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宇宙の絆Ⅱ  作者: 秋華(秋山 華道)
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運命を変える時間

ジークはおそらく、本拠地近くにいる。

宇宙の全体マップを見ていたら、まず間違いなくそう見えた。

場所は、我が紫苑軍の領域がある右上ブロックではなく、左下ブロックの左下隅。

コロニーシオンとは真逆の位置だ。

我々からみれば、正に宇宙の彼方。

日曜日でもなければ、こんなところまで行こうなんて思えない。

ただ高速で移動するだけでも、イゼルローンから2時間はかかりそうだ。

索敵し、警戒しながら進む今は、その倍はみておいた方が良いかもしれない。

面倒なところを本拠地にしてくれたものだ。

ちなみに、本拠地と言っても、システム上で決められているわけでもなければ、此処を落とされたら負けるわけでもない。

ただ、予備の艦船や人型を格納していたり、生産性の要だったりするので、他より重要な場所であるってだけだ。

その本拠地へ向けて進む俺達。

退屈だが、緊張感のある時間が静かに流れて行く。

そんな静けさの中、時々チョビから通信が入る。

 チョビ「だいじょうぶ?まだへいき?」

親の目を盗んでは、状況を気にして通信をいれてくる。

一応チョビのキャラと人型ガードナーは、スピードスターに乗せてはいる。

昼間は戦えないが、今夜参戦するであろう、かつてないほどの大規模な戦闘では、きっとチョビの力が必要になる。

俺達二人のコンビなら、人型で敵など存在しないはずだ。

 アライヴ「うん、大丈夫だよwこのままいくと16時から17時くらいになるんじゃないかな。」

時計を見ると、14時を回ったところだ。

 チョビ「そっか!17時にはさんせんできるようにがばんよ!!」

 アライヴ「無理しないでねwもし辞めろとか言われたら、200万円貰えるかもって言えば、もしかしたら許してくるかもしれないよw」

チョビが無理をして、ゲーム参加できなくなったら、紫苑軍には大きな痛手だ。

でもさ、親も大金が手に入るかもしれないと分かれば、許してくれそうな気もするんだけどねぇ。

確か前に発表された賞金予想だと、チョビは200万円くらいあった気がする。

そしてきっと俺とは逆に、その後増えていると思われる。

 チョビ「あ、ママだ!じゃ!!」

一言残して、チョビは又ネットから落ちていった。

この子が完全体だったら、と、前にも思った事だな。

できる子ってのは、何故かこういうハンデを持つ事が多いんだよね、きっと。

あのサッカーアニメの貴公子も、心臓病を抱えて15分しか試合に出れなかったし。

そんな事を考えている自分が、自分自身おかしかった。

それにしても眠い。

3時間程度しか寝ていないし、ずっとPC前で待機だ。

そろそろ戦闘でもしないと眠ってしまいそうだ。

ヤバイ。

瞼が下がる。

ちょっとくらい寝ても大丈夫かな。

敵襲があったら、きっと警報音が知らせてくれるだろう。

俺は睡魔という名の誘惑に負けようとしていた。

とその時、まさに警報音が敵襲を知らせてくれた。

 一生「うおっ!」

俺はビックリして、椅子から落ちそうになった。

モニタを見ると、既に紫苑さんから命令が入っていた。

 紫苑「美夏!はいねぇ、じぇにぃ、ハルヒ、アライヴ、その他もろもろ、発進よろしく(^0^)」

 じぇにぃ「きたぁ~」

 ハルヒ「眠りそうだったw」

俺も少し遅れて通信を入れる。

 アライヴ「俺は寝てたよw」

 紫苑「w」

だけど、もう目が覚めた。

俺は発進した。

発進したはいいが、肝心の敵はどこの軍なのか。

当然美菜斗さんの軍だと思っていた。

なんせ此処はまだ、美菜斗軍の領域だったからだ。

だけど敵は、聞いた事もない軍だった。

流石に、美菜斗軍領内を突き進んでいたわけで、俺達がイスカンダルを目指して動いている事は、美菜斗さんにもバレバレのはずだ。

それでも美菜斗さんは手が離せない。

そこで仲良くしてる軍に足止めを依頼したと考えるのが普通だろう。

それにしてもいったい、美菜斗グループはどれだけいるのだろうか。

もしかしたら、紫苑軍とサイファ軍とジーク軍以外全てがそうなのではと思ってしまう。

ま、それならそれでも良いけどね。

何故だかわからないけど、俺は嬉しかった。

戦いは意外に手こずった。

普段戦闘をしていない聞いた事もないような軍は、意外と強かったりする。

それはセオリー通りにいかないからだ。

こう打って出たら、こう返してくるって当たり前の事が、当たり前ではなくなる。

麻雀なんかで、弱い人が1人入ると、強い人は逆に手こずるってのと似ているかもしれない。

とにかく戦っていて、面倒くさい相手だった。

それでも実力の差は明らかで、なんとか殲滅できた。

 紫苑「早くもどれー!直後にパープルリリーが追い付いてきてるぞー(^0^)」

なんとまあ、かなり先を行っていたと思っていたけれど、それほどでもなかったようだ。

実際、こっちは索敵しながら慎重に進んでいるわけで、その後を全力で追いかけてくれば、いくら遅い艦船でもそれなりにはついてこれるって事か。

帰還したのは俺が最後だった。

一瞬パープルフラワーを探して遅れてしまった。

しかしこの遅れが、この後絶妙なタイミングを生む事になるとは、俺は思いもしなかった。

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