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宇宙の絆Ⅱ  作者: 秋華(秋山 華道)
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ライバル登場

このところ、ジーク軍が少しずつ勢力を拡大していた。

俺自身さほど強いと思わないのだけれど、紫苑さんやサイファさんに言わせれば、勝つために手段を選ばない、最強の戦略家らしい。

いつの間にかかつての四天王も、ジーク軍下に在籍しているとか。

群青さんとは、ファーストバトルが終わった時に少し話した。

 群青「悪かったな。でも目の前に1000万だぜ?結局負けたけど、金は貰ったからな。」

 アライヴ「仕方ないですよ。俺だって1000万出されたら、寝返るかもだし。(笑)」

 群青「そっか。俺はもう引退するけど、おまえは続けるんだってな。まあがんばれよ。」

 アライヴ「まあ、このままだと悔しいし。」

 群青「俺やおまえの得意な、アクション系のゲームがあったら、戻ってくるかもな。」

 アライヴ「そうですか。その時は、たぶん敵かもしれませんが、良い戦いをしましょう。」

 群青「ああそうだな。じゃあな。」

 アライヴ「ではまた・・・」

・・・

あの群青さんが戻ってきた。

他の四天王もいるとなると、かなりジーク軍は強いだろうな。

紅蓮さんも麒麟さんも、ゲーム全般が得意だって言っていたからおそらく強いだろうし、疾風さんは元々アクション系が得意な人だ。

ダイユウサク軍のエース級にも、バトルグリードで対戦して勝った事が有るらしい。

正直、宇宙の絆Ⅱのバトルシステムは、バトルグリードに近いところが多いらしいから、そのままこのゲームでの強さとも考えられるかもしれない。

俺は、バトルグリードはプレイした事がないけれど。

何となくビジュアルが好きではなかったしね。

さて、本日もサイファさんと協力して、要塞を落とす事になっている。

今回は紫苑軍主体だから、サイファさん達にはサポートしてもらう形だ。

星さんことスピードスターさんも、今日は出撃するらしい。

我が軍は、プレイヤが少ないし、階級の高い人でも出撃は珍しくない。

まあ俺も准将なのに出撃しない事がないからな。

星さんは階級は少将で、俺よりも上だ。

紫陽花さんが中将で、紫苑さんが大将。

他のプレイヤは全て、大佐よりも低い階級になっている。

とはいっても、あまり活動していない人がほとんどだけれど。

今日は珍しく、美夏中佐が共に出撃する。

俺がフェンネルを使っても、共闘できる数少ない仲間だ。

 スピードスター「一応指揮とるけど、まあ適当に♪」

 アライヴ「了解~(笑)」

 美夏「俺は戦力にならんかもしれんぞ!」

ああ、ちなみに美夏さんは、男だ。

 アライヴ「美夏さんなら大丈夫ですよ。」

 スピードスター「♪」

 美夏「だといいけど~」

さて、要塞がレーダー内に入ってきたので、俺達は出撃する。

サイファさん達の艦船は、後方支援をするわけだけど、パープルアイズは最前線へ行く。

戦力としても強いし、俺達3人がいればまず大丈夫。

それに今日はサイファ軍の今日子さんもいるしな。

 今日子「私は今日は守りにてっするから、がんばってねぇ~」

 スピードスター「♪」

 アライヴ「たすかるよ~」

 美夏「さあ、あばれっか!敵がお出ましだ。」

俺達は旗艦の守りは今日子さん達サイファ軍に任せて、敵の真ん中へと向かった。

同盟軍に守りを任せるなんてと思わなくもないが、サイファ軍との信頼関係はあつい。

一応リアルでも面識があるらしいから。

俺はまず、普通に敵の力量をはかりながら戦う。

どの機体が強いか?どれくらいプレイヤがいるのか?戦力的に優位か不利か?

