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宇宙の絆Ⅱ  作者: 秋華(秋山 華道)
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仕様変更

今日は、運営から重大な発表があった。

と言っても、以前から話が出ていた事だったので、大した驚きは無かったが、この事についてもう一度みんなで話し合いをしなければならない。

重大な発表と言うのは、ゲームの仕様変更の一つ。

ゲームと言うのは、仕様変更や、新たな機能が徐々につけられたりする。

理由は、ずっと同じだとゲームに飽きたり、プレイヤの成長に応じて調整が必要だからだ。

だけど、俺は仕様変更があまり好きではない。

それによってゲームバランスが崩れると、一々戦略や戦術を見直さなければならなくなるし、最悪、力の上下関係まで変わってしまう。

たとえば、フェンネルという武器がある。

これを、使う人が少なくて楽しめないからといって、もっと簡単に使えるように仕様変更されたりすると、俺の今までの努力が無駄になる事は確実だ。

もちろんそんな変更は無いと信じたい。

だけど現に、俺は仕様変更でネットゲームを辞めた事が多くて、仕様変更の発表があるたびに、俺は不安になった。

さて、今回の仕様変更だが、特にゲームバランスが崩れるものではない。

理由は、既に利用している人は利用しており、それがゲームの正式な機能として、導入されただけだからだ。

スカエポと言う、ネット上で複数の人が回線を繋ぎ会話ができる、ネット通話システムが今回の新機能。

ゲームバランスは崩れないし、より便利になる訳だから良いわけだが、今回わざわざ話し合いをしなければならないのには理由があった。

理由の一つは、正式な機能以外は使わないという人がいて、コレを期に使う事にするのかって事。

もう一つは、喋った事を文字に変換したり、色々と細かく設定できるようになったので、使うなら全ての指揮系統の再編も必要になる事だった。

ちなみに、我が紫苑軍は、軍としてスカエポは使用していなかった。

一部の人が、仲の良い人同士、使ったりしているとは聞いている。

でもそれだけだった。

外部チャットシステムも、紫苑さんが、サイファさんなんかとチャットする為に、IRCを使っているような話は聞いたが、積極的には使っていなかった。

つまり我が軍は、基本ゲームシステム内で、ほとんどやり取りをしていたってわけだ。

 アライヴ「スカエポ、結構使えそうな感じだね。」

俺は紫苑さん達と話をしていた。

実は俺は、今回の仕様変更によるスカエポ導入は、かなり有りがたい。

人型乗りってのは、戦闘中はかなり大変で、チャットしている余裕がないからだ。

でも、声で相手とやり取りできるなら、戦闘中でも作戦行動がやりやすくなるってわけだ。

 紫苑「ん~悩む。(@_@)」

紫苑さんは、実はスカエポ反対派だ。

ネットの良さは、喋らなくて良いところだとか言う人だし、ギリギリの戦闘時は、通信が混乱して、チャットの方が良いと考えていた。

ちなみに、前作とは違い、通信の傍受、盗聴、通信記録の奪取など、通信が相手に漏れるような仕様は廃止されていた。

理由は、外部チャットなどを使う人が多く、意味を持たないから。

だから、スカエポを使うメリットは「手が離せない時にでも簡単に連絡できる」その一点だけだった。

一方、スカエポのデメリットも話しておくと、「連絡が簡単にできてしまう事による、情報過多の混乱」と「喋る事の恥ずかしさ」となるのかもしれない。

 じぇにぃ「ぁれぇ~?ゎたしのぉ~がめん、スカエポつかぇなぃよぉ~?」

 アライヴ「あ、それ、バリューネットブラウザ、バージョンアップしてないからだよ。一度ブラウザ再起動してみなw」

銀河バリューネットのサービスシステムは、普通のサイトとは若干異なる進化を遂げていた。

だから、現在のシステムも、他とは微妙に異なる。

現在のネットゲームの主流は、ブラウザゲーム、通称ブラゲーである。

利点は、インストール不要な事だ。

ただし、ブラゲーは複雑なゲームには向かない。

