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宇宙の絆Ⅱ  作者: 秋華(秋山 華道)
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グリード軍消滅

敵拠点へと、ただ一機向かう、グリードさんの人型「飛影」の姿が見える。

このまま行っても良いのだろうか?

きっと、今まで自力で落とせた拠点がほとんどなかった事と、今日はグリード軍が落とすと作戦で決まっていたから、無理して出撃しているのではないだろうか。

俺はとりあえず、紫苑さんに相談する為に、全軍チャットではなく、自軍チャットに切り替えて、声をかけた。

 アライヴ「紫苑さん、このまま行かせて良いの?誰か一緒に行った方が良いんじゃ?」

 紫苑「ちょっと考える。待ってて。」

この状況で考える?

紫苑さんの発言に、少し違和感を覚えた。

飛影の姿は、完全に拠点の中に消えていった。

すぐに紫苑さんから、個人通信が入った。

俺は回線を開く。

 紫苑「内緒の話がある(^0^)」

この通信、何か謀略の匂いがした。

 アライヴ「おけw」

 紫苑「実は俺は、此処でグリードがやられる事を期待している。」

やはりそうか。

でもこの言葉には、まだ嘘がありそうだ。

紫苑さんとの付き合いは長い。

これはきっと、この地球での作戦が決まった時から、既に決められていた事だろう。

俺の予想するシナリオはこうだ。

此処でグリードさんがやられる。

そうすると軍は、後継者に継がせるか、消滅かを決定する事になるが、グリードさんの軍には、後を継いでやっていける人物はいない。

となると、消滅やむなしって事で消滅させる事ができる。

本来、通常の状態で解散した場合、解散ペナルティとして、賞金査定にも響くと言われているし、将校以上の者は3ヶ月間、上位軍には入れない。

しかし、消滅だと話は別だ。

やられた大将は、人型、又は旗艦を失う事になるし、経験値も少しばかり減る。

おそらく賞金査定でも、それなりにマイナスになるだろう。

それでもグリードさんなら、大将として此処までトップクラスの軍を率いてきたわけだし、そもそも最初、サイファ軍に入りたいと言っていた。

1週間入る事はできないが、3カ月待つ事を考えれば、やられた方がメリットがあるのではないだろうか。

やられるなら、艦船に乗っている時より、人型に乗っている時の方が、予算的に考えても良い事を考えると、これはますます作戦だと思えてならない。

そして今まで既に40もの拠点を得ている。

グリード軍のメンバーが、自ら軍を立ち上げたり、周りの軍が中立拠点を奪うとしても、いくつかは紫苑軍とサイファ軍で奪う事ができるだろう。

というわけで、だいたいこんな感じになるものだと思っていた。


間もなく、グリードの死と、グリード軍の消滅を告げる告知が出た。

此処まではやはり予想どおりだった。

 紫苑「紫陽花の艦だけ残して、後は中立拠点を奪いに行く。アライヴでも此処の拠点無理そうなら、諦めて撤退してくれ。」

予定どおりと言わんばかりの命令が、当然のように発せられた。

気がつくと、星さんの艦船、スピードスターの姿はない。

既に向かっているようだ。

流石に早い。

小麗さんの艦船、月天も既に行動を開始していた。

星さんの速さは定評があるし、紫苑さんとはリア友だから、こうなる事を聞いていたのだろうし早いのは理解できるが、小麗さんとゴッドブレスのメンバーは流石だと思った。

 アライヴ「チョビ、行くよ!みゆきちゃんは一応、パープルフラワーの守りを!」

 チョビ「はい。」

 みゆき「了解」

俺はチョビをつれて、拠点へと向かった。

サイファ軍と競争になるかもしれないと思ったが、どうやらその様子はないので、既に話はついているようだ。

この素早い決断が、以前からの作戦だった事を確信づけた。

拠点に入っても、攻撃は全く無かった。

どうやら本当に、敵一機に止められていたのか。

拠点内を慎重に進んだ。

司令室まで無事たどり着ければ、拠点は落とす事ができる。

拠点戦ってのは、敵の攻撃をかいくぐり、無事そこまでたどり着く事が主な目的だ。

後はそこで、指定された操作を行うだけ。

拠点の内部構造は、全ての拠点で違う。

それに拠点の防御力によって、司令室までの距離が長くなったり、通路の開閉で迷路のように変わったり、指定操作が複雑化するので、防御力の高い拠点攻略は結構面倒くさい。

でも此処は、事前の諜報活動で、レベルはさほど高くない事は分かっている。

攻撃を受けなければ、5分もしないうちにたどりつけるだろう。

思ったとおり、2分ほどでゴールまでの道のりが見えてきた。

おそらく此処の細い通路をまっすぐ行ったところが司令室だ。

と、そこで思い出した。

此処には一機、強い敵がいた事を。

強力なビーム砲とミサイルが沢山襲ってきた。

狭い通路で、人型が2機、すれ違うのがやっとなくらいだ。

これだけ数を撃たれてはかわせない。

こんな風に守っている拠点だったのか。

今更知っても遅い。

俺はとにかく、致命傷にだけはならないように、被害を最小限にする事だけを考えた。

その時だった。

チョビの人型、ガードナーが俺のキュベレイを押しのけて前にでた。

そして盾の拡散ビーム砲を放った。

助かった。

 チョビ「私が止めるから、すうすんえ」

敵の攻撃を防いだチョビは、慌てているようで、チャットの文字がおかしかった。

でも言いたい事は理解した。

 アライヴ「了解!」

了解って返事は、ダイレクトキーとして設定してあるので、ボタン一つで返事をした。

チラッと、部屋の時計を確認した。

時間は22時45分だった。

PCディスプレイを見た。

ようやく敵機影を確認できた。

名前はアブサルート。

人型名は「拠点の虎」だった。

見ただけで分かる、火力重視の機体だ。

接近さえできれば一気に勝負を決められそうだが、この一本道で接近するのは至難の業だ。

本来なら出直して、強力な盾を持つ人型を2機、つれてきたいところだ。

だが今日を逃すと、再びここを攻める事は、しばらくできそうにない。

多かれ少なかれ、今日手に入れるであろう拠点を元に、地球での足場を固める必要があるからだ。

チョビには悪いが頑張ってもらおう。

接近さえしてくれれば、俺が必ず仕留める。

沢山のビーム砲とミサイルが襲ってくる一本道を、俺達はチョビの盾で受け止めながら、とにかく進んだ。

23時が近づいてくる。

23時は、チョビが寝る時間だ。

これを破る事は許されない。

いつも5分前に落ちるから、今日もきっとそうなるだろう。

ちなみに、戦闘中に落ちた場合は、一番近い友軍基地、又は艦船へと自動的に戻る。

その間攻撃されたら、もちろんダメージを食らう。

回線を切断して、30秒以上たってから完全破壊されても死なないが、機体のダメージは残るし、奪われれば相手の物になる。

意地でも終わらせなければ。

俺は、わずかに距離を残したところで、フェンネルを飛ばした。

そしてガードナーの前に出た。

目の前が爆発に包まれた。

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