪悪感があったが、皆納得して受けた話しだ。
多くの査定ポイントも貰ったのだから、文句を言えるものでもない。
誤算は、俺がカズミンを倒した事であり、ドリームがずっと、しゃこ式と戦わざるを得なかった事。
しゃこ式は結局、何度攻撃をくらっても墜ちなかった。
要するに、大人の事情で無敵化されていたわけだ。
同情もするが、紫苑さんが攻めるというのだから、俺は喜んで従う。
後にジークに聞いた話だが、実はこのしゃこたんのテレビの企画は、ジークが持ち込んだ話で、この戦いの後、サイファ軍を攻める為の戦略だったらしい。
やはりジークの戦略は、常軌を逸していると思ったわけだが、この時はまだ、そんな事を知る由も無かった。
紫陽花さんのパープルフラワーに回収され、紫苑さんのパープルアイズ、スピードスター、他多くの艦船と共に、俺達はダイユウサク領域へと入っていった。
ダイユウサク軍はどうやら、最前線の移動要塞ぽてちで、迎え撃ってくるようだ。
移動要塞は、マップ内を自由に移動できる要塞で、宇宙全体でもそれほど数は多くない。
だから今までそれほど多く相手にしたわけではないが、正直厄介な要塞だ。
逃げ回る事もできれば、追いかける事もできる。
数値を見た限りでは、要塞戦艦ほど強くはないが、守りは要塞戦艦よりも堅い。
移動要塞のあるマップでは、撤退するにも一苦労で、紫苑さんが勝負をかけている事がわかる。
まもなく土曜日が終わる時間で、これから24時間の戦いだ。
以前、美菜斗軍との戦いで学習した俺は、土曜日は昼寝が日課になっていた。
だから今日は大丈夫。
相手は手負いのダイユウサク軍ではあるが、これでようやく互角の勝負ができるくらいだ。
遠慮はいらない。
全力で戦う。
アライヴ「では行くよw」
紫陽花「よろしくね!」
チョビ「ママが200万円ってうるさいw」
ハルヒ「とにかくドリームを落とすまでは、頑張って堪えますので、早く倒してくださいね。」
俺達の作戦は単純だ。
俺がドリームを倒す。
その間、他はとにかく堪える。
カズミンはすぐには出てこられないだろう。
愛機の修理は今日中には終わらないだろうし、スペア機も、こんな前線においてあるとは思えない。
ドリームさえ倒せば、後は俺が順に落として行くだけだ。
そして今、俺は発進した。
時計は丁度0時を指していた。
戦闘が開始されて間もなく、サイファ軍から通信が入った。
ジーク軍が要塞戦艦を率いて、サイファ軍領域に入ってきているとの事だった。
要塞戦艦は現在、ジーク軍が2隻、後の1隻を所持しているのが、ランキングが10位前後のまさくん軍だ。
どうやらそのうち1隻を、今回の戦いに投入してきたらしい。
かなり本気なのが分かる。
本来なら同盟関係にある我が軍は、助けに行くのが当然かもしれないが、つい今しがた、こちらも戦闘状態に入ったばかりだ。
お互い、健闘を誓いあって、通信を切った。
ダイユウサク軍の戦いは、かなり有利に運んでいた。
ドリームが出てこなかったからだ。
考えれば分かる事だが、22時までテレビに出て戦っていたのだ。
すぐに出てこれるわけがない。
今、ダイユウサク軍は、エース二人を欠いた状態で戦っていた。
それでも俺は手を抜くことはしない。
ダイユウサク軍が、二人いないだけで、弱い軍になるわけではないのだから。
俺の思ったとおり、程なくしてダイユウサク軍の逆襲が始まった。