表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宇宙の絆Ⅱ  作者: 秋華(秋山 華道)
26/60

遷都と作戦S

思わぬ形で地上に7つの拠点を得た我々紫苑軍だったが、その防衛は容易では無かった。

地上戦になれているグリード軍と、プレイヤ数が圧倒的に多いサイファ軍と一緒だったから、今まで上手くやれていた事を思い知らされた。

パイロットの質は高い紫苑軍だが、複数個所の物量作戦を仕掛けられては、守るのが精いっぱいだった。

拠点のレベルや守りも安定しておらず、もうしばらくの我慢が必要だった。

そこで紫苑さんはある決断を下した。

 紫苑「地球の方が重要だ。宇宙は最悪捨てる覚悟で。ガンダーラに遷都する。」

思わぬ発言だった。

ガンダーラは、地球で所持している拠点の一つだった。

安定している宇宙を捨てて、混戦の中の拠点を本拠地に?

でも確かに、そうする方が良いかもしれないとも思う。

地球の拠点は何処も生産性が高いし、ガンダーラは中でも最高クラスだ。

それに、早い段階で地球に安定した基盤を築く事は必要だった。

コロコロコロニーから、宇宙専用の艦船と人型以外、全てを移動してくる。

宇宙は、全てレイズナーさんに任せた。

壁さんとてけとーさんも、地球へと降りてきてもらった。


紫苑さんの決断は正解だった。

宇宙は比較的安定しており、時々攻めてくる敵もあったが、レイズナーさんで十分守れた。

それとも光合成さんの活躍か。

とにかくなんの問題もない日々が続いた。

地球上はと言うと、壁さんに本拠地ガンダーラを固めてもらい、すぐに安定した守りになった。

地球上にある7つの拠点は、本当の意味で、紫苑軍の拠点として機能し始めた。

しかし、後数日で新たな作戦行動を起こそうかという時に、宇宙に敵が攻めてきた。

と言っても、本来我々が負けるような相手ではない。

ただし、レイズナーさんの部隊だけでは、守りきれないかもしれない戦力だった。

下手をすると、一気に拠点を飲みこまれるかもしれない。

それくらいの相手だった。

 紫苑「せめて今日だけ守れれば、明日には宇宙に何人か戻せるな。」

 スピードスター「俺、即行戻る?♪」

 紫苑「いや、今から行っても時間も無いし、敵領域をいくつも行くのは危険。元々捨てる覚悟だったし。」

俺は戦闘中で手が離せなかったので、二人のチャットをただ見ていた。

しかし、今まで守りぬいていた要塞やコロニーを取れるのもしゃくだなぁと思った。

 一生「ま、仕方なし。」

俺は目の前の戦闘に集中しようとした。

でも、チャットはまだ終わっていなかった。

 紫苑「でも、みすみす負けるつもりもないけどね。作戦S発動!(笑)」

紫苑さんの悪知恵キター!と、少し顔がにやけた。

この発言が気になって、今日は少し集中力を欠いた戦闘となった。

そして結局、1つの拠点も落とされる事なく、24時をむかえた。


後から聞いた話だが、作戦Sとは、前に我が軍に入った、「ジーク」を使った作戦だった。

巨大勢力を率いる大将ジークの情報を徹底的に集めて、色々とそっくりにしていた。

会員ナンバーはそれぞれに違うし、所属軍も階級も違う。

でも、まず戦闘時に表示されるのは、プレイヤ名と機体名である。

情報画面を開かれれば、すぐに偽物だとばれるが、自分たちもそうだけど、一瞬の戦闘時に情報画面を開く人は少なかった。

それが有名人ならなおさらだ。

情報を調べなくても知っているのだから。

我が軍のジークが、バルバロッサという名の艦船に乗ってあらわれると、戦場は一瞬止まったようになったらしい。

そこから人型が出撃し、敵を攻撃し始めると、敵は混乱したようだ。

「紫苑軍とジーク軍は繋がっていたのか?」「ジークを倒せば英雄だぞ!」「ヤバイんじゃないか?逃げた方が良いんじゃ?」

色々な事を言っていたであろう敵の姿が想像できる。

でもきっと、すぐに偽物だとばれたはずだ。

ただ、その一瞬の混乱のチャンスを、光合成さんが見逃さなかった。

背後から敵の主要機を狙い撃った。

運が良かったのか、それとも光合成さんの実力か、とにかく状況を打開するには十分だった。

後は、光合成さん、レイズナーさん、ジークさんで混乱する敵を討った。

隠していた、一度しか使えない作戦は、見事に成功した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