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宇宙の絆Ⅱ  作者: 秋華(秋山 華道)
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絆決戦

時計の針は、朝の6時をさしていた。

流石にぶっ続けで戦闘を続けるのは辛い。

だが、此処で眠るわけにはいかない。

要塞を落として、艦船に戻って移動している間が唯一の休憩タイム。

わずかな時間に食事をして、風呂にも入ったが、寝る事は不可能だった。

寝たら数時間は起きられそうになかったから。

敵も同じだろうと思う事で、なんとか気力を振り絞ってコントローラーを操作していた。

みゆきちゃんは今日予定があるとかで、1時を回ったあたりで早々にネットから落ちていた。

最前線で残っている主力は、紫苑さんのパープルアイズに、じぇにぃとハルヒくんと美夏さん。

紫陽花さんのパープルフラワーに俺。

スピードスターに暗黒天国さんだけだった。

こういった、朝まで戦闘ってのは何度か経験しているが、準備もせず一睡もしないのは初めてかもしれない。

実際やってみると、かなりグダグダになる事がわかった。

曹操軍の侵攻も勢いを無くし、2つ目の要塞を落とされたところで、動きは止まっている。

動きがあるのは、俺達がいる戦場と、しゃにゃ軍の領域が、徐々にサイファ軍へと変わっていくだけだった。

それにしてもおかしいのは、ジーク軍と美菜斗軍との戦闘だ。

サイファさんからの情報だと、確かに今も戦闘は続いているとの事だ。

だけど、未だに1つも拠点の持ち主が変わる事が無かった。

それはすなわち、お互い要塞を占領する事を考えていないって事だろう。

美菜斗さんのやり方を考えれば、おそらくジーク狙いだと確信できる。

そしてジークがもしやられれば、ジークの性格を考えると、軍を消滅する事も考えられる。

それで決着がついてしまう。

この戦いは、美菜斗さんがジークを倒せるか倒せないかで勝敗がきまりそうだ。

いや、この状況をつくっただけで、既に美菜斗さんがこの週末の勝利者である事は、誰の目にもあきらかである。

だからせめて、完全勝利だけは、なんとしても阻止しなければならなかった。

結果ジークを助ける事になったとしても、それは必要な事だと思った。


8時になろうかという時間、チョビがあらわれた。

少しの間だけならやれるというので、俺は一旦チョビと代わって寝る事にした。

紫苑さんと紫陽花さんは、指揮をどちらかに任せて交代で寝ているようだ。

星さんは、寝なくても大丈夫って事でフル活動。

それに付き合って、暗黒天国さんも頑張っていた。

そして11時を過ぎた頃、ようやくERROR軍の最後の要塞を落とす事に成功した。

ちなみに俺が寝ている間だった。

すぐにチョビと交代して、一旦イゼルローンに戻る。

これからが本番。

美菜斗軍との戦闘の前に、補給と休息の時間がとられた。

補給は本来、あまり必要がない。

土曜日から日曜日の戦闘をフルに戦えば、艦船でも流石に燃料は尽きるが、ずっと戦い続けるなんて事はまずあり得ないから。

時々ミサイル兵器と言うか、物理兵器が底をうつ事もあるが、そもそもミサイル兵器の利点はそれほど多くはなく、無ければ無いでそれほど困らない。

物理兵器の利点は、追尾ミサイルや、弾幕に必要なくらいで、スピードも遅く目視で十分回避できるので、デメリットの方が多い。

後は、バリア対策くらいか。

実はこのゲームにはバリアというシステムがある。

艦船でピンポイントバリアを使うのが一般的だが、艦船、人型共に、全方位バリアが存在する。

ただ、全方位バリアをはると、ビーム兵器が使えなくなるし、自分の意思で動くことも不可能になる。

コストもバカみたいに高いし、使う人はごくわずかだった。

とはいえ、バリアを使った戦術を得意とする人もいるし、バリアを張られるとビーム兵器の多くがほぼ無力化されるので、保険程度の物理兵器を搭載する人が多かった。

 紫苑「一応この後の戦いは遠征もあり得る。アライヴはこっちに乗って、紫陽花にはパープルリリーで、後方支援と補給艦的役割を果たしてもらう。」

紫陽花さんの第二の艦船パープルリリーは、とにかく火力重視の鈍重な艦船である。

あらゆる兵器を大量に搭載しているが、もちろんこんなただ兵器を搭載しただけの艦では、まともな戦いはできない。

では何故こんな艦船を造ったのかと言えば、補給の為である。

この宇宙の絆Ⅱでは、補給艦は存在しない。

だけど、別の艦船の物資を移してくる事は可能だ。

そこで補給艦的役割の艦船を、こんな形で造っているというわけ。

 アライヴ「遠征になるの?美菜斗さんなら、守りも考えていると思うけど。」

俺は一応の疑問に対して、答えを求めた。

これから攻撃をしかけるのは、美菜斗軍の要塞であり、領域である。

その要塞や領域は、昨日から続く戦闘タイム内に手に入れたものだ。

となると、もともとその要塞を管理していた軍のプレイヤの、艦船や人型が残されたままである可能性が高い。

美菜斗さんはこういったところにも配慮する人だから、みすみすそれを渡してしまうかもしれない作戦はとらないだろう。

ならば守りも考えているはずで、我々が侵攻して行ったら、そこでの戦いになる可能性が高い。

たとえ守りがいなくても、要塞を落として行くには時間もかかるし、遠征をする可能性は限りなく0なような気がした。

 紫苑「おそらく守りは無い。曹操軍がこちらに攻めてくる事を伝えてきたのは、守りができないから、他に気をそらせる為でしょ。(^-^)v」

なるほど、確かに紫苑さんの言うとおりだ。

対策はしていた。

おそらくこういった方法で、多くの軍に対して、今回の対ジーク戦に介入してこないように、なんらかの手をうっていたに違いない。

俺の勘だけど、その対策にのらなかったのが、紫苑軍とサイファ軍だったってわけだ。

今回の作戦は、宇宙の絆Ⅱでは非常識な戦略だが、美菜斗さんはシミュレーションゲームの王道的戦略を、素直に持ちこんだに過ぎない。

でもこれだけやられてしまっている。

なんとなく、宇宙の絆Ⅱの古くからのプレイヤがバカにされている感じだ。

宇宙の絆Ⅱのゲーマーと、美菜斗さんの対決のような気もした。

 紫苑「よし、そろそろ時間だ。勝つぞ!(^0^)」

12時ちょうど、紫苑さんの命令を受けて、俺達は出発した。

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