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宇宙の絆Ⅱ  作者: 秋華(秋山 華道)
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カウントダウン

全方位バリアに、俺達は打つ手を失っていた。

今までよりも断然攻撃はかわしやすくなったが、持っている武器全てが、敵に通用しない。

バリアは、ビーム兵器のほぼ全てを無力化する。

ビームソードなら、多少のダメージは与えられるが、艦船にちまちまダメージを与えても、逆にそこでやられるリスクの方が高い。

じぇにぃのライフルならもしかしたらと思ったけれど、雀の涙程度で意味がなかった。

暗黒天国さんのボスにミサイル兵器はあったが、狙い撃つタイプではないし、接近できないようでは簡単に迎撃された。

ミサイル兵器なんて無駄だと思っていたけれど、こうなってくるとミサイル兵器を持つ事も考えなければならないか。

とりあえず、今はそんな事を考えている場合ではなかった。

お互い打つ手の無い状態は、むしろ美菜斗軍に好都合。

この間に、ジークを倒す為に、全力を尽くせるだろう。

早くなんとかしなければならなかった。

こちらが打つ手がないと見るや、バリアを解いて、再び全力攻撃をしてくる。

再びチョビの元に集まると、バリアを張られる、こんな事を繰り返していた。

しばらくこう着状態を続けていると、ようやく紫陽花さんのパープルリリーが後方に到着した。

 紫苑「アライヴ、一度リリーに撤退して(^0^)その後艦船も参戦する!」

 アライヴ「了解!」

パープルリリーが到着したって事は、艦船への兵器補給が可能になったわけだが、ミサイルの撃ち合いができるようになったところで、数に差がありすぎる。

とにかく命令に従って、パープルリリーに帰還だ。

俺は一旦戦場を離れた。

パープルリリーに着艦すると、紫陽花さんが通信してきた。

 紫陽花「どれがいい?」

一瞬言ってる意味が分からなかったが、すぐに兵器リストが送られてきた。

紫苑さんからも通信が入る。

 紫苑「どれでもいいから、近距離からぶち込めないか?」

リストには、バズーカー、ミサイルランチャー、グレネード、他にも通常のソードなんかもあった。

バズーカーもミサイルランチャーもテンダネスには重すぎる。

ソードはあつかえなくはないかもしれないが、パワー不足で大きなダメージは求められない。

となると、グレネードしかない。

俺はグレネードを選んだ。

早速装備をつけると、俺は再び宇宙にでた。

少し動きが鈍い気がするが、そう大したステオチはないだろう。

チョビに協力してもらい、なるべく敵艦に近づき、グレネードをぶつける作戦だ。

紫苑さんのパープルアイズやスピードスターも、ビームとミサイルを撃ちまくって、援護してくれる。

パープルリリーは、長距離砲を装備した高コストの艦船なので、敵の射程距離の外から、ちまちまミサイルを撃っていた。

そのほぼ全てが迎撃されていたが、そちらに気がいけば、こっちが手薄になる。

俺はなんとか接近し、グレネードをぶつけまくった。

地味な攻撃だけど、停滞していた戦況が、ほんの少しだけど動き出した。


敵を1隻落としては、パープルリリーに戻ってグレネードを補充する戦いでは、なかなか状況を変える事は出来なかった。

停滞しているよりはマシだが、こうしてる間にも、ジークがやられるかもしれない。

そうなると、今度はこちらに全力で攻撃してくるだろう。

今、俺達とジークは、運命共同体になってしまったのかもしれない。

少なくとも、逃げなければならない状況になれば、パープルリリーはやられるだろう。

逃げようにも、この艦だけは逃げられるスピードがない。

懸念は、徐々に現実へと動いていた。

美菜斗軍の動きが変わってきた。

全ての艦船が、どうやらこちらに攻撃対象を変えようとしている。

ジークがやられたのか?そう思ったが、どうやらあちらには人型を発進させているようだ。

最終段階に入ろうとしている。

群青さんは無事だろうか。

これは負けたなと思った。

ジーク軍を攻撃していた艦船が、こちらに向かってきている。

そしてローテーションで補給中だった艦船もこちらに集まってきているように見える。

 紫苑「そろそろ潮時か。残念。」

紫苑さんがそう通信してきた直後、我々の背後に沢山の機影をレーダーが映し出した。

サイファさんだった。

そしてすぐに、サイファさんが、我が軍上層部のメンバー特定通信に、通信の許可を求めてきた。

紫苑さんがすぐに回線を開く。

 サイファ「お待たせ!しゃにゃ軍に手こずりました。えっと、とにかく、我が艦船の前、あけてください。アレいきますw」

 紫苑「まってました!(^0^)」

アレとはもちろん、波動砲だ。

負けたと思った戦いに、少しだけど光が見えてきた。

サイファさんの艦船、補給できないじゃまいか!が、惰性でこちらに向かいつつ、波動砲の充填をしている。

その先は、今敵艦船が集まってきている場所。

このチャンスを逃したら、敵のフォーメーションが完成して、今後波動砲に大きな戦果は求められないだろう。

敵のフォーメーションは、縦横に平面に艦船を並べるのだから、波動砲で倒せるのはごく一部になるからだ。

この最初の一発に、今後がかかっていると言えた。

俺はこの一発の重要性を考え、通信を入れる。

 アライヴ「発射までのタイムを教えてください!」

俺はそれだけ通信を入れると、できるだけ戦場にとどまった。

何かあると思わせてはいけない。

そしてギリギリまで、敵を集める。

 サイファ「後50秒!」

すぐに時計を確認。

そして目標退避時間を算出。

前に波動砲を見た時の事を思い出し計算すれば、このテンダネスなら退避に20秒ちょっと。

通信のタイムブランクを加味して25秒、保険に2秒入れて、残り27秒前まで中心にいる。

俺はそう決めて、戦場に残った。

23秒が過ぎるのはあっという間だった。

俺は波動砲の射線上から退避する。

しかし、敵の攻撃がそれを阻む。

しまった!敵の妨害を計算に入れていなかった。

かわすだけでも大変な状況で、まっすぐ逃げられないのは当然じゃないか。

多少のダメージは覚悟して、突き進むしかない。

だけど敵のビーム砲による攻撃が止まった。

 紫苑「はやく(^0^)」

どうやら紫苑さんが、ビーム砲でけん制し、敵艦船にバリアを使わせているようだ。

ミサイルだけなら、逃げ切れる。

俺は、全てのグレネードを投げつけ、弾幕にしながら突き進んだ。

そしてなんとかギリギリ、波動砲の射線上から退避する事ができた。

直後、俺のすぐ後ろを、光の柱が敵艦船の集まる場所へと伸びていった。

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