チョビ!完全体!
ただ敵の攻撃をかわす事を繰り返し、20分ほど経っただろうか。
俺は手がしびれてきていた。
本当に息つく間もないとは、こんな状態を言うのだろう。
人型同士の対戦なら、1機倒したところで息をついたり、攻撃にも間がある。
しかし無数に飛んでくるミサイルとビームは、それを許さない。
じぇにぃは大丈夫だろうか?ハルヒくんは?
確認しようにも、チャットする余裕は全くない。
一応スカエポはいつでも使えるようにしているが、連絡が無いって事は、なんとかやっているのだろう。
ハルヒくんは最近、逃げるのだけは上手くなったもんな。
言い方が悪かった。
よく言えば、敵の攻撃をかわす事にかけては、右に出る者少数w
タイプとしては、カズミンに似ているかもしれない。
それにしもヤバイ。
手がしびれてきて、気力も衰えてきた気がする。
いかん。
気合入れないと。
俺は自分の体勢を立て直そうと、椅子に座りなおそうとした。
その時、思わぬ事がおきてしまった。
不用意に動いたからか、俺はコントローラーを落としてしまった。
一生「しまった!」
すぐにコントローラーを拾ったが、敵の大量の攻撃が、テンダネスに向かってきていた。
駄目だ、墜とされる。
それでも必死にかわそうとする。
無理か。
諦めかけた時、俺の前にチョビの機体、ガードナーがあらわれた。
一生「チョビ!」
俺は思わず声をあげた。
聞こえるわけもないが、俺は「ありがとう!」と言った。
チョビ「だいじょうぶ?おまたせ~」
チョビは意外と余裕で、通信してきた。
そうか、盾か。
チョビの盾は強力で、前方からの攻撃をほぼ完全にシャットアウトできる。
盾なんて動きが遅くなるし、戦闘の後のメンテナンスも必要だから、いらないものだと思っていた。
だけど地球での要塞戦の時も、今回も、ギリギリのところで助けてくれたのは、チョビの盾だった。
チョビとコンビを組んでいて、本当に良かったと思った。
そして、美菜斗軍領域での戦闘で、俺の帰還が5秒遅れたのを思い出し、その5秒でチョビが間に合ってくれたのだから、あの時の自分にも感謝した。
一生「ありがとう。よし、これから反撃だ!」
チョビの盾のおかげで、俺も余裕がでてきた。
チャットも可能な状態。
行ける!
チョビ「そうそう、お母さんにしょうきん200万円もらえそうって言ったら、ゲームやっていいことになっちゃったw」
一生「えっ!?」
こんな時に話すのもどうかとは思ったが、これはもしかして、チョビが完全体になったという事だ!
そう考えると、俺はにやける顔を元に戻せなかった。
アライヴ「さて、話は戦いが終わってからだw行くよw」
チョビ「らじゃw」
チョビがライフルで敵の艦船を狙い撃つ。
俺はチョビが取りこぼした、敵からの攻撃をフォローする。
いつもの俺達の戦い方だ。
流石にこの状況でフェンネルは使えないが、この状態だと負ける気がしない。
チョビのライフルは、1隻、また1隻と、敵艦船を落としていった。
一気に戦況は変わった。
小学生盾使い恐るべしだ。
いや、あれからもう1年以上経っているかな。
だったらもう中学生か。
ずっとゲームばかりしているから、時間の流れがわからない。
たぶんもう中学生だろう。
俺の最高のパートナーが中学生ってどうよ?と思わなくもないが、ゲームに年齢は関係ない。
リアルじゃ、年功序列だとか色々五月蠅くて、人づきあいが面倒くさいけど、ゲームって良いなと思った。
気がつくと、じぇにぃもこちらにやってきていた。
じぇにぃ「ゎたしもぉ~よせてw」
アライヴ「いえいw」
元はじぇにぃとコンビを組んでいたんだよな。
この子もまだ中学生か。
俺って、子供と相性が良いのかな。
じぇにぃが来た事で、更に艦船への攻撃は勢いを増していた。
チョビのライフルより、じぇにぃのライフルの方が、威力が格段に上だ。
もう3人で無双状態だった。
ただビームとミサイルを撃ってるだけの艦船など敵ではない。
でも、この無双状態は長くは続かなかった。
前方の艦船が全て、青く輝いていた。
全方位バリアだった。
ビーム兵器が通用しない。
俺達は再び、打つ手を失った。