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宇宙の絆Ⅱ  作者: 秋華(秋山 華道)
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覚醒

向かってくる大量のミサイル。

俺に、かわす術は無かった。

いや、無いはずだった。

俺は無意識のうちに、フェンネルを前方に、半球状に出していた。

さっきチサトさんが「シールドフェンネル」とか言っていたからだろうか。

それとも、俺のフェンネルへの信頼からだろうか。

両方かもしれないし、どちらでもないかもしれないが、とにかく俺は、ミサイルにフェンネルをぶつけて、九死に一生を得たようだ。

やろうと思ってやったわけではない。

体が勝手に動いた。

自分でも信じられない。

俺、覚醒した?なんて思って、少し嬉しくもあるが、まだ現実感が無かった。

そして今も無意識のうちに、ジークの要塞へと向かっていた。

 ドリーム「ちょっと負けちゃったwやるねぇ!」

夢さんの通信に、俺は我にかえった。

どうやら夢さんも無事、あの壁を突破したらしい。

そしてどうやら、俺は夢さんよりも先に、あの壁を突破したようだ。

夢さんに勝ったのか。

仲間があっての勝利だが、勝ちは勝ちだ。

俺は顔がにやけた。

それでも、さっきの自分はなんだったのだろう。

今一受け入れられず、俺に慢心は全くなかった。

 アライヴ「まぐれだよ。なんか勝手に体が動いてさ。」

俺は正直に話した。

すると夢さんは、それが当然と言わんばかりだった。

 ドリーム「ん?いつも勝手に動くよ。違うの?」

それを聞いて理解した。

いつも夢さんは、さっきのあの感覚の中で戦っているのではないか。

だから人間業とは思えないスピードが得られるのではないか。

もしそうなら、勝てるわけがない。

でも、もしさっきのアレが、再び俺にできるなら、ようやく俺は、夢さんに追いついたのかもしれない。

今更ながらドキドキしていた。


突破したのは、俺と夢さん、そしていつの間にか、カズミンさんもこちら側にいた。

俺は要塞を目指したが、夢さんとカズミンさんは、後方から艦船を攻撃していた。

ありがたい。

残った仲間の事は、任せて大丈夫そうだ。

俺はただ一機、広がる空域を突き進んだ。

そして間もなく、要塞内へと突入した。

要塞内は、静かだった。

本来ジークから見れば、紫苑軍は敵であるわけだから、防衛機能が働いていたら、攻撃があるはずだ。

それが無いって事は、この辺りの防衛システムは既に破壊されている事になる。

当然だが、美菜斗軍にやられたのだ。

これは一刻の猶予もない。

俺は先を急いだ。

しばらく進むと、両軍の人型の残骸が、そこかしこに見られるようになった。

この辺りから、本格的な戦闘が行われたのだろう。

美菜斗軍の人型が一機、こちらに攻撃してきた。

俺は軽くかわして、敵機をビームソードで切りつけた。

その後も要塞内で、何度か美菜斗軍の人型と戦闘した。

俺はことごとく勝利する。

そして、もうすぐ司令室のある拠点エリアに入ろうかという辺り、広くなった場所で、信じられない光景を見た。

無数の人型が、その空間を埋め尽くすように漂っていた。

屍がゾンビとなって、行く手を阻んでいるようだった。

これだけ沢山の人型が、導入された大戦争、それほどまでに重要な戦い。

此処でジークが負ければ、美菜斗軍に宇宙は制覇されるって事だろうと理解した。

人型をどけながら、俺は進んだ。

一刻も早く進みたいのに、本当にじれったい。

それでも焦らず、俺は残骸の海を渡り、ようやく拠点エリアへとたどり着いた。

さて、此処からは迷路だ。

そして、より一層美菜斗軍とはち合わせる可能性が高まる。

それでも俺は全速で司令室を目指した。


拠点内では、何度も美菜斗軍の人型と遭遇した。

その度に俺は速攻で倒して、先を急いだ。

そんな時、通信が入った。

 紫苑「その有人要塞阿蘇山、美菜斗に持ち主が変わってるんだけど。(^0^)」

どういう事だ?

ジークは司令室にいたのではなかったのか?

この拠点が落とされたからと言って、ジークが負けるわけではない。

生き残る事が目的なら、別に司令室を放棄して、何処かに時間切れまでかくれている事もできる。

俺はふと思いついた。

隠れるのに、うってつけの場所。

さっき通ってきた、屍の海。

木を隠すなら森の中。

人型を隠すなら、人型の中。

俺はまた無意識に、先ほど通ってきた、人型の残骸の海を目指して、来た道を戻っていた。

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