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宇宙の絆Ⅱ  作者: 秋華(秋山 華道)
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水中戦

次の日、我が紫陽花部隊は、宇宙へ戻る事を命じられた。

しかし俺は、地球でやり残した事があったので、これを拒否した。

地球でやり残した事。

それは、まだ水中戦を経験していなかった事だ。

先日の戦闘で手に入れていた、水陸両用の機体を、少し俺仕様に改造していて、是非試してもみたかった。

紫苑さんは俺の希望を聞くと、快く地球に残る事を了承してくれた。

代わりにサラさんが、紫陽花さんのパープルフラワーに乗って、宇宙へと飛び立った。


19時になった。

今日は俺の気持ちを酌んで、南の島にある拠点へ遠征する事を、紫苑さんは許可してくれた。

これは負けられない。

ただ、紫苑さんは「駄目ならすぐに戻ってきても良いよ。」とも言ってくれていた。

なんとなく、意地でも攻略したいと思った。

まず一つ、敵の領域を通って行く事になる。

俺の機体は、今日初めて乗る「モノトーン」だ。

名前は、白と黒のツートンカラーでペイントされた機体だから、そう名付けた。

モノトーンを乗せた小麗の艦船月天が、高速で敵領域を突っ切る。

敵は拠点の周りに集まって、守りを固めていた。

これはすんなり通らせてもらえそうだ。

それにしても驚いたのは、乗ってる艦船のスピードと操舵だ。

この領域のマップの、もっとも航行しにくい山岳地帯を、山をぬうように高速で突き進んでいた。

艦船の操作は複雑ではないが、これだけの航行には、反射神経がかなり必要だろう。

小麗さんは、レースゲームが得意なのかも、そんな事を考えていた。

敵領域を一つ抜けて、いよいよ目的の領域へと入って行った。

陸地が途中までしかなく、後は海が広がっていた。

艦船でこのまま進むと、水中から攻撃を食らうだろう。

 アライヴ「そろそろ人型行くよ。」

 おとめ「了解~w」

 サウス「蹴散らしてくれるわ!」

この面子で戦うのは初めてだ。

俺は少しワクワクした。

まずは砂浜に降下する。

一応警戒はしたが、特に攻撃はなかった。

とても静かだった。

だけど、水中に必ずいる。

何故か確信があった。

俺達は後方に小麗さんの月天を残して、3機水中へと入って行った。

NPCの乗る人型は出さなかった。

初めての水中戦だし、逃げる事も考えていたから。

水中に入ると、体が少し重く感じた。

動きも遅い。

これは、今日初めて乗る機体だからレベルが1な事も影響しているが、それだけではない。

でも、これだけ反応が鈍い動きも、テンダネスで経験していたので、すぐに対応できる自信があった。

レーダーに反応があった。

魚雷の接近だ。

既に敵には、こちらが捉えられているようだ。

俺はすぐに迎撃用ミサイルを発射した。

水中で爆発がいくつも起こった。

その向こうで、おとめさんのマイヒメが、スクリューのように、島の方へと進んでいる姿が見えた。

 一生「すげぇw」

おとめさんは、変わったフィールドの戦闘が得意だ。

だから水中戦も得意だとは聞いていたが、コレは凄い。

サウスさんも迫力がある。

俺は少しにやけながら後に続いた。

すぐに敵機を目視できた。

同じくしてレーダーにも捉えた。

敵の数は15機といったところか。

数では圧倒的に不利だが、頼もしい味方もいるし、なんとかなりそうな気がした。

だがやはりそう簡単では無かった。

相手は水中戦になれた人達だ。

こっちには、素人もいる。

おとめさんが3機、サウスさんが4機落としていたが、俺はまだ0だった。

そして、サウスさんの人型サウスドラゴンが、かなり傷んでいるように見えた。

サウスさんは、強烈な攻撃力が売りな人だ。

だけど守りが弱く、誰かが守ってあげないと、その戦闘時間が長くはない。

俺は自分の無力さを受け入れ、サウスさんを守る事に戦い方を絞った。

後ろをフォローし戦う感じは、チョビとのコンビに似ていると思った。

今までやってきた事が、色々なところで生きている事が嬉しかった。

時間はかかったが、敵の数が残り3機となったところで、俺は1機でも落とそうと、戦いを挑んだ。

この戦闘の中で、人型レベルが2に上がっていた。

少し動かしやすくなってきた。

戦いは一進一退だった。

ただ戦っていて思ったのだが、地上戦よりは、宇宙戦に似ている気がする。

上下関係なく戦えるし、重力を感じない。

浮力と重力のバランスが釣り合えば、こんな感じになるのか。

宇宙戦をスローにした感じだと思った。

俺は試しに、フェンネルを出してみた。

横に動く事はできないが、地上で使うよりも使えそうだ。

水流はあるが、静止もできる。

フェンネルが使えたこの後の戦いは、俺は正に水を得た魚のように、縦横無尽に動き回って戦闘に勝利した。

島に上がって、小麗の艦船も参戦し、拠点は意外と簡単に落ちた。

敵側としては、頼りにしていた水中戦で負けたのが、痛かったようだ。

こうして、地上8つ目の拠点「尖閣」を手に入れた。


水中戦を経験した俺は、モノトーンを改良ドックに入れて、宇宙に帰る。

水中戦の要領はつかんだ。

次に水中で戦う時は、完璧にする。

その日から、俺は暇さえあれば、尖閣での模擬戦を繰り返した。

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