理由は此処では割愛するが、そういった理由で、銀河ネットバリューのサービスをサポートできないのだ。

だから元々は、ソフトをダウンロードし、バージョンアップの度にバッチプログラムをあてて、更新するという作業が必要だった。

しかしそれは、それなりにPC知識のある人なら全く問題ないが、素人には難しく、ユーザーの伸び悩みに繋がっていた。

そこで出てきたのが、銀河ネットバリューサイト専用の、独自ブラウザだった。

このブラウザは、普通にブラウザとして使っても使いやすく、コレ自体がゲームプログラムになっているすぐれものだった。

バージョンアップ更新を自動にしていれば、インストールしておけば、後は何も問題無かった。

ただし、バージョンアップの更新は、主ブラウザを立ち上げた時と、18時から19時前にチェックが行われるので、ずっとブラウザを開いたままだと更新されない。

よって、更新が必要な時は、一度ブラウザを閉じる必要があった。

 じぇにぃ「ただぃま~でてきたよぉ~」

 アライヴ「良かったね!」

じぇにぃと話していると、少し癒される。

子供の相手をしていると癒されるのは、人間の本能だから当然と言えば当然か。

と言っても、中学生だからそれほど子供でもないのだけどね。

さて、スカエポをどう扱うか、議論は一向にまとまらなかった。

マイクとイヤホンを持っていない人に関しては、もちろん無理に使用を強制する事はない。

使いたい人同士で、喋りながらやるのも別にかまわない。

問題は、紫苑さんが指揮する作戦行動中、どうするかって事で意見が別れていた。

ただし、通話という意味では、夜遅い時間に大きな声を出せないとか、喋りたくない人もいるので、無理強いはできない。

全ては、スカエポの導入にあたってつけられた、新しい機能が問題だった。

それは、喋った音声データを文字データに変えて、チャット文字として自動的に書き込みができる機能だった。

 紫苑「ためしにやってます」

 アライヴ「もじになりますねー」

 スピードスター「おんぷ」

これは確かに便利である。

だけど、ただでさえ情報過多でチャットスペースが少ないのに、喋りやすくなったからと言って沢山やり取りすると、すぐに情報が流れていって、把握できない。

紫苑さんの命令もすぐに流れては、まとまった作戦行動ができなくなる。

でも、人型乗りとしては、スカエポで伝えられるなら伝えたい。

話し合いでは結局まとまらず、一度試してみるって事で、話し合いは終わった。

今日の戦闘は、スカエポを使いたい人は使って、音声ではなく、文字変換してチャット画面に流す機能を使う事になった。

 紫苑「あじさいとほしはきょてんひだりからしんこう これいはみぎからでおねがいします」

 紫陽花「りょうかい」

 スピードスター「おんぷ」

 小麗「しゃおれいだよ」

 アライヴ「そろそろでるよ」

 じぇにぃ「わたしも」

 ハルヒ「おれもでていいのかな」

 紫苑「ひとがたもそれぞれのたいみんぐでしゅつげきよろ しく」

 サラ「りょうかい」

 じぇにぃ「もうでちゃってるよ」

 アライヴ「あ ごめん しゃべりすぎ」

 スピードスター「だめだ よめん」

他にも多くの文字が、チャット画面を埋め尽くした。

試してみるとハッキリした。

これは使えない。

紫苑さんは、全ての人からくる情報を受けているわけで、俺よりもチャット画面がいっぱだろう。

この流れだと、命令を見逃すだろうし、ひらがなばかりで読みづらく、なんと言っても味気なかった。

結局スカエポは、その時の作戦によって、紫苑さんの判断で、必要な人だけ使うって事で決着がついた。

レイズナーさんの指揮している人達は、もちろんレイズナーさんに任せる事になった。

ただ、今回スカエポの導入で、軍のやり方について行けないと言って抜けた人が、3人いた事は、紫苑軍にとっては痛手だった。

やはり仕様変更ってのは、あまり良い物ではないなと、改めて思った。

あ、一応今回の戦闘は、我が軍の大勝利でした。

多少指揮系統が混乱しても、強い人が集まっているから、強い事に変わりはないからね。

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