敵艦船は3隻、こっちは4隻、人型の数では圧倒的に敵優位だけど、人型を操っているプレイヤは二人か三人。

普通の弱小軍なら、この程度だろう。

俺達だって、助っ人が無ければ三人だったのだから。

しかも星さんは、艦船の艦長をNPCに任せている。

リスクを犯して出撃しているわけだ。

それでも、サイファさんと、それに真でれらさんが守っているから大丈夫だろう。

この二人、特に真でれらさんは、艦船の守りには定評があるからね。

どうも手応えがない。

敵は弱いし、プレイヤも三流だ。

美夏さんだけでもなんとかなるんじゃないか?

少なくとも、一対一で負ける相手ではない。

15分ほど戦っただろうか。

すでに敵の人型は全て壊滅。

そして敵艦船への攻撃を開始していた。

勝ち目が無いと判断したのだろうか。

艦船は撤退行動をすぐに始める。

プレイヤの回収もせずに、逃げるようだ。

要塞の抵抗ももう無い。

 アライヴ「楽勝だったな。要塞の占拠は、美夏さんにまかせていいですか?」

 美夏「ああ、楽勝でしょ。」

美夏の愛機バナナは、まぶしいくらいの黄色い機体で、単機要塞へ向かうのがはっきり見えた。

ちなみに人型の色は、宇宙の色と合わせたりして、見えにくくする事が多い。

理由は、ゲリラ戦をする軍人が、迷彩服を着ている事を考えればすぐに分かるだろう。

でも単機で戦う時はいいけど、共闘する場合は見えないと、味方からの攻撃を受ける事もあるから、見えやすくする場合もある。

俺達は単機での戦いより、共闘を重視しているから、基本見えやすい色にしている。

ちなみに俺の愛機キュベレイは白だ。

本家にできる限り似せているからね。

星さんの機体は金色。

ちなみに今日子さんの機体はサファイア色で少し暗めだ。

パープルアイズが、人型を回収しているのが見えた。

プレイヤ3人、味方にできるだろうか?

おそらくは無理だろうな。

今回のゲームでは、裏切りや軍を変えるのには、前回以上にリスクがある。

そんな行動をした人は、たとえ所属軍が優勝しても、配分はほとんど得られないと公表されているからだ。

ポイントで査定しているなら、きっと大量のポイントがマイナスになる行為になるのだろう。

配分に影響しないように軍を変えるには、一度軍の大将に正式に許可を得て退役するか、在野軍、すなわち拠点を持たない軍を辞めてから、「3ヶ月間をおいて入隊する」事が必要となる。

もしくは軍の壊滅や解散、又は自分のキャラが死んだ場合に他の軍に入っても、査定がマイナスにはならないようだ。

ただ、壊滅や解散、死に関しては、それ自体にリスクがあるけどね。

死後は1週間軍に属せないルールも有るし。

まあとにかく、前回ほど裏切りを注意しなければならないって事はなくなった。

それでも裏切りはきっとあるのだろうけどね。

それにしてもこのシステム、全ての拠点に所有者ができてから公表されたから、実はかなりの反感をかった。

適当に軍を作って、拠点に名前をつけてやろうという奴らが、簡単に軍を解散できずに嘆いていた。

本来ならみんな、きっと強い人の軍に入りたかったはずだ。

中でもジーク軍やダイユウサク軍は人気だ。

本当は適当に遊んだ後に、それらの軍に入るつもりだったのだろうけれど、リスクが大きくて今となってはできない。

これはおそらくクライアントの作戦だったんだろう。

最初から戦力が集結していたら、ゲームの決着が早くなるし、面白みにも欠けるからね。

今ではそれぞれに軍を強くしようと必死だ。

俺はこれで良かったと思っている。

やはりゲームは長く楽しみたいからね。

さて、もう大丈夫そうだし、パープルアイズに戻るか。

俺は紫苑さんへ通信を入れようと、チャット通信画面に文字を書き込んでいた。

そしたらその時、友軍ではない何かが、こちらに近づいてくる警告音が鳴った。

 一生「敵?」

 アライヴ「残っていたか?」

俺は紫苑さんへのメッセージを一度消してから、それだけ送信した。

 スピードスター「ありゃやべぇの来た♪」

 今日子「あれ、ドリームとカズミンだよ!」

なんと!ドリームとカズミンが?

