頼もしい仲間
今日、昼間っから練習していたら、夕方、プレイヤがひとりパイロットに志願してきた。
一応俺は准将だからそのまま受け入れる事もできるが、大将の紫苑さんに許可は得た方がいいだろう。
それに、俺の艦船に配属しても、意味が無いし。
それでも一応、面接と言うか、どんな人なのか聞いておくか。
アライヴ「どうして我が紫苑軍に入ろうと思ったんですか?」
じぇにぃ「えっとぉ、ダィユゥサクぐんにぃ、はぃろぅとぉもったんだけどぉ。ぁそこって、みぅちだけでやってるんだって。そしたら、ここがつよぃから、紫苑ぐんがぃぃよぉ~って。」
・・・
なるほど。
強い軍に入ろうとダイユウサク軍に志願したけど、身内だけでやってるから断られ、紫苑軍を推薦されたから此処にきたと。
悪い気はしないけど、最初にダイユウサク軍にってのが引っかかるなぁ~
でもそうか。
あそこは身内だけでやっているのか。
それなら、俺がドリームとカズミンを倒せるようになれば、ダイユウサク軍に勝てるようになるな。
じぇにぃ「ちなみにぃ、ぁたしつよぃから~ドリームさんのぉすみつきだよぉ。ばとぐりでわぁ、かったことぉぁるしぃ。」
なにぃ!!
バトルグリードで、ドリームに勝ったって、相当強いんじゃん?
あのドリームを倒したんでしょ?
俺は負けないまでも、勝つ事は現状不可能なあの人に。
ゲームは違えど、これはもしかしてかなりの使い手かも・・・
しゃべり方は中学生か小学生っぽいけど。
紫苑「どした?(^-^)?」
紫苑さんから通信が入ってきた。
俺がメッセージを紫苑さんに送っておいたからだ。
もちろん用件は、このじぇにぃって子の処遇をどうするか。
アライヴ「じぇにぃさん、今大将きたから、ちょっとまってて」
俺はそれだけじぇにぃさんに言うと、今度は紫苑さんと通信する。
アライヴ「今我が軍に志願してきた人が。なかなか強そうなパイロットですが、子供っぽいです。(笑)」
紫苑「入れて大丈夫そう?」
アライヴ「俺は欲しいですね。」
紫苑「じゃあ俺の艦に乗せるか。」
おお?いきなり旗艦に?
でもまあ、話が本当ならそれくらいのパイロットではあるな。
アライヴ「じゃあとりあえず乗せますね~」
紫苑「了解~」
俺は紫苑さんの了解を得て、今度はじぇにぃさんに通信を入れる。
アライヴ「喜んで入隊を許可します。よろしく。配属は旗艦専属のパイロットだ。俺と同じね。」
じぇにぃ「ぁりがとござぃますぅ。きっとちからになりますよぉ。」
アライヴ「うん。よろしく。では旗艦は今有人要塞カテーナにあるから、人型を移動させておいてね。今日も要塞攻略に出陣するから。」
じぇにぃ「さっそくですかぁ。がんばりますぅ。」
本当にこんな子が強いのだろうか?
でもまあ、俺が宇宙の絆を始めたのが中学生だったし、きっと大丈夫だろう。
それにこんなしゃべり方はネットだけかもしれないからな。
リアルだと案外大人だったりする事もあるし。
・・・
アライヴ「ひとつ聞いてもいい?高校生?」
じぇにぃ「ちゅぅぃちですぅ。」
・・・
大丈夫だよね?
