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宇宙の絆Ⅱ  作者: 秋華(秋山 華道)
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わずかな道を抜けて

俺は爆発の中へと飛び込んだ。

もう、すぐ目の前に、敵が存在した。

俺はビーム砲を一発撃ってから、ビームソードを出した。

キュベレイは良い。

一瞬の瞬発力では、どんな機体にも負けないスピードだ。

行けると思った。

全てが俺の思いどおりに動いた。

しかし、ただひとつ思いどおりには動いていなかった。

俺がビーム砲を撃てば、敵はかわすだろうと予想していた。

だが、そのまま受けていたのだ。

このままではヤバイ。

俺のビーム砲の攻撃で、機体がいくらか損傷していた拠点の虎だが、その力が失われているようには見えなかった。

駄目だ、やられる。

俺は、相当なダメージを覚悟した。

もしかしたら負けるかもと頭をよぎった。

それでも俺は、そのまま突進するしかなかった。。

ビーム砲の発射の兆候である光が、拠点の虎の機体に見えた。

間に合わないか。

その時だった。

俺の後ろから、チョビのビーム砲が、拠点の虎の足を撃ち抜いていた。

バランスを崩した拠点の虎のビーム砲は、キュベレイのすぐ上に抜けていった。

直後、キュベレイのビームソードが、拠点の虎を斬り裂いていた。

決着はついた。

チョビと二人でつかんだ、ギリギリの勝利だった。


無事拠点を攻略した後、チョビはゆっくり話す間もなく、奪ったばかりの拠点に人型を格納して、ネットから落ちた。

俺は紫陽花さんに連絡を入れてから、拠点の司令室で拠点の設定をいじった。

普段あまり拠点の設定はいじらないので、俺にはよくわからず、結局紫陽花さんにほとんどをやってもらった。

俺がやったのは、拠点の防衛システムの起動と、損傷個所の復旧作業依頼だけだった。

紫陽花さんが一通り設定を済ませ、落ち着いたところで、拠点の虎の機体に乗っていたアブサルートさんと話をした。

二人がかりでようやく倒せた相手、地の利と戦略上の優位性を持っていたとはいえ、俺がこれだけ苦しめられた相手はそうはいない。

是非仲間になって欲しいと思った。

 紫陽花「アブサルートさん強いですね。うちのエースが此処まで苦しめられるなんて。」

 アブサルート「機体が良くて、此処の拠点が守りやすかっただけですよ。」

確かにそれはそうだが、普通の人ならよけたくなるビームをかわすそぶりも見せず、攻撃を選んだ選択は、やはり強さを感じる。

少なくともこういった形の拠点なら、もう少し拠点レベルが高ければ、一日二日で落とさせやしないだろう。

拠点レベルが低くて良かったと、改めて思った。

 紫陽花「で、うちの軍にきませんか?」

これが本題だ。

とらえられたプレイヤは、必ずと言っていいほど、こういった話を持ちかけられる。

味方にするか、逃がすか、選択肢は2つしかないからだ。

大将の場合は味方にするコマンドは無く、処刑か逃がすかになる。

ただ、吸収可能の軍の大将の場合は、吸収というコマンドも使えるみたいだが、ほとんどの大将は戦場で倒れる事になるので、俺はそのコマンドを見た事は無かった。

さて、今回の場合は、味方にするか、逃がすかである。

そして即時逃がしたりすると、再び戦いを挑んでくる人もいる。

味方にする事を選んで拒否された場合も、即時自軍に戻る事になるので、同じ危険がある。

だからまずは話をして、味方になる意思を確認し、味方にならないなら、戦闘時間が終了してから自動的に解放という事になるのが普通だった。

 アブサルート「サイファ軍だったらと思っていたんだけどね。どうしようかな。」

どうやら仲間になる事を少しは考えているようだ。

嫌な人は、普通だと即断る。

条件次第って事だろう。

おそらく階級を要求しているのだけれど、紫苑軍の階級の上位に余裕はない。

さて、紫陽花さんはどうするのだろうか。