俺はレーダーにとらえた敵の方に機体を向けた。

モニタに敵機の情報を表示する。

黒い機体は、確かにドリームと表示していた。

名前:ドリーム、機体:ドリーム。

もう一機もほぼ黒に近い紺色の機体。

名前:カズミン、機体:カズミン。

俺はどきどきしてきた。

人型だけで、こんなところまで?

ダイユウサク軍の領域からだとかなり離れているから、相当燃費重視でないと、こんな領域まで来る事はできない。

おそらく能力的には、俺のSSと似たような感じの機体だろう。

 今日子「面白い!やるよ!」

 スピードスター「♪」

今日子さんはやる気だ。

スピードスターさんは、いまいちわからないけれど、やるならやるって感じかな?

俺も戦う意志を伝えようとした時、ドリームからの通信が入ってきた。

俺は特に通信を断る理由も無かったので、そのまま回線を開く。

 ドリーム「こんにちは。アライヴさんって強いんだってね。一度タイマン勝負したいんだけど、うけてくれない?」

なんと、あのドリームが俺と?

するとカズミンと今日子さんが、2機だけで少し離れていった。

すぐに今日子さんから通信が入る。

 今日子「私とタイマンでやりたいらしいから、ちょっとやってくる。手出し無用ね。」

なるほど、カズミンは今日子さんと、そしてドリームは俺とやるってわけか。

俺はドリームに了解のメッセージを送る。

 アライヴ「おっけ~!」

そしてすぐ友軍へ向けて、「俺もドリームとタイマンするから、手出し無用で!」

すぐに皆から、「了解!」とメッセージが入った。

でも紫苑さんだけは、「やばそうなら、手出しする。君はうちでは重要だから。」そう言ってきた。

俺の事を買ってくれているのだから、悪い気はしないが、手出しされるのもいやなので、絶対勝つ。

気合を入れた。

 ドリーム「此処までくるのに燃料かなり使ってるから、戦闘時間はおそらく5分が限界だと思うから。」

 アライヴ「了解!」

これは、5分で倒すぞと言う意味か、それとも5分では勝負はつかないかもしれないと思っているのか。

まあどちらにしても、やるだけだ。

ドリームがビームソードを抜いた。

 一生「二刀流?」

両手にビームソード。

そしてあの機体だと、おそらく接近戦オンリー。

俺の機体はどちらかと言うと中長距離メインだが、接近戦でも別にかまわない。

 ドリーム「では行くよ!」

 アライヴ「うい!」

俺が返事を返すと同時に、ドリームがまっすぐつっこんできた。

俺はすぐにビーム砲で狙う。

しかし簡単にかわしながら、なおもキュベレイに近づいてきた。

 一生「はえぇ!!」

一気に距離を詰められた。

「もらった!」、ドリームからそんな声が聞こえてきた気がした。

でも俺はそんなにぬるくないよ。

全体的なスピードは負けているが、瞬発力はこっちが上だよ。

俺は最初の一太刀を左へかわす。

しかしすぐに俺へ向けてソードが襲いかかってくる。

 一生「ツバメ返しかよ。」

俺はすでに抜いていたビームソードでそれを受けた。

ビームソードなのに、何故ビームソードで受ける事ができるのかは不思議だけれど。

俺は逆の手のビーム砲で、ドリームを狙う。

と同時に、ドリームは俺から距離を素早くとった。

ビーム砲は当たらない。

俺は撃つのをやめた。

 ドリーム「流石ね。噂は本当だったw最近強いのいなくて退屈だったんだよね。」

あのドリームに流石と言われれば少しうれしいが、俺とてドリームにもカズミンにも負けるつもりはない。

 アライヴ「ドリームさんも強いね。これだけ俺とやれる人なんて、見たことないよ。」

 ドリーム「今日子さんも?」

 アライヴ「敵でね。あの人もきっと強いよ。」

 ドリーム「でしょうね。カズくんでも手こずってるし。」

見ると、なかなか壮絶な戦いをしているようだ。

でも、今日子さんが押されているように見えるのは、気のせいだろうか?

