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宇宙の絆Ⅱ  作者: 秋華(秋山 華道)
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今結ばれる絆

サイファさんの艦船、補給できないじゃまいか!から放たれた波動砲は、敵艦船の多くを破壊した。

流石にバリアしていた艦船を完全破壊する事は出来なかったが、戦闘不能状態にはなっていた。

この様子だと、破壊された艦船のプレイヤは、脱出すらできなかっただろう。

ちなみにプレイヤキル、PKのペナルティは、人型でのみの適用である。

要塞を占拠する事と、艦船の破壊が戦闘の目的なのに、それができなくなってしまうから当然だ。

とにかく、状況を一変とまではいかなかったが、まだなんとか戦える最低限の戦果は得られたようだ。

俺達は再び、我慢比べの戦いを続ける事となった。


サイファさんから、作戦の提案があった。

次の波動砲で、敵の壁に穴をあけ、そこを突破し、敵の背後を突く、又はジークを助けに行くってものだった。

サイファさんは、何故だかジークを助ける事にノリノリだ。

前作からのライバルで、助けてやったらどんな顔をするのか見てみたい、だそうだ。

ま、ネットだから顔なんて見えないわけだが、そこは何を意味しているのか察して欲しい。

俺達はその作戦を採用し、順番に補給を行っていた。

じぇにぃ、ハルヒくん、暗黒天国さん、そして紫苑さんのパープルアイズ、スピードスターも万全にした。

最後はチョビ。

チョビは、現在のこう着状態を維持している要だ。

もしかしたら、チョビが補給に行ったタイミングで、敵が攻撃を強めてくるかもしれない。

そこで一気に艦船を前にだしてくるかもしれない。

美菜斗さんにしてみれば、現状維持で十分だから、リスクを負う戦術はとらないと思うけど、一応警戒して、チョビがいなくても前線で敵をけん制し続けた。

結局、特に戦術を変えてくる事もなく、とりあえず現状維持には成功したが、此処で問題が起こった。

敵の要塞戦艦が、場所を移動し、艦船の壁のすぐ向こう側に来ていた。

今までは端に位置し、ジーク側とこちら側、両方をカバーする形をとっていたのに。

艦船補給はこちらだけで良くなったからだが、全てが後手の状況にジレンマを感じた。

作戦成功の可能性は、これでほぼ皆無ではあるが、どちらにしても波動砲の攻撃はする事になる。

俺達はどうするか話し合っていた。

と言っても、人型に乗っている俺が、話に入る余裕は全く無かったが。

 紫苑「一か八か、やるしかないか。」

 サイファ「失敗すると、みんなで敗走する事になりますよ。」

 紫陽花「でも、このままの状況を続けたら、ジーク軍はからなず終わりますよ。」

 真でれら「一応撤退準備は万全にして、やるしかないっしょ!」

美菜斗軍の人型は、既にジーク側の空域には、姿は見えない。

既に要塞内での戦いに突入しているって事だ。

此処の要塞は、確か防御力が高いから、そうそう拠点エリアまでは到達できないだろうが、このままいけば、必ず落とされるだろう。

そしてその前に、必ずジークがやられているわけだ。

次の機を逃したら、どちらにしても我々には撤退しかないだろう。

撤退か、逃避か、少し意味合いが変わるだけ。

行くしかないと思った。

その後結局、決行する以外に選択肢は無いって事でまとまっていた。


作戦としては単純である。

あちら側に向かうのに一番最短である左端に波動砲を打ち込む。

スピードスターに暗黒天国さんのボスを先頭に、チョビ、俺、じぇにぃ、ハルヒ、その他数人を乗せて、穴の開いたところを一気に突破。

突破できたら、スピードスターとボスは艦船の背後を襲い、他の人型は要塞へ向かう。

問題は、索敵できない死角に、敵艦船が潜んでいる可能性がある事と、要塞戦艦の能力がどれほどのものか知らない事だ。

ま、もちろん艦船をまだ隠していると考える方が普通だし、今要塞戦艦とまともに戦うのは、無理だろうけどね。

もう俺達には、わずかな可能性にかけるしかなかった。

作戦はスタートした。

補給できないじゃまいか!から、波動砲が撃たれる。

すると敵の艦船による防衛ラインに穴が開いた。

スピードスターが高速でその穴に向かう。

紫苑さんのパープルアイズや、他の友軍艦船は援護射撃。

紫陽花さんのパープルリリーは、既にこの領域を去っていた。

失敗したら即撤退なわけだが、パープルリリーで撤退は不可能だからだ。

そうなったら、誰も安全とは言えないけどね。

追撃されれば、みんなどうなるかわからない。

此処は敵軍領域で、我々の帰るべき場所は、遥か宇宙の彼方なのだから。

美菜斗軍は、すぐに対応に動いていた。

流石に簡単には突破させてはくれない。

沢山のビームとミサイルが襲ってくる。

それを、スピードスターの弾幕と、ボスの攻撃で撃ち落とす。

前の見えない光の中を突き進む光景は、なんだか幻想的だ。

星さんと暗黒天国さんは、いつもこんな戦いをしていたのか。

これはこれで楽しそうだなと思った。


一縷の望みを託した作戦は、成功を目前としていた。

この調子なら突破できる。

誰もがそう思ったかもしれない。

だが、やはりそれほど甘くはなかったようだ。

壁を埋めるべく、何処からともなく敵の艦船が集まってきていた。

やはり、死角に艦船を隠していたか。

それともただ単に上手くやられたのか。

今の俺には知るすべが無かった。

今、星さんがどうするか、急ぎ紫苑さんと話していた。

 スピードスター「突進する?俺死ぬけど♪」

 紫苑「それでも他が突破できればねぇ。」

 スピードスター「暗黒天国も死ぬな♪」

 紫苑「いろんな意味でイタイな(^0^)」

追い詰められているとは思えない、軽い会話だった。

だからだろうか、何とかなるような気がした。

 紫苑「ちょっとまって、通信がw」

一体誰だろう?

今、我が軍の上層部と、サイファ軍上層部のメンバーは、メンバー指定通信をしている。

この中のメンバーなら、何かあればチャット画面に表示されるはずだ。

すなわち、紫苑軍でも、サイファ軍でもない人から、通信が入った事になる。

美菜斗さんだろうか?

それともジークか?

その答えはすぐに分かった。

 紫苑「回線に入れます(^0^)」

回線に入れるという事は、おそらく味方だろうが、俺達に味方などいただろうか?

紫苑さんの通信の後、すぐに表示された通信と、発信者の名前。

俺は見て驚いた。

 ドリーム「やっほーw仲間に入れて!」

なんと、ダイユウサク軍の夢さんだった。

そしてすぐに、索敵マップにダイユウサク軍の艦船の機影が表示されていた。

助けにきてくれたのか。

俺達の選択肢に、撤退と逃避以外の選択肢が、再び輝きを増していた。

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