 紫陽花「そうですか。残念です。では、サイファさんに、アブサルートさんのお気持ちだけお伝えしておきますね。」

紫陽花さんの発言は、予想外のものだった。

これだけ強い人だ。

なんとか説得するものだと思っていた。

それに本人も、条件次第だと言っているようなもの。

何かひと押しがあれば・・・

そう思ったが、結局なんの問題もなかった

言われてみて納得した。。

 アブサルート「いやだなぁ。仲間になりますよ。これだけでかい軍に捕らえられたチャンス逃すのも惜しいし。」

別の軍に入るには、何らかの方法でフリーになるか、裏切るか、捕らえられた時に誘いを了承するか。

この中で一番査定リスクの少ないのが、今回のような場合だ。

まず、裏切りに関しては、取り返し不可能なマイナス査定となる事は、運営も話している。

次に軍を抜ける行為も、退役、死亡、どちらをとってもマイナスは大きい。

で、今回のようにとらえられた場合だが、敗戦によるマイナスは既にあるが、他と比べると査定マイナスは少ない。

他の拠点にある自分の艦船や人型を失うというマイナスもあるが、今回の場合それは考えないくてよさそうだ。

アブサルートさんの艦船も人型も、全てこの拠点にあったから。

なるほど、そういう事か。

元々アブサルートさんは、此処が落とされるような事があったら、落とした軍に入るつもりだったんだ。

さっき拠点の設定をしている時に、紫陽花さんはアブサルートさんの艦船と人型があるのを見て、それを悟ったのだろう。

 紫陽花「あら、そうですか。ありがとうござます。よろしくお願いしますねw」

こうしてアブサルートさんは、我が軍の一員となった。


24時をまわり、戦闘時間が終わって、全てを確認したら、元々グリード軍の拠点だった場所は、32個がサイファ軍、6個が紫苑軍、2個がその他の軍に取られる形となっていた。

サイファ軍はどうしてこれだけの拠点を得る事ができたのだろうかと不思議に思ったが、後で聞いた話によると、やはり作戦だったらしい。

内容はこうだ。

全ては関係者が個別に内密に行った事。

先日、人気アイドルしゃこたんが来た時に、グリード軍内での、サイファ軍の人気は一気に高まった。

サイファ軍に行きたいと思う人が増えたが、吸収合併できる条件はクリアできないし、退役や裏切りなどは考えられない。

グリードさんは元々サイファ軍に入りたいと思っていたし、これだけ拠点を増やしても、グリード軍だけで維持するのは難しいと思われていた。

なんとかグリード軍を、サイファ軍と一緒にできないか。

考えて一番デメリットの少ないやり方が、大将がやられて、軍を消滅させる方法だった。

解散は、そう簡単に解散されて、強い軍に人が集まっては、運営側にとってよろしくないので、デメリットが大きく設定されてある。

壊滅は、戦いに負けたと言う事で、これもまたデメリットが大きい。

しかし消滅は、軍としてよりも大将が負けたという色が濃く、よって中立化した拠点の司令官は、すぐに軍を立ち上げる事ができた。

グリード軍の各司令官は、グリードが敗れるとすぐに、多数の軍を立ち上げた。

その軍は、一時的にグリード軍の残党軍のような扱いになり、友好関係なども引き継がれる。

簡単に言えば、小さなグリード軍が沢山いっぺんにできたような感じだ。

本来これは、無能な大将の被害を受けないようにとの処置で、残党軍どうしは、合併吸収もリスク無しで行う事が可能だった。

ただ、此処に抜け道があった。

残党軍は、別の軍へ吸収される事も可能だった。

ただし、条件やデメリットは、普通の吸収合併と同様だが。

簡単に今回の事を説明するならば、グリード軍も、サイファ軍も、大きな軍になりすぎて、吸収合併が不可能だった。

そこで、グリード軍を多数に分けて小さくし、サイファ軍に吸収可能な条件を整えたというわけだ。

紫苑軍は、そのおこぼれに与ったというわけ。

1週間後、サイファ軍に、グリードさんが登用された。

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