 ドリーム「では、第二ラウンドいくよ!」

おっと、見とれてる場合じゃ無かった。

 アライヴ「うい!」

又も返事と同時に、ドリームがつっこんできた。

この無造作につっこんでくるところに、ドリームの強さを感じる。

これがガンダムでいうところの、「プレッシャー」なのだろうか。

しかしこの程度なら、まだまだだ。

今度は早いうちに右に跳ぶと、中距離を保ちながらビーム砲で狙う。

ドリームはそれをかわしながら近づこうとするが、かわしている分距離は縮まらない。

さて、このままだと、ドリームがミスをしない限り、延々このままかもしれない。

別に此処で俺のフェンネルを見せる必要はないけれど、なんとなく使ってみたくなった。

俺は少しずつ、距離をわざと詰める。

この距離でフェンネルを展開しても、ドリームには通用しないだろう。

回避不能な位置まで近づかせて、蜂の巣にしてくれる。

フェンネルの設定をパターン1にする。

前回練習時に、パターン2に変更していたからだ。

さて、うまく近づいてこい。

後少し。

ドリームに警戒している様子はない。

よし、此処だ。

俺は一気にフェンネルを展開した。

一瞬ドリームの動きに迷いが出る。

俺は機体を反転させて、全速前進。

フェンネルの中に逃げる形だ。

追いかけてくるかこないかは、もうどうでも良い。

すでにドリームは、フェンネルに完全に包囲されている。

しかもかなりの近距離で。

一気にフェンネルのビームがドリームをおそった。

やった!

あれ?爆発音が無い?

手応えが全くなかった。

中心ではドリームがノーダメージで存在していた。

次の瞬間すぐに、ドリームは俺から離れる方向で、距離を取った。

なんだ?

あのフェンネルの攻撃を全てかわした?

冗談じゃない。

あれをかわされたら、フェンネルであのドリームは落とせないではないか。

 ドリーム「あぶなー(笑)フェンネル使いだって聞いてたの忘れてたよ。この機体じゃ勝ち目ないから、今日はこの辺で撤退するよ。」

・・・

ちょっとフリーズしてしまった。

 アライヴ「ああ、今日は楽しかったよ。」

嘘だ。

あの機体と武装で、フェンネルまで使ったのに落とせないどころか、ノーダメージのドリームの強さに、かなりショックを受けていた。

ドリームのところに、カズミンがやってきた。

そうだ、今日子さんはどうなった?

とりあえず大丈夫そうだけど、機体に傷が見えた。

カズミンは無傷だ。

こんな機体で、何者なんだこの人達。

流石にゲームで食っていけると言われている人達だけど、これほどなのか。

 ドリーム「じゃあ、次回はマジ勝負で。」

 アライヴ「うん。」

悔しさで、余裕もなく、ただそれだけ返事をした。

ドリームとカズミンの二機は、猛スピードでこの空域を離脱していった。

しばらくして、今日子さんから通信が入った。

 今日子「くやしいーーーーー=!!!!!!!!!!」

この適当な通信が、今日子さんの悔しさを如実に伝えてきた。

 アライヴ「カズミンってどうだった?」

 今日子「強すぎ。ってか巧すぎ。途中から、絶対に落とせる気がしなかった。」

 アライヴ「そっか。ドリームもそんな感じ。巧いってよりは早いって感じ。反応が人間じゃないよ。」

 美夏「ドリームとカズミンとやったのか?」

要塞を占拠したのか、美夏さんが戻ってきた。

そう言えば美夏さんって、バトルグリードも経験者だったような。

 今日子「やったけど巧すぎ。」

 アライヴ「確かに、勝てる気がしなかったよ。」

 美夏「ははは、テレビで彼女達の戦い見たことあるけど、コントロールが人間業じゃないからね。つーかおまえ達が健在なのが凄いよ。バトルグリードで太刀打ちできるのは、ほとんど身内だけな奴らだぜ?そいつらとまともにやれたんだから、もしかしたら俺って良い仲間に恵まれたかもな。」

ほめてもらっているんだけど、悔しさがそれを完全にうち消していた。

次戦う時まで、もっともっと強くなる、そう誓った。

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