アライヴ「そっか。戦闘は夜遅くまでになるけど、大丈夫?」
じぇにぃ「ははは、ぃまどきぃ12じにねるこぉ~ぃなぃよぉ~」
・・・
アライヴ「だよね。」
とにかくこんな感じで、俺達は要塞攻略に出陣するのであった。
今日攻略するのは、今後の最前線にしたいと考えている、コロニーの「コロコロコロニー」だ。
って、誰だよ、こんな名前つけたの。
めちゃ弱そうなんだけど。
でも此処って、諜報活動で調べた範囲では、コロニーでは3番目に生産性の高い、なかなか使えるコロニーなのだ。
でもやっぱ、コロコロコロニーはないよな。
まあ紫苑さんは喜んでいるけど。
紫苑「今日一日でとか思ってないから。ゆっくり削っていこう。(^0^)/」
アライヴ「はい~」
スピードスター「♪」
じぇにぃ「ぅはぁ~」
・・・
今日は、サイファさん達とは別行動だし、今日子さんはもちろんいない。
美夏さんも残業で今日はこれない。
紫苑さんも星さんも人型で出て、艦船の守りをするとか。
紫苑さんは「なまっているから、今日は適当にやる」って事だけど。
実質、俺とじぇにぃと二人でやるのか。
もちろん、NPC乗りの人型は10機ほどいるけれど、敵はおそらく最低でもその数倍いるんだろうな。
なんて思っていたら、数倍どころではない数が、レーダーに写った。
一生「おいおい、多すぎるでしょ。」
アライヴ「多いな。旗艦大丈夫ですか?」
紫苑「旗艦はなんとかするけど、アライヴひとりでその数無理か?」
正直俺が10人分強いと言っても、50機いっぺんに相手になんてきつすぎる。
じぇにぃ「ぁたしもぃるよぉ~きっとかてるぅ。きっとたのしぃ~」
・・・
いまいち信用できる言葉に聞こえてこないが、まあやばけりゃ逃げればいいか。
アライヴ「やばければ速攻撤退しましょう。それまでできるだけやってみます。」
紫苑「うん。」
じぇにぃ「ぁたしとくんでるんだからぁ、じょぶじょぶ。」
アライヴ「うん、わかった。じぇにぃちゃん信用するよ。全部やろう。」
じぇにぃ「ぇへへぇ~」
いまいち信用度に乏しいが、どっちにしても信用してやるしかないのだ。
とにかくせめて、足をひっぱられなければそれでいい。
俺達は敵の真ん中へと突き進んだ。
じぇにぃの機体は、見た目極々ノーマルな機体だ。
武装を見る限り、スピード型ではなさそう。
なんせ武器がスナイパー用の長距離ビームライフルで、カスタマイズで威力を上げているようだ。
その分動きが遅くなるが、当たれば、当たり所によっては一撃で戦闘不能にできそうな武器。
まあ俺が相手だったらまず当たらないけどね。
さて、戦闘開始だ。
アライヴ「数が多いから、助けてもらえると思わないでね。」
じぇにぃ「ぁぃぁぃさぁ~でもこっちはたすけてぁげるからねぇ~」
言う言う。
頼もしいじゃないか。
アライヴ「こっちはフェンネル使うから、離れて戦った方がいいか?」
一応確認だ。
もともと離れて戦うつもりなんだけどね。
じぇにぃ「ぉすきにぃ~なんでもどんとこぃだよぉ~」
・・・
またなんだか不安になってきた。
って、もうそうも言っていられなくなってきた。
俺はフェンネルを全部展開した。
設定はパターン2に変更。
攻撃の手数は多い方がいいから。
戦闘が始まった。
数が多いから、いっさい気を抜けない。
よそ見でもしようもんなら、敵に攻撃されるだけでなく、自らのフェンネルにも攻撃されてしまう。
じぇにぃ「ぁはは~すごぃかずのフェンネルだねぇ。」
おいおい、余裕じゃないかこの子。
俺は通信してる暇ねぇぞ。
じぇにぃ「そんなにフェンネルとばしたらぁ、つぅしんしてるよゆーなぃねぇ。」
そのとおりだよ。
なんだこの子?
戦ってるのか?
俺はよそ見ができる状態ではないけれど、気になってじぇにぃの機体、「ぷりちぃ」を視界に入れた。
うまい・・・
この子もフェンネルを使うのか。
フェンネルはひとつだけだが、それを巧く使って、敵の動きをコントロールし、それをライフルで一撃・・・
って、よそ見している間に、敵の攻撃をくらってしまった。
一生「うわぁ、俺のキュベレイちゃんがぁ!!」
じぇにぃ「だぃじょぶ?」
アライヴ「かすっただけだよ。」
ふぅ~あぶねぇ。
危うく落とされるところだったよ。
じぇにぃは大丈夫そうだ。
俺は俺だけ考えて、がんがん落としてやるぜ。
負けらんない。
俺は改めて集中力を高めた。
その後のじぇにぃの戦い方は見る事はできなかったが、気がついたら俺とじぇにぃで50機いた敵を全て倒していた。
まあ相手は全てNPCの動かす人型だったから、俺達なら終わってみれば当然の結果か。
それにじぇにぃの戦い方は、直接は見れなかったけれど、時々俺に向かっている人型を横からねらい撃ちしてしとめていたから、もしかしたら単独戦闘以上に共闘が得意な子なのかもしれない。
単機で戦うのが得意なドリームを、バトルグリードで倒した事があるとなると、もし共闘の方が得意となれば、この子の強さは・・・
頼もしい仲間を得た、そう思った。